光学式心拍センサーの設計

〜迷光によるノイズを最小限に〜

光学式心拍センサーは脈拍情報を取得するのに有効なデバイスで、医療分野やウェアラブルデバイスで使用されます。原理としては非常にシンプルで、皮膚に向かってLEDから光を出射し、血管で反射して皮膚の外に出てくる光を検出します。血液中の酸素化ヘモグロビンが550nm付近の光に対して強い吸収特性を持つため、検出される550nmの光のパワーは血液量に従って変化します。血液量は拍動によって変化することから、この光のパワーの経時変化をみることで脈拍を取得することができます。
このセンシングの際、環境光や測定対象物以外からの反射光などのいわゆる「迷光」が検出器に入射してしまうと、脈拍の誤検出に繋がります。したがって発生しうる迷光をシミュレーションで確認し、なるべく迷光の影響を受けない光学系を設計することが重要です。

以下では、心拍センサーの一種である「PPGセンサー」の設計例の一部をご紹介します。
初期モデルは主にLED光源、光検出器、カバーで構成されます(図1、図2)。


図1

図2

まず発生しうる迷光の影響を確認します。ここではLED光源以外の発光体として、太陽光もモデリングしておきます。
PPGセンサーが着用者の皮膚に完全に接触してないと仮定して距離を0.3mm離し、シミュレーションを行います。
図3のように、正常光である「皮膚組織で散乱するLED光源からの光」以外に、「環境光(太陽光)」や「カバーなどで反射するLED光源からの光」が迷光として存在していることが確認できます(図3)。


図3

ここでカバーからの反射光を防ぐために、LED光源と検出器との間に吸収壁を配置します。
図4のように、適当な厚さの吸収壁をただ配置するだけでもある程度反射光を防げますが、効果を最大化するために、吸収壁の厚さを変えた場合の迷光パワーの変化を検証していきます。
検証の結果、図5に示すように、厚さが0.35mmの場合にほとんどの迷光を防げていることが確認できました。


図4

図5

最後に、光源と検出器の間隔を決めます。間隔を変化させた場合の正常光のパワー、迷光のパワー、およびその比(SN比)を検証し、最適な間隔を決定します。
結果は図6の通りです。今回は正常光のパワーが最も高く、またLED光源起因の迷光のパワーが比較的低い「1.5mm」の設計を選択します。


図6

以上のように、性能に悪影響を及ぼす要因を発見し、その要因を最小限に抑えるようにパラメータの最適値を探索することが良い光学設計のポイントになります。

サイバネットでは、今回ご紹介した設計事例を含む、レンズ光学系を中心とした各種光学系の設計、解析の受託業務を行っております。
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