屈折率導波テーパ・レーザのシミュレーション

通信に限らず、印刷や製造、医療を含むアプリケーションで、テーパ・レーザ・ダイオードは、高出力コヒーレント・ビームを提供する低価格の光源になっています。テーパの幾何学構造によって、従来の製造プロセスとの互換性を維持しながら、従来の高出力でレーザ・ダイオードが広範囲で直面しているビーム品質の問題を克服できます。しかしながら、テーパ構造はその設計プロセスをより一層複雑にするため、光学、電子および熱の影響を含む完全な3次元シミュレーションが必要になります。

そのようなデバイスをモデル化するために用いられる従来のシミュレーション技術は、問題を単純化し過ぎて、空間ホール・バーニング、フィラメント動作、セルフ・フォーカシングなどのような有害な影響を処理できないか、あるいは厳密に時間領域で解析を行うため、時間とメモリの両方に関して膨大な計算資源を必要とするかのどちらかでした。そのようなテーパ・レーザ・ダイオードを解析して最適化するために、Tapered Laserユーティリティは効率的で正確な設計ツールとして提供されています。RSoftの強力なシミュレーション・ツール BeamPROPおよびLaserMODの2つを矛盾を生じない方法で本質的に結合し、テーパ・レーザ・ダイオードの完全な3次元シミュレーションを実現します。準3Dの電気、量子力学的なゲイン、熱計算はLaserMODを通して実行し、光学フィールドはBeamPROPを用いて伝播させます。

ツール
カテゴリ アクティブ・デバイス

構造の概要

図1は、テーパ・レーザ・ダイオードの一般的な構造を表しています。縦方向の構造は、直線導波路の部分に続いてテーパ導波路の部分があります。断面方向は、p/nクラッド、p/n導波路、量子井戸層を含むかも知れない任意のエピタキシャル階層構造で構成されます。例題では、長さ1000μmの直線部分と1000μmの線形テーパ部分を持つ、テーパ・レーザ・ダイオードをモデル化します。つまり、材料系、多層の断面構造、直線部分やテーパ部分の長さのような縦方向の特性など、要求される仕様に合わせて簡単に修正することができる一般的な構造を表しています。1.3Vから1.6Vまで7ステップでバイアス電圧を変えるように、Tapered Laserユーティリティのシミュレーション・パラメータを設定してあります。


図1:RSoft CADによる屈折率導波レーザ・ダイオードのレイアウト、黄色の領域は電極を表す

シミュレーション結果

図2は、この構造の計算結果を示しています。最終的なバイアス・ポイントVbias=1.6Vで、レーザの両端から出て来る結合されたパワーは約1789mWで、電流は約1670mAです。図2から分かるように、バイアス1.6Vでの出力端のフィールドには、多くの特徴があります。さらに、LIカーブは、ぴったりと直線をたどります。一旦シミュレーションが終了すれば、ユーザは、閾値より上でシミュレーションされた各バイアスにおけるレーザ・キャビティ内の前方と後方のフィールド・プロファイルの中をスクロールすることもできます。


図2: a) 計算終了後のTapered Laserユーティリティの解析ウィンドウ、b) 最終的なLIVカーブ

Vbias=1.45で、レーザ・キャビティに沿ったいくつかのz座標に対するx-y断面における安定したフィールド・プロファイルを図3に示します。入力端でさえ、フィールド・プロファイルが基本モードからかなりずれていることが明白です。


図3:Vbias=1.45Vにおけるフィールド・プロファイル、
a) Z=0μm(入力端)、b) Z=1500μm(テーパの中央)、c) Z=2000μm(出力端)

さらに、異なるバイアスで安定したフィールドの形状を見ると(図4参照)、より高いバイアスでより強くなっていくフィラメンテーションのような効果によって、フィールド・プロファイルの特性が大きく変化することが明らかです。


図4:出力端でのフィールド・プロファイルの横方向の変化、a) Vbias=1.45V、b) Vbias=1.6V

まとめ

高出力で良質なビームを持つテーパ・レーザ・ダイオードの必要性が高まるにつれて、そのようなデバイス中で生じる複雑な電子・熱・光学の相互作用を正確にモデル化できる効率的で精密なシミュレーション・ツールが必要になっています。RSoftのTapered Laserユーティリティは、種々のアプリケーションに対応するテーパ・レーザ・ダイオードを解析し最適化するための正確で、効率的で、且つユーザ・フレンドリな理想的パッケージとして提供されています。