CYBERNET

重要なお知らせ 新型コロナウイルス感染拡大にともなう電話問い合わせについて

お役立ち情報迫る猶予期間の終了
「電子帳簿保存法」に今から対応するには

実質的に全企業に義務付けられている2024年1月までの対応

2021年度の税制改正により、「電子帳簿保存法」が改正されました。この改正は2022年1月に施行され、既に1年以上が経過しています。ただし、2021年12月に2年間の猶予期間が設けられたため、まだ対応を完了していない企業も少なくないかもしれません。しかし未対応の企業は、そろそろ対応を始める必要があります。なぜなら、2024年1月までには対応を完了しておかなければならないからです。

そもそも「電子帳簿保存法」は、決して新しい法律ではありません。この法律の正式名称は「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」ですが、最初の制定は1998年にまで遡ります。

当初は「電子データとして作成されたデータの保存」を対象にしており、紙の書類をスキャンしての保存は考慮されていませんでした。その後、2005年11月に成立した「e-文書法」の施行に伴い電子帳簿保存法も改正され、国税関係書類をスキャンして電子保存することが可能になりましたが、その要件は厳しいものであり、適用範囲は限定されていました。

この後も、2015年、2016年、2019年、2020年と、複数回にわたって法改正が行われ、電子保存の規制は段階的に緩和されていきました。そして2021年には、国税関係帳簿を電磁的記録する際の「税務署長への事前承認制度」が廃止され、スキャナ保存制度要件の大幅な緩和も認められることになります。

ここで注目したいのは、電子保存の要件が緩和された一方で、「電子取引データの書面保存」が一切認められなくなったことです。つまり、メールやインターネット経由でやり取りした取引書類を、印刷して紙の状態で保存することはできなくなったのです。2021年にこのような改正が行われた目的について、財務省は以下のように説明しています。

経済社会のデジタル化を踏まえ、経理の電子化による生産性の向上、テレワークの推進、クラウド会計ソフト等の活用による記帳水準の向上に資するため、国税関係帳簿書類を電子的に保存する際の手続きを抜本的に見直しました。

経済社会のデジタル化を踏まえ、経理の電子化による生産性の向上、テレワークの推進、クラウド会計ソフト等の活用による記帳水準の向上に資するため、国税関係帳簿書類を電子的に保存する際の手続きを抜本的に見直しました。

出典:「令和3年度税制改正について」※1 p6「②電子帳簿保存制度の見直し等」

つまりこの改正の背景には、デジタル化推進に向けた政府の強い意向があることがわかります。もちろん電子保存の要件が緩和されたことは、企業にとっても大きなメリットがあります。主要な書類が紙のままでは、その取り扱いに大きな業務負担がかかり、リモートワークにも対応できないからです。取引書類の電子化は、避けて通れない流れだと言えるでしょう。

その一方で「電子取引データ書面保存廃止」は、全ての企業に新たな負担を強いることになります。「電子帳簿保存法」が求める保存要件を満たした仕組みを、2024年1月までに整備しなければならないからです。これは企業規模に関わらず、電子的な取引が一部でもあれば、対応が義務付けられることになります。そして現在では、事業活動の実態がないペーパーカンパニーでもない限り、電子データでの取引が全くないという企業は存在しないといっても過言ではないはずです。

脚注
※1 https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2021/explanation/p003-008.pdf

電子帳簿保存の「2つの要件」をどう満たすか

それでは「電子帳簿保存法」に対応した電子保存の仕組みには、どのような要件が課せられているのでしょうか。国税庁が公表している「電子帳簿保存法が改正されました」※2というPDFのp2に、保存要件の概要が記載されています。複数の要件が列挙されていますが、その中から要点を抽出すると、大きく2点に集約できます。

まず第1は「真実性の確保」です。電子的な記録には、その痕跡を残すことなく改ざんや削除ができる、という特性があります。これを防止できなければ、電子保存された帳簿を信頼することはできません。そこで「電子帳簿保存法」では、記録事項について改訂または削除を行った場合には、その事実や内容を確認できることが、要件として定められています。

第2は「可視性の確保」です。これは税務調査時に、調査対象となるデータの検索ができ、その結果が明瞭な状態で出力・可視化できること、という意味です。「電子帳簿保存法」では、取引等の年月日や取引金額、取引先など、2つ以上の項目を組み合わせて検索できる機能や、期間や金額の範囲指定で検索できる機能、関連帳簿との関連性を相互に確認できる機能などが求められています。(なお、国税庁職員に帳簿データをCSVファイル等の形で提出する場合には、組み合わせ項目や範囲指定の検索機能は不要とされています。)

この2つの要件を満たす電子保存の仕組みを、今から速やかに作り上げるには、どうすればいいのでしょうか。しかもエネルギーなどのコストが高騰し、利益の確保が難しい状況では、最小限の投資やコストで実現することも求められます。

この問いに対するひとつの答えが、コンテンツクラウド「Box」の活用です。Boxとは、企業内の様々なコンテンツをセキュアに保存・管理・共有できるSaaS型のクラウドサービスです。様々な形のコンテンツを扱うことができますが、電子帳簿の保存先としても適しているのです。

まず「真実性の確保」に関しては、保存されているファイルに対し、誰が何を行ったかといった、変更作業の内容や履歴を確認できる仕組みを備えています。そのため改訂・削除が行われた場合でも、その事実や内容を後から確認できるのです。

「可視性の確保」に関しては、Boxが持つ「メタデータ機能」が役立ちます。これは「日付」「取引金額」「取引先」といった特定項目の情報(メタデータ)を、ファイルやフォルダに関連付けて保存するというものです。このメタデータを活用することで、複数項目の組み合わせや範囲を指定した検索を速やかに行い、関連するファイルを即座に参照できるのです。


メタデータによる「範囲検索」と「AND検索」が可能

読者の中には「帳簿データをクラウドで保管しても大丈夫なのか」と疑問を持つ方もいるかも知れません。しかしBoxは「電子帳簿保存法」の要件を満たすとともに、セキュリティ対策も充実しています。実際にBoxで「電子帳簿保存法」に対応した企業も数多く存在しています。加えて、クラウドサービスの利点として初期投資を抑えることができ、利用開始までの期間も大幅に短縮できます。

そして、ツール選定と同じくらい重要なことは、実運用に耐えうる運用設計です。適切なツール選定と運用設計はセットで考えるべきです。もし、これから「電子帳簿保存法」に対応するのであれば、ツール選定においてBoxは最も有力な候補になります。

脚注
※2 https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021005-038.pdf

Box資料ダウンロードはこちら