設計に取り組むに当たって、幾つか予測を立てておくことにしました。
まず、どんなレンズタイプが今回の設計解になりそうか予想をしてみました。
一般的に絞りを挟んで対称となる系は、ディストーションやコマ収差、倍率色収差の補正がしやすく、明るいレンズに使用される。明るくできる上に、ディストーションの補正がしやすいので解の候補になりそう。
一般的なカメラの交換レンズのデータを基に、評価関数(MF)のスコアターゲットをざっくりと見積もることにしました。おおよその限界値を求めておけば、自分がどの辺りにいるのか見当がつくというものです(最初の目測が間違っていたということも往々にしてありますが)。
評価関数(MF) = [入射瞳径]×[画角]
設計をはじめるに当たって、1にも2にも初期光学系が重要です。そこで、初期光学系をどのように決めようかと考えると、大きく分けて以下の2つのパターンが考えられます。
パターン1:始めからレンズデータを作成
通常の開発業務では設計仕様に最も近いパテントデータ等の既存データを使用し、そのデータを初期データとして設計を開始するというのが一般的かと思います。CODE V には2500件ものパテントオフデータが収録されています。今回の設計仕様に合うようなレンズもあるのではないかという邪な考えがよぎりまして、迷うことなく方法2を選択しました。
パテントデータの利点としては、なんせ素性がいい。収差補正の容易性の観点から、パワー配置に無理が無い(のではないかな?)。さてさて、いいレンズはないかな〜。
レンズタイプ、MFの限界値の推測より、適当な既存レンズを基にして設計を開始しました。
初期レンズには、CODE Vのサンプルレンズを使用します。最初の検討候補に則って、対称系にはダブルガウスレンズ(DBGAUSS.len)、レトロフォーカス系にはワイドアングル(WIDEANG.len)を使用候補となります。
焦点距離 | 100 |
---|---|
レンズ枚数 | 6 |
EPD (mm) | 50 |
最大画角 (deg) | 14 |
MF | 700 |
焦点距離 | 100 |
---|---|
レンズ枚数 | 6 |
EPD (mm) | 25 |
最大画角 (deg) | 36 |
MF | 900 |
MFを比較すると、初期の状態ではワイドアングルレンズに分があるようです。小手調べとはいえ、ハイスコアであるに越したことは無いので、ポテンシャルを買って初期レンズは、こちらに決定。
ということで、お時間となりましたので次回:初期推定についての確認設計に続きます。