私はまず出された設計仕様を漠然と眺めておりました。
何か斬新なアイデアが浮かばないかなぁと。
・・・もちろん、浮かぶはずがありません。。
ひとつ思ったのは「総ての球面の曲率半径が絶対値で同一」というのはきれいだなぁということです。
“光学的に“ではなく、“数学的に“。
斬新なアイデアも浮かばないので、ここで基本に立ち返りました。
ということで、レンズのパワー配置を決めることから始めました。
まず各レンズのパワーの計算です。
曲率半径が同じなので、考えられるレンズ形状は以下の6タイプ9パターンです。
曲率半径をR、指定硝材であるN-BK7の屈折率(1.219473)をnとすると、各タイプのパワー(薄肉)では以下のようになります。
いいですね。思った通りきれいです。
各式の係数比が2、1、−1、−2、0ときれいにまとまっています(当然ですが)。
では、これらレンズを距離dで2枚並べてみると、パワーはどうなるでしょう。
同じようにきれいな式ができれば…と思いました。
2枚に続き、3枚、4枚、5枚、6枚、…とレンズ枚数を増やしていってもきれいな式が続くのだとすると、
薄肉レンズでの最適なパワー配置が計算だけで求まる!
早速2枚レンズのパワーを計算してみましょう。
まずは両凸レンズを1枚含む場合。
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+両凸 | 4 | -4 |
+平凸 | 3 | -2 |
両凸のみ | 2 | 0 |
平凹 | 1 | 2 |
両凹 | 0 | 3 |
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+両凸 | 3 | -2 |
+平凸 | 2 | -1 |
平凸のみ | 1 | 0 |
+平凹 | 0 | 1 |
+両凹 | -1 | 2 |
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+両凸 | 1 | 2 |
+平凸 | 0 | 1 |
平凹のみ | -1 | 0 |
+平凹 | -2 | -1 |
+両凹 | -3 | -2 |
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+両凸 | 0 | 4 |
+平凸 | -1 | 2 |
両凹のみ | -2 | 0 |
+平凹 | -3 | -2 |
+両凹 | -4 | -4 |
式はきれいですが、この後、順調に計算し続けられるとは到底思えません。。
計算を続けたところで、焦点距離が100となるRとdの組み合わせを求めることはできなさそうです。
3枚以上のレンズのパワーを計算するのはやめました。
考えが浅はかでした。反省します。
さぁ気を取り直して。
再度、1枚レンズのパワーを見直しました。
なんと、ここで、ひらめきました!
パワーの比率は2:1:0:-1:-2。(←見たまんま)
2枚レンズをd=0で並べたとき、合計のパワーは2枚のパワーの足し算。(←当たり前)
ということは、レンズのパワーをもとにして、1枚のレンズを2枚にすることができる!!
(↑当然)
これを利用すれば、光学系のパワー配置を自動的に検索していくことができそうです。
さて、方法は…