ADASを支える光学システムの課題解決
(センシング・カメラ・ディスプレイまで)
ADASとは
ADAS(Advanced driver assistance system)とは走行する自動車の安全性や快適性を保つために車自体が自動車を制御したりドライバーに警告を促したりするシステムです。
また、ADASのサポート範囲には定義(レベル)が設けられており6段階に分かれています。
レベル0:自動化なし
レベル1:運転者の支援(例:速度のみを一定に保つ機能)
レベル2:部分的に運転を自動化(例:加減速を自動化する機能)
レベル3:条件付きで運転を自動化
レベル4:高度自動化
レベル5:完全自動化
というように、現在の技術はレベル2までが主流となっており2020年以降はレベル3の一般化が期待されてます。
昨今、国内外の多くのメーカーが採用し、発売される自動車に標準装備として搭載されており、車載エレクトロニクスの中で急成長を遂げている分野の一つとなっています。
一例として
・ヘッドライトの自動制御
・後方確認用カメラによる視認性の向上
・ドライバーの居眠りを察知するセンサー
・自動ブレーキによる減速や停止
・渋滞中 / 高速走行時の自動運転
・GPSやインターネットを利用した死角の可視化
など
また、これらの技術を可能にしている物がCCDやCMOSセンサーを搭載したカメラであったり、LiDARやミリ波レーダー、GPSなどの「画像」「距離」「位置」情報から周囲の安全を察知することが出来ています。
これらの情報は単体で利用されることもあれば様々な情報センサーを組み合わせて利用されることもあり、センサーフュージョンと言われる技術開発も進んでいます。
各国の取り組みとして、
・米国…2018年5月までに4.5トン以下のすべての新車にリアビューカメラの搭載を義務付け
・欧州…日本やEU諸国を含む40カ国と地域が2020年初めにも自動ブレーキの搭載を義務付け
大きな市場を中心に義務化や技術開発の動きが盛んになっており、今後も活発に動き続けると考えられてます。
ADASと自動運転の違い
自動運転(AD)とは、センサーやレーダー、GPSなど自動車に搭載されているシステムが自律的に作動し周囲の状況を適切に判断しながら、安全に自動車を運転することです。
メリットとして
・運転者の負荷軽減
・交通事故の減少
・燃費の向上
・環境負荷の軽減
などがある一方、デメリットとして
・システム誤作動の不安
・車両販売価格の高騰
・運転する楽しみの減少
・道路交通関係の労働力や働き口の減少
といったことが挙げられます。
デメリット解消のために必要な開発技術の向上や、事故発生時における責任の所在を明確にした法整備については、現在の課題と言っても良いでしょう。
運転サポート(ADAS)と自動運転(AD)
ADASとADの違いは「人を介して自動車が運転されるかどうか」にありますが、自動運転を具現化するための技術にADASが存在していることも事実です。
そのため、ADASが行き着く先のゴールとしてADがあると言えるでしょう。
ADAS実現のためには・・・
「発見」に必要なデバイス:センサー
センサー |
メリット |
デメリット |
カメラ (単眼・ステレオ) |
画像認識にも使用 |
悪天候・夜間 (可視光が必要) |
電波(ミリ波)・ 超音波 |
天候や逆光などの影響を受けにくい・測定可能距離が長い |
物体の形状や歩行者の認識ができない |
レーザー (赤外線) |
安価・コンパクト・指向性が強い |
測定可能距離が短い・悪天候 |
※各センサーには、メリット・デメリットがあり複合的に利用する必要もある
センサーフュージョン
複数のセンサーを融合させ、単独のセンサーでは実現できない機能を実現
(例:レーダーが物体を検知し、カメラは物体の種別を認識・判定 )
代表的なセンサー の種類
- 後方監視カメラ・レーダー
- 前方監視カメラ・レーダー
- 車両位置センサー
- 車間距離センサー
- 車速度センサー
- 障害物センサー
- 前方監視カメラ・レーダー
- ドライバ監視カメラ
- ・・・
「判断」に必要なデバイス:ディスプレイ
ディスプレイ
- カーナビ
- HUD
- バックモニター
- インパネ
- 電子ミラー
- ・・・
ADASの光学システム全体における課題
センサー(カメラ・電波・レーダー)
・外光の影響
・設置場所の制約
・機器の干渉
・熱/振動対策
・夜間や悪天候への対応
ネットワーク・システム(ECU・光ハーネス)
・転送速度の確保
・軽量化
・ノイズ対策
・分岐/合成部の設計
ディスプレイ(HUD・カーナビ・バックモニター・デジタルメーター・ナビゲーションディスプレイ)
・外光の影響(例:ディスプレイに直射日光が当たった時の見えやすさ)
・各種周囲環境下での視認性確保(例:晴れた雪の日でも文字がはっきりよめるHUD)
・車種/プラットフォーム毎の設計(例:像の歪み)
・運転者個人への対応(例:視点の位置)
・設置場所の制約
・熱/振動対策
各課題におけるサイバネットの光学ソリューション
ヘッドアップディスプレイ(HUD)
HUDの光学系は、設置場所に制約があるため、複雑な面形状と配置からなります。そのHUDの開発にはCODE Vの強力な最適化が有効です。また、輝度ムラや色ムラ、二重像、外光の映り込みなどの評価や原因分析にはLightToolsをご利用ください。
デジタルメーター、ナビゲーションディスプレイ
均一で明るい表示のディスプレイを開発するにはLightToolsの最適化が使えます。薄型化や高効率化、コストダウンも必要です。有機EL(OLED)を用いたディスプレイはsetfosで解析できます。また、DRL(デイタイム・ランニング・ランプ)の設計もLightToolsはサポートします。
車載カメラ、ナイトビュー、リアモニター
車載カメラには小型化、広角化(魚眼) 、高精細化が求められます。このような光学系の設計をCODE Vの最適化がサポートします。外光による影響(ゴーストやフレア)の原因はLightToolsで特定できます。熱対策の評価にはANSYSが使えます。
AFSヘッドランプ
夜間の視認性向上、対向車への眩惑防止などにAFS、ADBがあります。走行環境に応じて必要な視認性を得られているかはLucidDriveで評価できます。シミュレーションした配光分布、実測の配光分布を取込むことができます。
光ネットワーク
ADASにおける大容量データの通信解析には超高速解析エンジンを持つRSoftをお使いください。また、RSoftでは光集積回路(PIC)で問題となるマルチパス干渉(MPI) や、個別部品(MMF、コネクタ、送受信器)の性能の予測にも活用できます。
レーザーレーダー
光源がレーザーの光学系の解析にはCODE VのBSPが有効です。照射した対象物からの散乱光の分析にはLightToolsを、受光するセンサー光学系の開発にはRSoftを利用してください。
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