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製品情報

PRODUCT

有機ELと太陽電池の大型セル設計用シミュレータ

Laoss

有機EL・太陽電池パネルの電気・光学シミュレーションを行うソフトウェア

Laoss は、大面積半導体デバイス(有機EL、太陽電池)のシミュレーションソフトウェアです。デバイスサイズの大型化に伴って発生する電圧降下を計算して、電極の形状を最適化したり、高い導電性グリッドにより生じるシャドーイング効果とオーム損失の両方を最小にしたりする検討などが可能です。Laossの電気シミュレーションでは、2次元の有限要素法(FEM)のモデル(電極)と、1次元の電流電圧特性を記述するモデル(デバイス)を組み合わせています。また、Laossの光学シミュレーションでは、3次元光線追跡アルゴリズムにより、複雑な形状を持つ光学素子や表面テクスチャを持つ有機ELや太陽電池の光取り出しや光入射のシミュレーションなどが可能で、Setfosと組み合わせた解析も可能です。

Laossリリース情報

Laossの最新版4.1の新機能を紹介します。

リリース時期:2021年5月

追加された新機能

(全体)

  • LaossとSetfosを連携させたシミュレーション
  • フィンガー電極の形状テンプレートに、フィンガー電極の数(Number of Fingers)、角度(Finger angle)、ベースオフセット(Base offset)のパラメータを追加

  • プログラムを閉じる、シミュレーションを実行する、別のファイルを読み込む、などの前に、モデルを保存するかを確認する機能
    (最後にモデルを保存した後にパラメータ変更があった場合のみ)
  • Save As を選択した際に、シミュレーションの結果も保存するか選択する機能

(Electrical モジュール・Thermal モジュール)

  • AC電圧を印加したシミュレーション
  • Path continuationソルバーの追加

(Optics モジュール)

  • 画素配置に関連する3次元形状テンプレートに、X,Y方向の画素数のパラーメータを新しく追加(例:2x2,3x4)

  • 2次元形状テンプレート(画素構造ライブラリ含む)の使用
  • Topography import(3次元形状のインポート)にUndo/Redoを追加
  • (方位角に依存しない)BSDFに対して、方位角Φを固定することが可能に
  • 方位(手前・奥・左右)ごとの境界条件の設定
  • スペクトルプロット(特定のXY点や角度のスペクトルを表示)



  • XYプロットの結果への、形状境界の表示機能

Laossの最新版4.0の新機能を紹介します。

リリース時期:2019年12月

Laoss 4.0 について

LaossにOpticalモジュール(Laoss Optics)が追加されました。 Laoss opticsは強力な3次元光線追跡ソルバーで、以下の用途に使うことができます。

  • 複雑な3次元形状の光学素子や表面テクスチャを有するOLEDや太陽電池における光の入射・光取り出しのシミュレーション。
  • 3次元光学素子とデバイスへの寄与のモデル化。
  • OLEDディスプレイにおける光学クロストークのシミュレーション。

Laoss opticsはOLEDや有機/ペロブスカイト太陽電池の研究において典型的に使われる事例を想定して設計されています。また、シミュレーションするデバイスの定義には、層ごとに特性を入力する方法が採用されています。
LaossはFluximのソフトウェアSetfosの出力(発光特性・反射/透過特性・BSDF)を直接取り込むことができ、包括的に設計できるシミュレーションパッケージになっています。

Laoss Optics 解析例<

①3次元形状を持つ光学素子

フレネルレンズやその他の光学素子はOLEDや太陽電池と組み合わせることで効率を上げることができます。また、デバイス表面に構造を設けることは、光取り出しを改良するのに効果的です。Laossは強力な光線追跡アルゴリズムを使って光学素子の光学的な出力をモデル化することができます。複雑に光と作用する形状を持つOLEDや太陽電池の解析に、このシミュレーション結果とFluximのソフトSetfosを組み合わせることも可能です。

②OLEDディスプレイにおける光学クロストークのシミュレーション

白色OLED(WOLED)とカラーフィルター(CF)を組み合わせたディスプレイでは、隣のユニットにあるWOLEDが発光したときに、フィルターを通過する光のリークによって色域が悪化する可能性があります。この光学クロストークは、光学構造体の内部で散乱されてディスプレイ内部で別の画素へリークした光によって引き起こされます。WOLED+CFにおける光のクロストークの軽減は、いくつかの形状に関するパラメーターを組み合わせた最適化が必要となります。
3D光線追跡によってLaossは電気的なクロストークの計算に加えて画素の光学クロストークを定量化することができるようになりました。したがって、このようなシミュレーションにより、コストや時間のかかるデバイス作製やテストを行うことなく、ピクセルマトリックスの特性を最適化できます。

有機EL/太陽電池/LCDにおける光学微細構造の定義

Laossでは、パラメーター化されたライブラリの使用や双方向散乱分布関数(BSDF)をファイルから読み込むことにより、様々な光学微細構造を定義することができます。マイクロレンズ・マイクロピラミッドなどは、パラメーター入力により面倒な描画をすることなく素早く定義することができます。
また、Laossでは曲率半径を指定して平面を曲面に変換できるため、曲面ディスプレイ・フレキシブルディスプレイにおける配光などを簡単に調べることができます。

Laossの最新版3.0の新機能を紹介します。

  • DXFジオメトリを編集してLaossでシミュレーションできることを確認するための、ジオメトリインポートツール(下図)を搭載しました。

  • 新しい特性評価として、OLEDの輝度や面内電流値を表示するする機能が追加されました。(下図)

  • カップリングの動作や境界条件に関して、数式表現を入力することで定義できるようになりました。

  • X軸やY軸を対数表示できるようになりました。

Laossの最新版では、Laossの2+1Dシミュレーションに熱のモデリングが導入されました。OLEDや太陽電池にて生じた熱と温度分布によるデバイス電流の変化を計算します。

上の図は、六角形のバスバー電極を有する10x10cm2のOLEDの電圧と温度分布のシミュレーション結果を示しています。同様に、太陽電池に対しても、熱の生成と、その結果の局所的なシャントに起因する温度分布を計算できます。

Laoss 2.0 は、また、AMOLED(Active Matrix OLED)でのピクセルクロストークの電気的モデリングのチュートリアル例を含んでいます。以下の左図は、RGBピクセルの配置例を示しており、中央の青のピクセルの点灯に対して電位分布をシミュレーションしたものが右図です。

特長

Electricalモジュール

電極を2次元の有限要素法で解析し、2つの電極の間に1次元の電圧電流特性を適用して解析します。
解析式や数値データ(実験あるいはシミュレーション)で電流電圧特性の入力が可能です。
また、デバイスの最適化(電極の材質や配置など)、有機EL・太陽電池でのオーミック損失の最小化、有機ELディスプレイの画素間の電気的なクロストーク解析などの検討が可能です。

Thermalモジュール

Electricalモジュールと共に使用し、熱の発生と、電気的特性の間の相互作用をシミュレーションします。
有機ELや太陽電池パネルの温度分布の計算や発熱による理想の電流電圧特性からのずれの解析などに利用可能です。

補助電極ありの電極の電位分布[1]から温度分布[2]を求めた例

Optical モジュール

3次元の光線追跡アルゴリズムによる光学シミュレーションを行います。
有機ELディスプレイにおける光学的なクロストークなどの解析が可能で、Setfosと連携させて薄膜構造による影響も考慮した複雑な解析も可能です。