「最新の音響数値解析テクノロジーと音響解析ソフトウェアWAONのご紹介セミナー」開催報告

2006年7月10日(月)大阪、14日(金)名古屋、19日(水)東京にて、WAONのソルバー開発者であり、FMBEM(Fast Multipole Boundary Element Method:高速多重極境界要素法)研究の最先端を行く東京大学 大学院新領域創成科学研究科 佐久間哲哉助教授と、東京大学 生産技術研究所 安田洋介研究員によるご講演、及びサイバネットシステムよりWAONの機能紹介と最新解析例をご紹介する特別セミナーを開催し、3会場で約100名のご参加をいただきました。

音響解析は、騒音を抑制し静穏化を図ることや快適な音環境を整えるために重要であると共に、製品の高付加価値化、競争力強化のためにも重要になってきています。
しかし、現在の計算機環境下ではターゲットにできる対象物の大きさや、評価したい周波数領域を解析できないなどの問題が存在しています。
具体的には通常の境界要素法(BEM)では、32bit幅のマシンで2GBのメモリを使って解析できるモデルの規模は約10,000自由度であり、64bit幅、8GBのメモリを使用してもせいぜい20,000自由度が限界となっています。
これにより音響解析で扱える解析モデルは比較的小さいものに限定されたり、あるいは評価したい周波数領域よりも低い周波数までしか解析できない、というのが実情となっています。

そこで2007年1月、東京大学様との産学連携により、波動論的なアプローチでありながらこれまでよりも大規模(空間的、周波数的)な問題を扱うことのできる音響解析プログラムWAONをリリースさせていただきました。
具体的には、このWAONを使用することにより、32bit幅、64bit幅のマシンでそれぞれ約60,000自由度、約200,000自由度の規模の問題を解析することが可能になっています。また、昨今解析ソフトウエアの中には、その解析手法についてブラックボックス化する傾向が見られるものもありますが、このWAONに関しましては上記先生方のご指導、ご協力によりできるだけ透明性を重視し、理論マニュアルの充実や今回のようなセミナーの開催を継続的に実施していくことにより、ユーザーの皆様方へのより一層のサービスの充実を図ってまいります。

会場風景  会場風景