最適設計とエンジニアの課題

競合他社との開発競争を優位に進めるため、高品質な製品を短時間かつ低コストで開発する要求が一層高まっています。この対応策として、CAEとその最適設計支援ツールが注目を集めていますが、導入後に十分な効果が得られないケースも少なくありません。その活用方法について悩む方も多いようです。

本ページでは最適設計を行う際のエンジニアが直面する課題を、いくつかの項目に分けて解説します。また、サイバネットシステムの最適設計支援ツール「Optimus」を用いてこれらの課題がどのように解決されるかも併せて紹介します。

課題1 高品質な製品設計

CAEを用いて高品質な製品設計を実現する上での主な課題は、製造バラツキによる品質劣化と、品質工学に取り組む際の工数の多さです。

問題点1 バラツキ

生産工程では、設計上想定されていない製造バラツキが必ず発生します。例えば、設計上5cmの寸法で製造された製品でも、一定の偏差により4.9cm〜5.1cmの寸法を持つ製品が出来上がることがあります。このような偏差を考慮に入れなければ、製品の品質低下や手戻りの発生が問題となります。しかし、CAEによるシミュレーションでは、これらの実際のバラツキを考慮しません。

Optimusは、CAEツールでの寸法などのパラメータ設定において、バラツキの分布を入力できる機能を有し、バラツキを含めた最適解を見つけ出すことができます。設計段階で製造時のバラツキを考慮することにより、手戻りを減らしつつ品質を向上させることが可能になります。

さらに、ロバスト性や信頼性を考慮する場合、多目的最適化のためには通常は膨大な計算量が必要です。しかし、Optimusでは多様な信頼性手法を用いることで、現実的な時間内に最適解を導出することが可能です。

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ロバスト性/信頼性解析

問題点2 品質工学における表計算ソフトの利用

新製品の安定性を確保するためには、品質工学(タグチメソッド)も非常に効果的ですが、作業が複雑で時間がかかるという問題があります。例えば、Excelなどの表計算ソフトのテンプレートを使用して品質工学を実施する場合を見てみましょう。この場合、パラメータや数値を手動で入力し、実験の組み合わせを決定し、その後実験結果から式を設定して数値を算出し、これらの結果をまたExcelに入力するという作業を何度も繰り返す必要があります。

Optimusを使えば、CAEと品質工学を融合し、品質工学のプロセスを自動化できるため、作業時間を大きく削減できます。直交表、SN比・感度、分散分析表などのツールをマウス操作で選択し、実験の組み合わせを自動で生成できる上、生成した組み合わせのデータサンプリングも自動で実行して結果を抽出します。これらにより、品質工学にかかる工数を大幅に削減し、より価値のある作業にエンジニアの時間を使えるといったメリットが得られます。また、経験が浅いエンジニアに対して品質工学のハードルを下げ、品質工学に取り組みやすくすることにつながります。

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品質工学

課題2 製品開発期間の短縮

製品開発期間を短縮するという観点から見ると、CAEを活用した設計開発では試作を減らせるメリットがありますが、単純作業の多さや、解析作業が専任者に集中するといった問題があります。

問題点1 単純作業の自動化

最適設計には繰り返し計算による最適化作業が必要ですが、CAD上での形状変更、CAE解析条件の設定、解析の実行など、多くの単純作業が発生します。これにより、ベテランのエンジニアであっても作業に時間がかかるという問題が生じます。実際に、これらの単純作業が解析工程の約8割を占める事例もあり、単純作業の削減が急務となっています。

Optimusを使用すると、解析の繰り返し計算を自動的に実行することで、これらの課題を解決できます。例えば、パラメータ設定を表計算シートから読み込ませ、複数パターンの解析を簡単に行うことができます。また、表計算シート自体もOptimusの設計テーブル作成機能を用いて簡単に作成できます。さらに、最適化機能を利用することで、最適な形状をツールが自動で探索し、細かな形状の調整にかかる手間も大幅に軽減されます。

一般的なCAEツールでは、解析後に人の手でチェックする必要があり、例えば深夜に解析が終了した場合、次の日の始業まで作業が進まないという問題が生じます。しかし、Optimusを利用すれば、その中断時間を自動化によって無くすことができます。

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自動化 統合化 分散処理

問題点2:解析専任者だけに依存せず設計者も解析可能(設計者展開)

最適設計の活用が進むにつれ、解析専任者にCAEの解析依頼が集中するという問題が生じます。このため、数時間で終わる作業も、順番待ちのために数日間を無駄にしてしまうことがあります。

この問題を解決するためには、解析専任者だけでなく設計者も解析を行えるようにする「設計者展開」が有効です。しかし、解析に必要な基礎的な技術や知識がなければ、メッシュの作成や境界条件の設定などの作業が難しく、設計者展開を進めるのは容易ではありません。自動化ツールを用いて定型作業を自動化することで、設計者展開の難易度は低下しますが、それでも普段常用しないツールの操作を覚えることは一定のハードルとなります。

Optimusでは、この問題に対処するために、Excelなどの表計算ソフトやWebベースGUIで直感的に操作できる解析環境を構築しています。設計者は3Dモデルを準備した後、パラメータを選択し、最適化ボタンを押すだけで、裏でOptimusやCAEツールが動作します。この環境により、設計者が容易に解析作業を行えるようになり、設計者展開が容易に実現できるようになります。

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最適化 ポスト処理・レポート カスタマイズ

問題点3 ベテランと新人設計者のスキル差

最適設計に限らず、製品設計におけるベテランと新人エンジニアのスキル差は大きな問題です。開発のスケジュールが厳しくなると、しばしば腕が良く早いベテランに頼ることが避けられません。しかし、この状況が続くと、ベテランのノウハウを若手に適切に伝承することが難しくなり、次世代エンジニアの育成が阻害されるという問題が生じます。

Optimusを使用すると、パラメータを調整しながら簡単に大量の解析データを取得できるため、新人エンジニアにおいても短時間での設計品質向上が期待できます。さらに、大量の分析データを活用することで、これまでベテランエンジニアが蓄積してきたノウハウを可視化し、技術習得を容易にすることが可能です。

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最適化 ポスト処理・レポート カスタマイズ

問題点4 AIによる解析結果の予測

これまでOptimusによるCAE解析の自動化について説明しましたが、一般的にCAE解析には時間がかかるため、短時間で大量の解析を行うことには困難です。この問題の解決策として、AIを用いて過去の解析データから学習し、解析結果を予測する手法が注目されています。この手法では、実際の計算を行わずに、学習データに基づいて解析結果を予測するため、短時間で結果を得ることが可能です。

しかし、この手法を効果的に使用するためには、大量の過去データを集めてAIの精度を高める必要があります。個々のエンジニアが独立して解析を行う場合、データの統合管理が難しく、過去の知見を効果的に活用することが困難になります。

Optimusでは、データを一元的に管理し、過去のデータを最大限に活用することが可能です。結果として、AIによる解析結果の予測をスムーズに行うことができるでしょう。

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ダイレクトインターフェイス 実験データのインポート

課題3 設計の複雑化への対応

最適設計では、複雑化する設計作業への対応が大きな課題です。

問題点1 複合設計におけるツール間の行き来

近年、構造、熱、流体など、多様な要素を含む複合設計が一般的になっています。しかし、一つのソフトウェアでこれら全ての解析を行うことは難しく、複数のソフトウェアを使い分ける必要があります。これにより、複数の要素を同時に最適化することが困難になり、何度も各ツール間で作業を行き来しなければならないという問題が生じます。

Optimusでは、統合化技術を活用して、一つのCADデータに対して複数のCAEツールの解析を同時に実施し、各解析結果を一覧で確認できるようにします。これにより、各CAEツール間での行き来が不要になり、単純作業の手間や手戻りを減らすことができます。

この方法は複数のツールを連携させて解析を行うものであり、熱や流体などの相互作用を扱う連成解析とは異なりますが、設計開発における手戻りを大幅に削減できるため、エンジニアがより価値のある作業に時間を割くことが可能になります。

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