VirtualLabによる回折光学素子の設計・試作レポート

VirtualLabのDiffractive Optics Toolboxを用いると、回折光学素子(Diffractive Optical Element; DOE)を設計することができます。本ツールボックスを用いて、回折光学素子の設計・試作にチャレンジしました!

回折光学素子の仕様

今回設計した回折光学素子の仕様を、図 1に示します。設計目標は、レーザーを照射した際に、スクリーン上に弊社名’CYBERNET’というロゴを映し出す回折光学素子を作ることです。回折光学素子は、合成石英の基盤に成形する位相タイプとしました。想定したレーザー光源のビーム直径がφ2mmであること、合成石英の基盤に回折光学素子を成形する装置の最小ピクセルサイズが8μmであることに基づき、回折光学素子の1周期のサイズを512μm×786μm(64ピクセル×96ピクセル)、全体サイズを5周期×3周期並べた2560μm×2304μmに設定しました。仕様の決定方法につきましては、弊社で定期開催している回折光学素子設計セミナーで詳細を説明しています。



図1 回折光学素子の仕様
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回折光学素子1周期分の最適化

Diffractive Optics Toolboxの機能である、メニュー[Design]-[Standard Transmission]を用いると、回折光学素子の1周期分について、回折効率の最適化を行うことができます。実際に最適化に用いた設計ドキュメント(design_10330_01.dp)は、ここからダウンロードできます。設計ドキュメントは、無償トライアル版でお試しいただけます。
図 1に示すように、まず設計ドキュメントの[Specification]タブに設計したい回折光学素子の仕様を入力しました。尚、[Signal Field]欄において目標とするスクリーン上のパターンを設定しますが、現実的に不可避である製造誤差で生じる0次光と重ならないように、’CYBERNET’が中心(光軸)から離れたところに生じるように設定しました。
次に、図 2に示すように、[Design]タブで反復フーリエ変換法(Iterative Fourier Transform Algorithm; IFTA)による最適化を行ないました。この最適化は、乱数で決めた初期位相分布からスタートするので、試行ごとに異なる結果が得られます。10回の試行を行い、その中から最も評価関数の性能が良かったものを設計解として採用しました。

設計ドキュメント(design_10330_01.dp)の仕様策定

図2 最適化の仕様設定
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設計ドキュメント(design_10330_01.dp)による最適化

図3 最適化の実行
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回折光学素子を複数並べた場合の解析

回折光学素子1周期分の最適化を終えた後は、入射レーザービームの大きさ分だけ複数周期ぶん並べた場合の解析を行い、実際に得られる回折パターンの確認をする必要があります。この確認のために作成した、VirtualLabの Starter Toolbox用解析モデルを、図 4に示します。本モデルは、ここ(analysis_10330_01.dp)からダウンロードできます。設計ドキュメントと同様に、無償トライアル版でお試しいただけます。
離散フーリエ変換の関係にもとづくと、ピクセルサイズ8μm×8μm、波長635nmの条件では、2m離れたスクリーン上の計算領域は159mm×159mm内に制限されます。実際には、この領域より外側に高次の回折パターンが現れるはずなので、それを確認するため、Stored TransmissionのPixelation Factorの値を3倍に上げました。また、回折光学素子の溝深さが理想的な場合に相当するScale Factorが1.0の場合と、製造誤差により溝深さが設計値の0.7倍になった場合の2通りについて、伝播計算を行ないました。その結果を、図 5に示します。溝深さが0.7倍になった場合は、0次光と反転したパターンが現れる結果が得られました。あとで実測と比較します。

解析モデル(analysis_100330_01.lpd)

図4 解析モデル
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図5 シミュレーションによるスクリーン上の回折パターン
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回折光学素子の試作

設計・解析を終えたら、回折光学素子の成形に必要な形状データを生成し、製造を行ないました。形状データの生成は、Diffractive Optics Toolboxの機能であるメニュー[Design]-[Structure Design]機能を用いて行ないました(本機能は無償トライアル版では使用できません)。本機能の概要を図 6に示します。この形状データをもとに作られた試作品を図 7に示します。回折光学素子の成形はWAVE OPTO社様、ホルダとレーザーコリメーションユニットの製作はエーエルティー社様にお願いしました。



図6 形状データの生成
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図7 試作した回折光学素子
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回折パターンの実測結果

試作した回折光学素子にレーザーを照射した際に、実際に得られたスクリーン上の回折パターンを図 8に示します。図 5のシミュレーションの回折パターンによく一致するパターンを得ることができました!



図8 回折パターンの実測結果
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おわりに

VirtualLabを使って、スクリーン上に任意の回折パターンを映し出す、精度の高い回折光学素子を設計・試作することができました。本レポートでご不明な点やご質問がある方は、こちらからお気軽にお問い合わせ下さい!
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