スロット導波路構造のモード

この例題では、FEM(有限要素法)を用いてスロット導波路構造を解析します(参考文献[1]を参照)。この構造の基本TEモードの計算を探求する際には、狭い範囲に閉じ込められた構造に対しては、メッシュ・サイズに基づいてモードの収束性を調査しなければなりません。計算時間を短縮するために、不均一メッシュの効用についても考察します。

ツール
カテゴリ 導波路デバイス、モード解析

構造の概要

このデバイスは、シリカに埋め込まれた2つのシリコン・チャンネル導波路を備えています。高い屈折率差のためにシリコン導波路の境界には大きな不連続性が存在します。2つの導波路の間には小さなギャップが存在し、モードや不連続性が重なることが大きな問題となります。その構造は、均一なSiO2内に埋め込まれた2つの同一なSiチャンネルで構成され、微小な距離で隔てられています。波長1.55μmでの屈折率は、n1=3.48およびn2=1.44です。

粗いメッシュを用いた基本TEモードの計算

FemSIMは、メッシュで区切られた構造のモードを解析します。この構造が対称形であることから、領域を半分だけ用いることで計算時間を短縮できます。以下に示すのは生成されたメッシュで、対称形の境界線はX=0になり、解析領域のX>=0部分をシミュレーションします。計算したモード・プロファイルも以下に示します。

これらのプロットでは、解析領域の半分だけが示されています。

収束性の調査

比較的粗いグリッド・サイズを用いたので、グリッド・サイズと収束性の関係を調査することには意味があります。この例題での収束性の調査はX軸に沿ってグリッド・サイズを連続的に減らすことになり、特定の結果に収束するまで行います。width/NGXとしてグリッド・サイズを減らすことでこれを行います。ここで、width=0.18μmであり、NGXは5、10、25の値をそれぞれ持ちます。

図に示されている通り、NGXの値を増やすと実効屈折率の値は収束します。また、NGXを増やすとシミュレーション時間とメモリ使用量も増加します。NGX=25について、Y=0におけるモードの横断面は以下の通りです。

結果は明らかに収束に近づき始めています。しかし、他のサイズと比べてギャップの幅は非常に小さいので、収束させるためには非常に多数のメッシュ点を必要とします。メッシュ・サイズをさらに減らし続けるよりは、むしろ先進の不均一グリッド・オプションを利用します。

先進のグリッド機能を用いた収束性の調査

以前のシミュレーションでは、全ての解析領域に影響を及ぼすグローバル・グリッド・サイズを用いました。しかし、上記のフィールド・プロットによって明らかなように、多くの興味深い現象はコアとクラッドの境界で発生します。FemSIMには、全解析領域における分解能を増加させることなく、材料の境界領域で高精細な分解能を可能にする、不均一グリッドという能力が備わっています。NGX=2に設定しておいても、材料の境界で不均一グリッドを十分に細かく(0.0015μm)すれば、以下に示すメッシュとモード・プロファイルが得られます。

不均一グリッド・オプションを用いた計算は、以前のシミュレーションより相対的に高速になるだけでなく、2つのコア領域の付近でより高精細な分解能のフィールドを得られます。

上記の断面は、参考文献[1]の図2に相当します。先進のグリッド機能と適切なパラメータを用いて、シミュレーション速度をあまり変えることなく、改善された精度でこのデバイスのモードを計算することができました。

参考文献
[1] V. Almeida, Q. Xu, C. Barrios, and M. Lipson, "Guiding and confining light in a void nanostructure," Optics Letters, 29 (2004) 1209-1211.