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光学設計とは

光学設計とは

カメラや望遠鏡から照明器具まで、レンズと鏡を組み合わせた光学系の設計を広く光学設計と呼びます。何枚ものレンズが並び、光量を調整するための絞りがあり、場合によっては光を反射させる鏡が配置されます。こうしたレンズ群のデザインと構成を決め、求められる光学性能を発揮させる仕事が光学設計です。

光学設計の概要

光学設計に求められるのは、レンズ群の収差を補正して求められる解像度を実現するというのが基本的なところですが、製品によって求められる内容は異なります。カメラならば撮像素子上に結像させる、顕微鏡や望遠鏡は拡大した像を目の網膜上に結像させます。同じ結像させるにしても、撮像素子と人間の網膜とでは像を見せるために必要な光量が違うので、その点に留意する必要があります。

照明は室内照明ではなく、スタジオなどのスポットライトをイメージするとレンズや絞りが必要なことが分かるでしょう。投光も同様で、車のヘッドライトもただ光源が置かれているのではなく、より快適な夜間ドライブを可能にするように光学系で光軸や照射範囲、光量の調節を行います。

人工衛星やライフサイエンス、半導体加工装置など光学系が必要とされる分野は幅広く、それぞれ基本は同じでも、要求されることは異なり、設計者には柔軟な対応が求められます。

光学系のアプリケーション

十数枚から数十枚で構成するレンズ群を設計するときは、レンズごとの曲率半径や焦点距離などを調整しながら収差補正を行うわけですが、すべてのレンズの組み合わせでそうした数値を決めていくのは非常に大変です。設計をサポートする光学シミュレーションソフトにはレンズのデータベースが用意されており、設計時のシミュレーションが容易に行えます。光学シミュレーションソフトを使うことで、結像や集光の最適解を求めて短時間の内に評価をくり返すことができます。

結像/拡大 カメラレンズ、プロジェクターなど

レンズには結像と拡大の役目があります。広い範囲の光を収束させて像を結ばせるのが結像、レンズを組み合わせて元の像よりも大きなサイズで結像させると拡大です。レンズ群は凸レンズと凹レンズを組み合わせて構成しますが、像を拡大させる場合、結像に対して凹レンズを近づけます。これで像は拡大しますが、ピントが合わなくなるので凸レンズを動かしてピントは変えずに焦点距離(レンズから結像位置までの距離)を変えます。カメラからプロジェクター、コピー機、光造形3Dプリンター、スマートフォン搭載カメラなどでも基本的な原理は同じです。

照明、投光 LED照明、ヘッドライトなど

照明と投光は厳密に区分されていません。大きく分けるなら、全体を明るくするのが照明、特定の対象を照らすのが投光といえますが、野球場やサッカー場の照明など、投光器とも呼べる機能を持った照明器具もあります。

どちらであっても光学系が必要とされるのは、明るさと指向性の調整のためです。カメラなど光を取り込む装置に対して、照明や投光は光を投射する(当てる)装置なので、明るさに対する厳密さが求められます。必要な輝度や色温度に基づき、要求される照明分布を実現できるように光源を設定します。

光学設計における注意点

光学設計は被写体を点光源の集まりだと見なして、それぞれの点の光が光学系を通じてどこに結像するのかで評価されます。最適解となるまで何度もやり直しが続くため、光学設計のエンジニアには初期設計のセンスと根気強さが求められます。

なお光学設計はレンズ設計のみならず、メカ開発やデザインのチームとの連携が必要です。他部門との情報共有をスムーズに行なうことで、工数の削減や作業の迅速化が実現します。

レンズ設計の注意点

設計仕様が決まると、たたき台となる既成のデータを修正しながら仕様に近づけます。修正が終わると評価プロセスへ回し、そこで判明した誤差に基づいてデータを補正する、という繰り返しでレンズ設計は進みます。製造公差(設計と製造した実物のズレの許容範囲)内で最適解を出すことが求められます。製造公差は分野ごとに求められるレベルが異なるので、目的とするグレードに合わせる必要があります。製造現場には蓄積された製造公差に関する知見があり、それを活用します。

光学設計サービス

ドローンやロボットなど撮影/撮像機能が必要となる新しいジャンルの製品が増えました。そうしたメーカーは社内に光学設計部門を持っておらず、外部の光学設計サービス会社へ業務委託を行います。光学設計の専門会社では、受託設計のみならずエンジニア教育やソフトウェア開発まで、光学製品製造に必要なさまざまな支援を行っています。

受託設計

仕様の策定からレンズ設計、さらに機構設計と連携してモジュールとして受託する事例も多く見受けられます。光学センサのための極小レンズ設計などニッチなニーズにも答えられるのが専門メーカーの強みです。

解析・シミュレーション

自社で光学設計が行えても、光学解析に時間がかけられない、専門の解析担当者がいないなどの事情で滞る解析・シミュレーションも外部委託は可能です。

光学エンジニア教育

光学設計は、レンズの基本設計はあくまで土台であり、そこから分野を超えて広がる日進月歩の業界です。光学エンジニアは常に情報をアップデートしておく必要があります。光学設計の受託企業では、カメラメーカーのエンジニアを講師にしたエンジニア教育も積極的に行っています。

光学設計ソフトウェアプログラミングの活用

受託業務の中には、(商用の)光学設計ソフトウェアを使って設計環境を整え、必要に応じて設計や解析の業務をマクロプログラムで効率的に行うなどのサポートも含まれます。ユーザー定義関数を使うことで、ソフトウェアの標準機能だけではできないシミュレーションも可能になるなど拡張性を担保できるため、こうしたプログラミングを外注することもあります。

サイバネットシステムの光学エンジニアリングソリューション

光学設計には、知識や経験に裏打ちされた専門性を持つエンジニアと、優れたCAEソフトウェアの利用が不可欠です。

サイバネットシステムでは、光学の高度な専門知識を持ったエンジニアや、30年の実績を踏まえたCAEソフトウェアやシミュレーションツールを活用したソリューションをそろえ、これまで培ってきた専門性とデジタルソリューションによって、お客様の課題解決をお手伝いします。サイバネットシステムでは、光学の高度な専門知識を持ったエンジニアや、30年の実績を踏まえたCAEソフトウェアやシミュレーションツールを活用したソリューションをそろえ、これまで培ってきた専門性とデジタルソリューションによって、お客様の課題解決をお手伝いします。

サイバネットシステムの光学エンジニアリングサービスは、光学設計から、解析、エンジニア教育、コンサルティング、プログラム開発、設計開発環境構築、測定/測定まで、光学エンジニアリング業務を幅広くカバーしています。詳しい説明や技術相談、ご質問などお気軽にお問い合わせください。

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