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事例・技術情報

自然現象を通じて数学の面白さを体験
大阪大学 理学研究科 数学教室 山本 芳彦教授

整数論をご専門とされ、数学科授業のみならず文系学生も含む全学共通教育科目にてMapleを利用した実験数学の講座をお持ちの山本先生に、授業内容や他の数式処理ソフトとの違いなどについてお話を伺いました。

Mapleは大阪大学のPC全てに無制限にインストール頂けるサイトライセンスにてご導入頂いていますね。(2002年4月より大阪大学豊中・吹田キャンパス/サイバーメディアセンターへ導入)

はい。授業でも利用しますし、研究室でもよく使いますので。数学専攻の学生だけでなく、文系の学生も含めてMapleを利用できるようにしたかったのです。

大阪大学ご所属の方は、サイバーメディアセンターあてに下記よりMapleライセンス申請をすることが出来ます。
http://www.cmc.osaka-u.ac.jp/j/service/license.html

文系の学生さんもですか?

数学というと完全に理系のようですが、世の中にあるあらゆる自然現象は数式やグラフとして表現したりすることが出来ます。こう考えると数学とはとても身近なものなんですよ。例えば何かの現象について予想や仮説をたてコンピュータ上で実際に検証したりすることは、文系理系に関係なく役に立ちます。こうした体験を通じて数学の面白さを体験してもらおうと、全学共通科目としてMapleを利用した授業を行っています。教科書上の式をもくもくと解くことだけが数学ではありません。
例えば月は地球の周りを回っています。そして地球は太陽の周りを回っています。では太陽から見て月の動きはどう見えるか。お分かりになりますか?

地球の周りをねじのようにぐるぐる回りながら太陽のまわりを一周するとか…?

はずれです(笑)数式でこの動きを表現してグラフに表すと良く分かるのですが、実は地球の軌道をほんの少し cosine(コサイン)で修正したグラフで, 実際には地球と区別が付かない位の円運動に見えます。こうしたことをコンピュータ上でビジュアルに表現すると学生はすごく興味を持ちます。「数式で表してそれを実験的に表現する」−私はこうした時にMapleを利用しています。実験的数学ですね。

実験的数学ですか。

ええ。実は、今年の夏休みに大阪の私立高校の数学の先生方が3日間合宿して研究会を行うのですが、これにも講師として呼ばれていて「実験的整数論」というタイトルで講義をします。そこでまずMapleの使い方から始めて講義を行います。あとはMathematicaという別の数式処理ソフトとの違いとかね。まずMapleを知ってもらって、それから実験的数学をどう進めるか、学生にどう理解させるかというような話をしていきます。

今は誰でもコンピュータ、コンピュータという時代ですが、コンピュータというのはそもそも自分がやりたいことをさせるための道具に過ぎません。私は学生に、"自分のやりたいことをいかにコンピュータで実行させるのか"を学ばせたいと思っています。Mapleなどの数式処理ソフトを利用すればプログラミングを知らなくてももっといろいろなことが出来ます。そうした基礎を身につけさせる意味で、数式処理ソフトを使わせているのです。数式処理ソフトにも幾つか種類がありますが、実はどんなソフトでも使いこなせるようにしたいし、またさせたいと思っています。数式処理の基礎が身につけば、ソフトウェアも自分にあったものを選ぶことも出来ます。昨年まではMathematicaを利用していましたが, 今年はMapleでいこうと思っています。

先生はMathematicaもお使いですか?

ええ。利用しています。というか昨年までは授業もMathematicaでしていました。もちろんMapleとMathematicaそれぞれに特長があり、個人的にはどちらが優れているというようなことは言えません。でも今年はMapleの年と決めていて、大学の授業も高校の先生方への講演もMaple一本槍です。

実際に2つのソフトを利用してみていかがですか。

データ構造など基本的な考え方に違いがある上に, 操作には慣れの部分も多いので、最初は切替えがちょっと大変でした(笑)。今でも時々戸惑うことはありますが、今年はMapleの年と決めたのでとにかくMapleを使い込んでいます。Mapleは3次元のグラフをマウスのドラッグアンドドロップで方向を変えられて、様々な角度から自由に見られるところが気に入っています。3次元に表現をすると、ただ特定の方向から見ただけでは全体の様子がよくわからないことも見えてきますよね。もちろんMathematicaも別角度から見られますが、Mathematicaだと方向を変えて計算し直さないとならないんですよ。

Mapleには Maplets* というGUIカスタマイズツールがあります。このツールについてはどう思われますか?

学生には使いやすそうですね。特に物理や化学の実験に適しているかと思います。こうしたツールを利用すればより学生の抵抗感もないでしょう。数学を良く知っていないと数式処理ツールを使いこなすのが難しい時もあるのですが、Mapletsは良さそうですね。

Maplets
Maple8からはデフォルトでついている機能で、テキストエリア、数学エディタ、ボタンなどグラフィカルな要素を用いてユーザーコマンドを定義し、ユーザー独自のGUIを作成します。

Mapleに何かご要望があればお聞かせください。

出来ればグラフを表示する際に、長い計算の後に一瞬で画像が出るのではなく、途中結果を表示しながらゆっくり点を書いていくようなイメージでグラフが出来上がると有り難いです。それだと学生が「次はどうなるかな」と興味を持ってグラフの動きを見て考えることが出来ます。こうした描画は"数式で理解できないことをグラフにすることで理解させる"という目的にもかなうかと思います。

先生がおっしゃっていた実験的数学をもう少し勉強したい場合に役に立つような参考書があれば教えてください。

岩波書店から「実験数学入門」という書籍を出しています。先程の太陽から見た月の動きも載っていますよ(笑)。文系の方でも面白くお読みになれますので参考にしてください。

大阪大学ホームページ (http://www.osaka-u.ac.jp/)
Mathematicaは米国Wolfram Research社の登録商標です。

(2002 年 8 月 6 日)



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