ガウスビーム用ズームコンバータ

田中一夫 

キヤノン株式会社

tanaka@shbp2.canon.co.jp
Written by Tanaka@canon (Oct.18,1999)


1. はじめに

ガウスビームは多くの光学系に用いられている。そして、ガウスビームのビームウエストサイズの変換が必須の要件である。

さらには連続的な変換、すなわち、ズームコンバータが望まれている。本論は、入射側ガウスビームを一定のまま、射出側の

ビームウエスト位置不変にもかかわらず、ビームウエストサイズを可変とする光学系を解析するものである。

2.光学系によるガウスビームの変換

2.1.一般的な取り扱い

ガウシアンビームは4つのパラメータで特徴付けられる。それらは、ビームウエストサイズ [Maple Math] ,参照面でのビームサイズ [Maple Math]

参照面の位置Z、参照面での波面の曲率半径Rである。複素無ビームパラメータqを導入することにより、これらは以下

のように関係付けられる。

[Maple Math] [Maple Math]

そして、k面から構成される光学系によるガウスビームの変換は、入射側及び射出側それぞれの複素ビームパラメータを

q_in及びq_outとする

[Maple Math]  、 [Maple Math] ,

[Maple Math] [Maple Math]

で関係付けられる。ここで、A,B,C,Dはガウス定数と呼ばれ、各面の屈折力を  [Maple Math]  、面間隔を e とすると、下記の漸化式で定義される。

> AA:=proc(m,n) -CC(m,n-1)*e(n-1)+AA(m,n-1) end:AA(m,m):=1:
BB:=proc(m,n) -DD(m,n-1)*e(n-1)+BB(m,n-1) end:BB(m,m):=0:
CC:=proc(m,n) AA(m,n)*phi(n)+CC(m,n-1) end:CC(m,m-1):=0:
DD:=proc(m,n) BB(m,n)*phi(n)+DD(m,n-1) end:DD(m,m):=1:

>

2.2.特別な場合

(1) 全系が無焦点系、すなわち、 C(1,k)=0,

(2) 入射側及び射出側の参照面が互いに共役、すなわち、 B(0,k+1)=0,

(3) 入射側のビームウエスト位置が参照面に一致、すなわち、 R=infinity, Z=0,を満足する場合、

射出側のビームウエスト位置は参照面に一致し、すなわち、 R_out=infinity, Z_out=0, そしてビームウエストサイズは

[Maple Math] となる。ここで、 [Maple Math] は参照面共役関係の横倍率、そして [Maple Math] は全系の角倍率であり、それぞれ

[Maple Math]

で定義される

3.新たなズームコンバータ

2.2.で与えた特別なケースを利用する。全3群構成にて全ての群がズーミングのために可動とする。入射側及び

射出側ともにビームウエストは参照面上にあり、両参照面は互いに共役である。

[Maple OLE 2.0 Object]

Fig.1.

3.1.解析

(i) 初期状態 [ Fig.1(a)参照 ]

ここで、参照面と光学系との距離、そして、各群の間隔を決定する。

参照面の共役関係は次式で与えられる。

> BB(m,m+4)=0:subs(m=0,%):
subs(phi(1)=p[1],phi(2)=p[2],phi(3)=p[3],e(0)=e00,e(1)=e10,e(2)=e20,e(3)=e30,%):
Conjugate:=unapply(%,e00,e10,e20,e30);

[Maple Math]
[Maple Math]
[Maple Math]

全系が無焦点系であることは次式で与えられる

> CC(m,m+2)=0:subs(m=1,%):
subs(phi(1)=p[1],phi(2)=p[2],phi(3)=p[3],e(1)=e10,e(2)=e20,%):
Afocal:=unapply(%,e00,e10,e20,e30);

[Maple Math]

参照面の結像関係における横倍率 [Maple Math] は次式で与えられる

> AA(m,m+2)=beta:subs(m=1,%):
subs(phi(1)=p[1],phi(2)=p[2],phi(3)=p[3],e(1)=e10,e(2)=e20,e(3)=e30,%):
Lateral_magnification1:=unapply(%,e00,e10,e20,e30);

[Maple Math]

参照面相互の間隔が一定値 L であることは次式で与えられる

> e00+e10+e20+e30=L:Constraint:=unapply(%,e00,e10,e20,e30);

[Maple Math]

上記の4つの条件はe00,e10,e20そしてe30を未知数とする連立方程式である。解は下記のようになる。

> Solution:=solve({Conjugate(e00,e10,e20,e30),
Afocal(e00,e10,e20,e30),
Lateral_magnification1(e00,e10,e20,e30),
Constraint(e00,e10,e20,e30)},
{e00,e10,e20,e30}):
subs(Solution,e00):
E[00]:=1/(beta^2-1)*convert(convert(convert(%/(1/(beta^2-1)),parfrac,p[1]),parfrac,p[2]),parfrac,p[3]);
subs(Solution,e10):
E[10]:=convert(convert(subs(%),parfrac,p[1]),parfrac,p[2]);
subs(Solution,e20):
E[20]:=convert(convert(%,parfrac,p[2]),parfrac,p[3]);
subs(Solution,e30):
E[30]:=1/(beta^2-1)*convert(convert(convert(%/(1/(beta^2-1)),parfrac,p[1]),parfrac,p[2]),parfrac,p[3]);

[Maple Math]

[Maple Math]

[Maple Math]

[Maple Math]

>

(ii) ズーム状態 [ Fig.1(b)参照 ]

次にビームウエスト位置が不動のまま、ビームウエストサイズがk倍となるように、各群の移動量,X1,X2及びX3を決定する

各群が移動後も参照面が共役関係を保つことは次式で与えられる

> BB(m,m+4)=0:subs(m=0,%):
subs(phi(1)=p[1],phi(2)=p[2],phi(3)=p[3],
e(0)=e[00]+X1,e(1)=e[10]-X1+X2,e(2)=e[20]-X2+X3,e(3)=e[30]-X3,%):
Conjugate:=unapply(%,X1,X2,X3);

[Maple Math]
[Maple Math]
[Maple Math]
[Maple Math]

各群が移動後も、全系が無焦点系であることは次式で与えられる

> CC(m,m+2)=0:subs(m=1,%):
subs(phi(1)=p[1],phi(2)=p[2],phi(3)=p[3],
e(1)=e[10]-X1+X2,e(2)=e[20]-X2+X3,%):
Afocal:=unapply(%,X1,X2,X3);

[Maple Math]
[Maple Math]

参照面の結像関係における横倍率が初期状態のk倍すなわち、k [Maple Math] 、となることは次式で与えられる。

> AA(m,m+2)=k*beta:subs(m=1,%):
subs(phi(1)=p[1],phi(2)=p[2],phi(3)=p[3],
e(1)=e[10]-X1+X2,e(2)=e[20]-X2+X3,e(3)=e[30]-X3,%):
Lateral_Magnification:=unapply(%,X1,X2,X3);

[Maple Math]

上記の4つの条件はX1,X2そしてX3を未知数とする連立方程式である。解は下記のようになる

> Solution:=solve({Conjugate(X1,X2,X3),
Afocal(X1,X2,X3),
Lateral_Magnification(X1,X2,X3)},
{X1,X2,X3}):

subs(Solution,X1):
X[1]:=1/((k*beta)^2-1)*convert(convert(convert(%/(1/((k*beta)^2-1)),parfrac,p[1]),parfrac,p[2]),parfrac,p[3]);
subs(Solution,X2):
X[2]:=1/((k*beta)^2-1)*convert(convert(convert(%/(1/((k*beta)^2-1)),parfrac,p[1]),parfrac,p[2]),parfrac,p[3]);
subs(Solution,X3):
X[3]:=1/((k*beta)^2-1)*convert(convert(convert(%/(1/((k*beta)^2-1)),parfrac,p[1]),parfrac,p[2]),parfrac,p[3]);

[Maple Math]

[Maple Math]

[Maple Math]

>

3.2. 数値例

初期値 [Maple Math] として、初期状態の間隔を求めると次のようになる。

> e[00]:=evalf(subs(p[1]=1/25,p[2]=-1/15,p[3]=1/25,L=250,beta=-2,E[00]));
e[10]:=evalf(subs(p[1]=1/25,p[2]=-1/15,p[3]=1/25,L=250,beta=-2,E[10]));
e[20]:=evalf(subs(p[1]=1/25,p[2]=-1/15,p[3]=1/25,L=250,beta=-2,E[20]));
e[30]:=evalf(subs(p[1]=1/25,p[2]=-1/15,p[3]=1/25,L=250,beta=-2,E[30]));

[Maple Math]

[Maple Math]

[Maple Math]

[Maple Math]

最大ズーム値 [Maple Math] として、各群の最大移動量を求めると以下のようになる。

> X[1]:=evalf(subs(p[1]=1/25,p[2]=-1/15,p[3]=1/25,beta=-2,k=13/2,X[1]));
X[2]:=evalf(subs(p[1]=1/25,p[2]=-1/15,p[3]=1/25,beta=-2,k=13/2,X[2]));
X[3]:=evalf(subs(p[1]=1/25,p[2]=-1/15,p[3]=1/25,beta=-2,k=13/2,X[3]));

[Maple Math]

[Maple Math]

[Maple Math]

>

初期状態から最大ズーム状態の間の各群の間を数値計算した結果をFig.2に示す。

また、ズーミングによるビーム径の変化の近似である近軸光線追跡をFig.3に示す。

[Maple OLE 2.0 Object]

Fig.2

[Maple OLE 2.0 Object]

Fig.3

参考文献

>

1. H.Kogelnik, Bell Syst.Tech.J.vol.44 (1965) 455.

2. K.Tanaka, Progress in Optics XXIII (1986) p.63.

3. K.Tanaka, OPTIK vol.67 (1984) 345.

本論は"The 4-th International Workshop on Optical Beam transformation"

(KhonKaen Univ.,KhonKaen,Thailand,1-4,March 1999)にて講演発表したものである

>