太陽電池セルの効率

この例題では、DiffractMODとMOSTを用いて、参考文献[1]で述べられているような設計に対して回折反射格子と分布ブラッグ反射器(DBR:Distributed Bragg Reflector)を追加することで、構造内へ効果的に光を閉じ込め、結果として大幅な効率改善になることを確認します。

ツール
カテゴリ グレーディング

構造の概要

ここで検討する太陽電池セルは、簡単な1層のARコーティング、周波数依存性のある吸収をもつシリコン吸収領域(参考文献[2]を参照)、シリコンの矩形回折格子、そしてSi/SiO2層で構成されるDBRで構成されます。この構造はCADでは以下のように見えます。

吸収スペクトルの計算

薄膜デバイスは通常簡単な解析手法によって設計できますが、回折格子をモデリングするために光線光学を用いることはできないので、より厳密な手法が必要です。RSoftのDiffractMODのようなシミュレーション・ツールは、RCWA法(Rigorous Coupled Wave Analysis)に基づいており、フル・ベクトルでの解析が行えるので、構造内の電磁界をモデル化し且つデバイスの吸収スペクトルを計算できます。このスペクトルと入射される太陽光スペクトル(AM 1.5)を与えれば、参考文献[1]に述べられているように吸収されるフォトンの総数を計算できます。
太陽光スペクトルに正規化されたこの例題のスペクトルは、以下の通りです。

MOSTを用いた効率の計算

DiffractMODによって求められた吸収スペクトルから自動的に効率を計算するために、カスタムな後処理スクリプトを用いてRSoftのスキャンと最適化を行うツール(MOST)の設定を行いました。そして、選択した構造パラメータを変化させて、この設計を最適化します。最初に、格子とDBRなしで太陽電池セルの効率を計算して、シリコンの厚さ5μmと10μmに対する効率として、それぞれ約12%と約15%が求められました。その次に、さらに別のシミュレーションを行い、以下の結果を得ました。

これらの結果は、異なる屈折率によるARコーティングや異なる格子周期(DBRも共に変化)に対するセル効率を示しており、効率が約17%と19%にそれぞれ増加したことを示しています。

参考文献
[1] 1N. N. Feng, J. Michel, L. Zeng, J. Liu, C. Hong, L. C. Kimerling, and X. Duan, "Design of highly efficient light-trapping structure for thin-film crystalline silicon solar cells," IEEE Trans. on Electron Devices, Vol. 54, No. 8, August, 2007.
[2] E. D. Palik, Handbook of optical constants of solids, Academic Press, 1985.