慶應義塾大学理工学部電子工学科 津田研究室様によるFullWAVEクラスタ使用事例

― 光で世界を結ぶフォトニックネットワークの構築を目指して ―

津田研究室では、次世代光通信システム用光デバイスの研究、開発を行い、材料・デバイスからシステム・プロトコルに至る幅広い視野を持つ研究者・技術者を養成することを目指しています。長年米国Synopsys社が開発いたしましたRSoft製品を光通信デバイスのご研究でご使用いただいています。安定性に優れた石英光導波路による光回路、小型化や低消費電力を目指して、Si(シリコン)を使ったシリコン光回路の研究が行われています。比屈折率差の大きい光回路や反射構造のある光回路の解析にはFDTD法(Finite Difference Time Domain)を使ったFullWAVEが必要です。FDTD法は解析する空間を細かいメッシュで切り、各メッシュポイントの電磁界の各成分を、時間的にマクセル方程式に基づいて解いていく手法で複雑な光伝搬を正確に計算することが可能です。しかしながら大きな空間の解析には膨大なメモリ容量と計算資源(CPU時間)が必要となります。例えば、これまでご使用されていた1台のワークステーションでMMI(Multi Mode Interference)カップラの解析をすると2次元解析で3-4時間かかっておりました。実際は3次元デバイスですが膨大な計算時間のために2次元モデルでしか解析できませんでした。

慶應義塾大学 理工学部電子工学科 津田教授と導入されましたFullWAVEクラスタ Windows InfiniBand 並列計算機

津田教授のお話
「様々な光回路のアイデアを具現化するに際して、シミュレーションによって性能を予測したり、詳細な設計をしたりすることが不可欠です。クラスタを導入して計算を高速化すれば、その分精度を高め、バリエーションを増やすことが出来るので、効率よく回路試作を行い、目標を達成することが可能となります。」

FullWAVEでは従来から並列計算機能を使ったクラスタ計算が行えますが、各PC間の接続では従来ギガビットイーサネット(GbE)が使用されておりました。しかし、GbEで多数のPCを接続するよりも、PC内部に多数のコアを実装した計算機の方が計算時間が短く、多数のPCを接続するメリットはありませんでした。
そこで最新の高速接続インタフェース(IF)であるInfiniBandを採用したWindowsクラスタシステムをご提案いたしました。InfiniBandは世界のハイパフォーマンス計算機システムで採用されている最新IFですが、Windowsクラスタシステムでの採用は多くありません。しかしながらWindows OSは使い勝手が、Linuxよりも圧倒的に簡単で誰でも使える環境となります。FullWAVEはInfiniBandを使ったWindowsクラスタシステムでまったく問題なくLinuxとほぼ同等の速度で計算できました。
今回導入しました4ノード(合計32コア)のFullWAVEクラスタシステムは従来の計算速度と比較して20倍以上の速度がでており、3次元MMIカップラの解析が1時間以内で可能となりました。今後ますます増加していく光通信のトラフィックに対応していく高速、小型で高性能フォトニックデバイスの研究・開発に、津田研究室でご導入いただきましたFullWAVEのWindows版InfiniBandクラスタシステムが活躍していくことが期待されます。

HPCシステムズ株式会社製
計算機本体:HPC5000-2UTwin + 2台(4ノード)
CPU:Intel 4CoreXeon E5-2643(3.3GHz, 10MB L3Cache, 32nm, TDP130W) x2CPU(8Core)
メモリチャンネル:1600MHz x4
Memory:64GB(8GB DDR3-1600 ECC x8枚)
InfiniBand 40Gbps(QDR)

FullWAVEクラスタの特徴

  • パルス解析で使う材料分散マテリアル・データベースで、実測値や論文のn, kデータから自動的に最大24ケまでのローレンツ・ドルーデ係数フィティングが可能
  • マテリアルのキャリア効果機能で複雑な屈折率分布、デバイスの周波数レスポンスの生成、カスタムなユーザー定義のドーピング・プロファイルの入力が可能
  • Q-FinderによるQ値計算とモード解析が可能
  • Windows 2008 Server R2とIntel MPI ver4.1でInfiniBand のFabrics指定が可能

※記載されている社名や製品名は各社の登録商標または商標です。