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【コラム完全版】工場設備のデータをリアルタイムで分析し、未然に対処!予知保全ソリューション

1. 壊れる前に気づく時代へ ― 予知保全とは?代表的な3つの保全と違いを解説

1. なぜ今予知保全が注目されているのか

製造現場では、突発的な設備故障による計画外停止(ダウンタイム)が、コスト・納期・品質の大きなリスクとなっています。

そこで近年注目されているのが 予知保全(予兆保全) です。センサやIoT技術で設備の状態を常時監視し、故障の兆候を早期に検知することで、「壊れる前に手を打つ」計画的な保全を実現します。部品交換頻度も必要最低限となり、生産ラインの安定稼働と設備保守のコスト削減を両立させることができます。
ここでは、予知保全とは何か、従来の保全手法とどんな点が違うのかなど、基礎的な内容を解説します。

予知保全が注目を集め始めたのは、IoTやAIといった技術が製造現場に広がり始めた2015年前後からです。センサの低価格化や通信インフラの整備により、設備の状態をデータで監視できる環境が整い、従来の「壊れてから直す」保全からの転換が進みました。
その後、コロナ禍によって非接触・リモートでの設備監視の需要が急増し、現場に行かずに状態を把握できる予知保全が一気に実用化・普及フェーズに入りました。
現在でもその注目は衰えず、人手不足や熟練技術者の減少、設備稼働の安定化によるコスト最適化といった経営課題を解決する手段として期待が高まっています。また、カーボンニュートラルやサステナブル経営の推進により、廃棄・エネルギーロスを減らす“環境に優しい保全”としての役割も注目されています。こうした背景から、予知保全は今、単なるメンテナンス手法ではなく、生産性・安全性・環境を同時に高める次世代の経営戦略として位置づけられています。

2. 3つの保全とそれぞれのメリット・デメリット

予知保全は、設備の保全手法の一つです。
設備保全には大きく分けて 「事後保全」「予防保全」「予知保全」 の3つのアプローチがあります。
従来は、故障が発生した後に対応する事後保全や、スケジュール通り定期的に点検・交換を行う予防保全が主流でした。しかしこれらの方法では生産ラインが長時間止まってしまったり、本来必要のない部品交換により無駄なコストがかかってしまったりといった課題もありました。
最新のデータ活用技術を取り入れた予知保全は、これらの課題を解決し安定稼働とコスト最適化を両立する画期的な保全手法で、予兆保全とも呼ばれます。

保全方式 概要 メリット デメリット
事後保全 設備が故障した後に修理を行う 計画的な保全が不要なため、 初期コストがかからない 突発停止や高額な修理費用が発生することが多く、生産性が低下する可能性が高い
予防保全 定期的な点検・保全を行い、故障を未然に防ぐ。スケジュールに基づいて行われるため、状態に関係なく保全を実施する 定期的な保全により、突発的な故障を減らし、設備の信頼性を向上させる 必要がないときにも保全を行うことがあり、無駄なコストが発生する可能性がある
予知保全 (予兆保全) リアルタイムの状態監視とデータ分析によって異常の兆候を検出し、故障が発生する前にメンテナンスを実施する 故障の兆候がある場合のみ保全を行うため、無駄が少なく、ダウンタイムも最小限に抑えられる 状態監視のためのセンサやデータ分析システムが必要となるため、導入コストや技術的なハードルが高い

特に最近は、人手不足と熟練工の高齢化により現場力の維持が課題となる時代に入り、“経験や勘”に頼らない仕組み作りが必要になっていることや、センサの低価格化とIoTインフラの普及でデータ収集コストが下がってきたこと、さらにサステナブル経営やトレーサビリティ対応といった上流からの要求もあり、予知保全のニーズが高まっています。

3. 予知保全の導入で期待できる効果

予知保全を実現することで得られる効果は多岐にわたります。
 ダウンタイムの削減により生産性が上がる・メンテナンスコストが最適化できるというのはもちろん、突発トラブル対応の削減=非定常作業の削減となり、作業員の安全リスクの低減にもつながります。また、安定稼働による品質の安定や、環境保全への貢献も実現できるでしょう。
 予知保全は単なる保全手法ではなく、企業全体のパフォーマンス改善につながる取り組みであることが分かります。

では、導入の検討にあたって、これらの効果をどのように実際の削減コストに落とし込んでいけばよいのでしょうか?
次の項では、予知保全システム導入におけるROI(費用対効果)の算出方法について、具体的なモデルケースを挙げて解説しています。ぜひご覧ください。

2. 予知保全の費用対効果とは? ROIで見る投資判断のポイント

1. 費用対効果(ROI)の考え方

製造現場で新しいシステムを導入する際、最も重視されるのは「どれだけの効果が得られるのか」という点です。いくら技術的に優れていても、投資に見合う成果が明確でなければ、現場も経営も前に進めません。
そこで重要となるのがROI(Return on Investment:投資対効果)という考え方です。ROIを算出することで、導入によって得られるコスト削減効果や生産性向上を共通の尺度で数値化でき、経営層・現場・IT部門が同じ基準で判断を共有できます。
ここでは、予知保全の導入検討で欠かせないROIの考え方と、実際の算出方法をモデルケースを挙げて解説します。

製造業における設備投資やITシステム導入では、「どれだけの効果が期待できるのか」を定量的に示すことが重要です。
予知保全も例外ではなく、導入効果をROI(投資対効果)で算出することで、経営層や現場が共通の指標で評価できます。
予知保全のROIは以下の式で算出します。

つまり、予知保全を導入したことで得られるコスト削減効果から、導入・運用コストを差し引き、それをコストに対する割合として表現します。

【コスト削減効果として考えるもの】

  • メンテナンス費用削減の効果(突発対応や部品交換のための業者・作業員コスト低減)
  • 納期遅延リスク削減の効果(納期に間に合わせるため空輸を使うといった輸送方法変更コストの削減)
  • 停止時間削減の効果(生産停止や立上げ立下げ作業による機会損失の削減)
  • 生産性向上効果(サイクルタイム短縮などによる生産キャパの向上)
  • 予備品保有による税金(固定資産税)
  • 間接的な効果(労災リスク低減など)

【導入および運用コストとして考えるもの】

  • イニシャルコスト(センサ、ネットワーク、IoTプラットフォーム、分析ソフトウェアなど)
  • 保守・運用コスト(データ管理、モニタリング運用、システム更新、ライセンス使用料など)

2. 費用対効果のモデルケース:自動車用高精度機械部品を生産する工場

仮に、現在事後保全を実施している自動車用精密部品製造工場で予知保全システムを導入する場合、どのくらいの費用対効果が見込めるでしょうか?
例として、3本の主要ラインが24時間稼働し、部品は工程順に流れていく連続生産に近いスタイルで、多品種少量生産の自動車部品製造工場を想定し、現状の運用状況や年間保全コストなどをまとめました。

自動車部品は 納期厳守と品質保証が絶対条件のため、突発停止や不良発生は即座に大きな損失となります。また、設備はNC旋盤、研削盤など加工精度の高い機械装置が中心で、工具摩耗や振動・温度変化のデータに設備故障の予兆が現れやすいです。在庫はジャストインタイム方式を取ると仮定すると、予備品在庫は最小限で在庫削減効果は小さい半面、ライン停止時間の削減効果は非常に大きく、予知保全に切り替えることで効果が出やすい環境といえます。
この環境に対して、予知保全を導入した場合のコスト削減効果の想定は以下の通りです。

【予知保全の導入・運用コストの想定】

  • 初期導入費用:センサ(30台)、IoT基盤、PoC・教育等 約2000万円(初年度のみ)
  • 運用費用:データ管理・モニタリング工数・ライセンス費用等 約300万円(毎年)

 

【本ケースでの予知保全導入の費用対効果】

導入1年目:年間削減効果3900万円 - (初期導入費用2000万円 + 運用費用300万円) = 1600万円 ROI:70%
導入2年目以降:年間削減効果3900万円 - 運用費用300万円 = 3600万円 ROI:1200%

この試算から、本工場では導入1年目で投資回収の見込みが立ち、2年目以降は大幅な黒字効果が見込めるといえます。
今回のケースのように、生産製品の単価が高く、ライン停止による売上ロスへのインパクトが大きい分野ほど、予知保全は効果を発揮しやすいです。

3. 工場設備のデータをリアルタイムで分析し、未然に対処!予知保全ソリューション

1. サイバネットが提供する予知保全ソリューション

製造現場では、突発的な設備故障による計画外停止(ダウンタイム)が、コスト・納期・品質の大きなリスクとなっています。
そこで注目されているのが 予知保全(予兆保全) です。センサやIoT技術で設備の状態を常時監視し、故障の兆候を早期に検知することで、「壊れる前に手を打つ」計画的な保全を実現します。部品交換頻度も必要最低限となり、生産ラインの安定稼働と設備保守のコスト削減を両立させることができます。

1 予知保全の基本プロセス

予知保全は基本的に以下のようなプロセスで成り立っていますが、システムを提供するベンダーごとに強みのあるステップや特色が出やすいポイントがあります。
ここでは、予知保全プロセスの全体像とともに、サイバネットの提供する予知保全ソリューションだからこその強みを合わせてご紹介します。

☑ 現実では計測できないデータも捉える ― CAEを使った仮想センシング

予知保全を実現するうえで重要なのは、「どのデータをどこまで精度高く取得できるか」です。 しかしあらゆる場所にセンサを設置できるわけではありません。高温・高圧環境、狭小部位、内部構造など、物理的に計測が難しい箇所は数多く存在します。 当社では、40年以上にわたり培ってきたCAE(シミュレーション)の知見を活かして、必要に応じてCAEとIoTを組み合わせた「仮想センシング」を実現します。

【仮想センサ構築の仕組み】

  1. 実機センサで取得できるデータを収集:温度、電流、振動、使用環境データなどをIoTで取得。
  2. 取得データをCAEモデルにインプット:実際の稼働条件に基づいて仮想空間で挙動を再現。
  3. CAE計算結果をIoT側にフィードバック:応力、疲労度、巻線温度、部品寿命など、現実では直接測定できない数値を高精度で予測、データとして利用可能に。
  4. 任意の部位にセンサを配置:機器内部や危険環境などの実測が難しい箇所のデータを補完。

☑ データサイエンティスト不要、現場主体で分析可能なBIGDAT@Analysis

データ分析ステップにおいて大きな課題の一つが、「収集したデータをどう分析し、現場でどう活かすか」です。従来はデータサイエンティストや専門の解析担当が必要で、現場担当者は結果を受け取るだけの立場になりがちでした。
BIGDAT@Analysis は、そうした課題を解決するために開発された、現場主体で使える分析ツールです。

【BIGDAT@Analysisによる予知保全の仕組み】

  1. 収集データを入力:CSV取込やリアルタイムなセンサデータの連携が可能。温度、振動、電流など、設備から得られる多様なデータを一元的に扱えます。
  2. 類似性マップによる可視化:各データサンプルの“類似度合い”を二次元マップにプロット。正常状態と異常傾向を視覚的にグルーピングできます。
  3. 要因分析と予兆定義:マップ上でクラスターを比較し、異常につながる要因や特徴的なパターンを特定。 
    例えば「温度上昇傾向が強いグループ」や「特定周波数の振動が大きいグループ」を抽出し、故障の予兆として定義します。
  4.  リアルタイム監視と通知:センサデータをリアルタイムでマップ上にプロット。事前に設定した「OK」「Warning」「NG」の領域に照らし合わせ、Warningに入った時点でアラートを発報します。現場担当者は即座に変化を認識し、計画的な保全に移れます。

BIGDAT@Analysisを用いると、設備の保全だけではなく製品の良品・不良品をリアルタイム監視することも可能です。歩留まり向上が期待できるほか、不良品が出やすくなっているということは設備に不備が発生している可能性が高く、結果的に設備保全の取り組みにもつながっていきます。

☑ ThingWorx RTPPMのダッシュボードで各拠点の稼働率・生産状況などをリアルタイムに可視化

予知保全の導入効果を評価するには、「ダウンタイムがどれだけ減ったか」を経営指標で示す必要があります。
ThingWorx RTPPMのダッシュボードは、OEE(設備総合効率)、稼働率、チョコ停回数、生産数量といったKPIと、予知保全によるアラート・対応履歴を同じ基盤で管理可能です。
これにより、現場担当者は「どの予兆が生産性に直結しているか」を把握でき、経営層は投資対効果(ROI)を数字で評価できます。予知保全を単なる現場改善ではなく、経営改善の取り組みとして展開できるのが大きな強みです。
ThingWorxは当社の提供する予知保全のIoTプラットフォーム基盤であり、多様なAPI連携機能を備えているため各種センサやツール・システムとの連携を容易にしています。柔軟かつ高精度な予知保全システムの構築の核ともいえるツールです。

2 予知保全ソリューション 過去の導入事例

☑ 大規模プラントのベルトコンベアの異常予兆検知:センサデータ収集による常時監視を実現

課題:数十kmに及ぶ大規模プラントのベルトコンベアは、点検すべき部品が広範囲に存在し、点検作業には危険を伴う箇所も多くありました。さらに、当該設備は原材料の搬送を担っているため、万が一異常停止が発生すれば、操業全体が止まるリスクを抱えていました。

ソリューション:振動センサとIoTプラットフォーム「ThingWorx」を活用し、広範囲にわたるベルトコンベアの状態を常時監視。収集データをサイバネットの分析モデルで評価し、異常兆候を早期に検知できる仕組みを構築しました。
効果:危険箇所への立ち入りを削減し、点検作業の安全性を大幅に向上。突発停止リスクを低減し、安定稼働と効率的な保全計画の両立を実現しました。

☑ 発電プラントのボイラ内部の部品疲労度の可視化:応力シミュレーションによる寿命予測

課題:発電プラントの熱配管などは非線形材で構成されており、実センサでは応力や疲労状態を直接測定することが困難です。また、ヒートサイクル試験の増し打ちも現実的ではなく、部品信頼性を定量的に把握する手段が不足していました。

ソリューション:3D-FEMモデルをROM化(Reduced Order Model) し、リアルタイムCAEにより任意部位の応力やクリープ歪量を仮想センサとして出力。これを1D-CAEシミュレーションと組み合わせ、応力履歴データから蓄積疲労度と残存寿命を数値ベースで予測できる仕組みを構築しました。
効果:実機センサで取得困難だった応力状態や寿命予測を、仮想センサ出力としてリアルタイムに可視化。部品信頼性を物理現象に基づいて定量化でき、安全率の適正化と保守計画の効率化を実現しました。

3 予知保全導入までのステップ

予知保全の導入は、一度に大規模な仕組みを構築するのではなく、段階的に進めることが成功のカギです。サイバネットはベンダーニュートラルな立場で、センサ選定からシステム運用まで一貫して支援します 。

Step⓵アーキテクチャ検討
目的と範囲を整理し、導入の設計図を描く工程です。「どの設備を対象に、どのようにデータを取得するか」を明確にし、センサの選定や設置場所・データ基盤などについて検討します。
Step⓶データ収集・前処理
データ収集、および収集したデータの品質向上と解析基盤の整備を目的としてデータ収集~前処理を行います。
データクレンジングを行い、データ解析に適した形へ整形します。
Step⓷教師なしフェーズでの分析
集まったデータから特徴的なパターンを見つけ出します。「いつもと違う振る舞い」を検出し、そこに対して多変量データのクラスタリングで異常の原因を分析します。どのような説明変数の組み合わせで発生している異常なのか、データを分析・可視化します。
Step⓸アノテーション
探索で見つけた異常傾向が「何の現象に対応するのか」を整理するステップです。実際の機器や製品の状態を確認し、その変数がどのような故障につながる異常なのかを明らかにします。
実際に工場の設備を見るため、ユーザー様の協力が必須となります。
Step⓹教師ありフェーズでのモデル構築
⓸までで明らかになった情報から、異常兆候を自動的に判定できるモデルを作成します。検知された異常に対して「想定される故障」を自動で割り当て、複数パラメータのリアルタイム監視を実現します。
故障につながる状態を定量的に識別できるようになります。
Step⓺データ管理・監視(運用開始)
構築したモデルをシステムに組み込み、リアルタイム監視を開始します。また、異常検知の運用の効率化を目的として、
監視用のダッシュボードやアラート発報の仕組みを構築し運用の省力化を図ります。汎用機械学習アルゴリズムを活用して監視精度を向上させます。

特に大変なのが⓶⓷の収集データを前処理し分析していくステップです。全フェーズに費やす工数の8割をここが占めると言っても過言ではありません。
サイバネットは、現場で起きている現象をCAEで物理的に解き明かすことができ、かつ生産現場の技術者と共通言語で議論できるというユニークなポジションにあります。最初の課題整理、データ収集・蓄積から、診断ロジック構築、システム化まで、実装パートナーとして責任をもって伴走いたしますので、ぜひ一度ご相談ください。

4 最小限の投資で気軽に始められるPoCパッケージも

サイバネットでは、予知保全システムをお客様の設備で実際にお試しいただけるパッケージをご用意しております。

【パッケージ内容】

  • 無線対応センサ機器(3軸加速度・温度それぞれ1系統) ※取付作業を含む
  • PoC期間中のクラウド環境+状態監視用ダッシュボード (機械学習込み)
  • サイバネットのエンジニアによるデータ分析レポートおよび機械学習アルゴリズムのカスタマイズ

 

これらの内容を当社が主導して約3か月間で構築・運用・実証を行います。
すでにお使いのセンサ類に合わせたPoC構成もご提案可能なほか、電流センサも追加可能です。費用等はお気軽にお問い合わせください。

最後に

予知保全は、突発停止のリスクを下げ、保全コストと安定稼働を両立するための有効なアプローチです。一方で、効果を出すには「目的と対象設備の整理」「データ収集・前処理」「現場で回る運用設計」といった、地道な立ち上げが成功のカギになります。 
予知保全
サイバネットは、CAEの知見を活かした仮想センシングや、現場主体で分析・可視化できるツール/IoT基盤を組み合わせ、課題整理からデータ整備、モデル化、監視運用まで一貫して伴走します。まずは最小限の投資で始められるPoCパッケージで、貴社設備での適用性と効果を短期間で確認することも可能です。ぜひ一度、お気軽にご相談ください。

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