CODE V最新バージョンCODE V 10.3がリリースされました!
近年、非球面製造技術の飛躍的な進歩により、精度の高い非球面を安価で、安定して製造できるようになりました。
このため、カメラレンズを始めとする多くの光学製品では、非球面を使用したものが数多く市場に投入されています。
非球面使用の利点は、その形状自由度が球面よりも高いことにより、少ない構成面数で、高い光学性能を達成することができるというところにあります。しかしながら、性能向上のみを目的として高次非球面項を安易に使用した結果、複数の変曲点をもつ歪な形状となってしまうということが光学CADを使用した設計の場合にはよくあります。こういった面は、一般的に製造敏感度が高く、製品のバラツキや歩留りの低下につながります。また、非球面数が増えるほど、部品コストも上がってしまうことになり、結果的に製造コストが嵩んでしまうということにもなりかねません。
このような非球面設計の課題を解決するために、CODE V 10.3では様々な機能拡張が行われています。
本バージョンでは、QED Technologies社のGreg.Forbes博士によって発表された軸対称非球面についての数学的公式に基づいた面タイプ(Qタイプ面)が追加されました。
Qタイプ面の定義多項式と従来の “ペキ級数多項式” とで、表現できる非球面形状に特段の差異はありません。
しかし、Qタイプ面の定義多項式の係数は、その非球面の[製造のしやすさ]に関する種々の情報を提供します。
この係数に基づく情報を利用することによって、製造性の高い設計解を効率的に得るための包括的な機能拡張が可能となりました。
Qタイプ面には、定義式の異なるQcon と Qbfs という2つのタイプがあります。
Qbfs 非球面
![]() Qbfs 面式の各次数項は、ベストフィット球面からの傾き逸脱量に関して直交しています。
傾き逸脱量のRMSは、各項の係数より簡単に計算することができます |
Qcon 非球面
![]()
Qcon 面式の各次数項は、ベースコーニック面からのサグ逸脱量に関して直交しています。
サグ逸脱量のRMSは、各項の係数より簡単に計算することができます |
従来、非球面の形状定義に使用されてきた “べき級数多項式” には、以下のようなデメリットがあります。
これに対し、本バージョンで新規導入されたQbfs、Qconの両タイプの定義式では、
なお、通常の設計業務の実状を踏まえて、べき級数多項式を使用した従来の設計解を、QconあるいはQbfs、さらに、その他の面タイプへ変更した際に同一形状を表現するように、変更後の面タイプに対応した係数へ自動変換するデータコンバート機能も実装されています。
これによって、従来の非球面式を使用した過去の設計解について、Qタイプ面を使用することによる製造性の観点を盛り込んだ設計変更をストレスなく実施することができます。
例えば、29枚の球面レンズからなる光学系において、4面だけ非球面に変換することが許されるとしたら、どのようにそれらの面を選択しますか?
従来の方法では、一番効果の高い面を探すために、全ての面を順次非球面に変更し、最も効果的な面を最初の1面として決定する。次に残った面について、順次非球面に変更し、2番目の面を決定する・・・。というように総当り的な探索を行っていました。この方法によって、4面全てを決定するために必要な最適化の回数は、何と226回!(58+57+56+55ですので)
どうにかして、もっと効率的に非球面の配置を選定する方法はないのでしょうか? その答えの一つが、Asphere ExpertTMです。 Asphere ExpertTMでは、1度の最適化サイクルでどの面が非球面化するのに効果的かというランク付けを行うことができます。 さらに、使用する非球面次数や、形状の制約および通常の最適化における制約条件を加味した非球面の最適配置ランキングを割り出すことができます。
Asphere ExpertTMを使用することで、短時間かつ効率的に最適な非球面配置を決定することができます!
特許発明者によって選択された非球面の配置
波面収差: 2.9 mλ
Asphere ExpertTMによって自動選択された非球面の配置
波面収差: 2.6 mλ
実施例:ステッパー光学系
本リリースについての詳細および修正されているバグの情報等に関しましては、リリースノートをご覧下さい。
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