ユーザーインタビュー 株式会社 シグマ 様

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神奈川県川崎市に本社をおくシグマ様は、カメラやカメラ用レンズ、カメラ用アクセサリなどの製造、販売を行う昭和36年創業の光学機器メーカーです。プロをうならせる「DPシリーズ」などのカメラが有名です。
シグマの「DPシリーズ」は、写真にかけるシグマの想いが込められたカメラです。現在の主流である露出補正から手ぶれ補正までが自動で行われる「失敗のないカメラ」は、カメラを扱う人の裾野を拡げてきました。しかし、こうしたカメラの登場で、写真を撮ることが簡単になる一方、出来上がった写真はどこにでもある平板なものになってしまうこともあります。仮に失敗はあっても撮り手のその瞬間の感動を表現できるカメラを作りたい−シグマでは、こうした思いをこめて一眼レフの性能を持つ、高機能小型カメラを開発しました。これがシグマの「DPシリーズ」です。

このDPシリーズの開発に、Optical Research Associates (ORA)社製の光学設計評価プログラム「CODE V」照明設計解析ソフトウェア「LgihtTools」が使われています。
(Optical Research Associates社は、2010年10月にSynopsys,Inc.グループとなりました。)

今回のインタビューには同社 光学技術部 光学技術第2課 課長 幸野 朋来様、同光学技術第3課 課長の石井 正俊様にご協力頂きました。(以下、敬称略)

インタビュー

幸野様、石井様の業務内容についてご紹介頂けますか?

左から石井様、幸野様
幸野 私のいる第2課は、レンズの光学設計を担当しています。
「CODE V」をバリバリ使って設計しています。
石井 第3課は、カメラ内の光学設計を担当する部隊です。オートフォーカシングとか、コーディング、ゴーストの対策とか、デジタルカメラの画像処理やノイズ処理などを考えているところです。機構系設計者とのやりとりも多いです。
私の部署では「CODE V」と「LightTools」の両方を利用して設計をしています。
私の友人がプロのカメラマンですが、御社のカメラを使わせて頂いているようです。
こちらのカメラが「DP1」ですね?
石井 はい。これが初代のカメラで、今は「1S」「DP2」といった新しいバージョンのものが出ています。この最初のバージョンを作ったときは本当に大変だったんですよ。
DP1
幸野 そうそう。このカメラのコンセプトは、カッコよくいうと「最高画像を提供する、コンパクトな、まったく新しいデジタルカメラ」というもので、デジタル一眼レフカメラに使われている大型のイメージセンサを搭載しているんです。でも「外見は普通の一般的デジタルカメラと同じくらいの大きさで」という、ほとんど無理難題みたいなお題目で(笑)。
F値ってお分かりになります?カメラレンズが明るいとか、暗いというのを数値で表したものなんですが、この値を小さくしたかったんです。F値を小さくする、つまり光のロスが小さい明るいレンズを使おうとすると、レンズそのものは大きくなるんです。でも、レンズは大きくてもカメラそのものは小さくしなければならない、と。
石井 そうそう、プラスチックの光造形でモック(型)を作って、そのたびに「もっと小さく」「もっと小さく」って言われてね(笑)。
繰り返し、何回くらい設計したかなー。それでようやく行き着いたスペックなんです。
すごいですね。そうすると御社ならではの、今までにない製品ということですね。
石井 ええ。他ではあまり見ないですね。国内では他にないんじゃないかな。
普通は公開しないのですが、こちらが実際の設計データです。
CODE V とLightTools を使って設計しています。

私どもはシミュレーションソフトの扱いがメインの会社なので、なかなか実際にできあがったものを見る機会がなく、こうして拝見すると非常に感動します!
ちなみにCODE V とLightTools の使い分けはどのようにされているのですか?
幸野 交換レンズの設計とかも含めて、レンズ設計は100% CODE V です。評価もしています。
LightTools は照明解析だから、石井の部隊ですね。
石井 ええ、私は両方使っていますよ。LightTools を使うのは設計の中盤以降ですね。
機構部品を原因とするゴースト系の解析とかなどに使っています。あと、カメラ内の光学系の開発には必須ですね。ストロボとか、スーパーインポーズとか。
使って頂いての感想をお聞かせ下さい。
石井 精度には満足しています。焦点距離とか、周辺光量とかね、問題ありません。
良かったです!
石井 それから、精度ももちろん重要なのですが、公差解析の機能など結構便利な機能があって助かっています。公差解析ですが、瞬間に答えが出ます。公差はご存知のように製造良品率に関わるところですので、重要な部分です。この機能は使えますね。
また、それ以外でありがたいのがメカニカル設計部隊とのすりあわせがラクになったことかな。実際のものづくりでは当然、光学系だけを考えていれば良いわけではありません。カメラの中にはモーターも入りますし、メカ設計とのすりあわせが重要になります。今、メカ設計にデータを渡すフォーマットを整えるような環境を精査しているのですが、これはCODE V のマクロを使って対応しています。彼らの設計条件を満たした形で渡せるので助かっています。
マクロをそんなふうにもご利用頂いているのですね。マクロは御社で組んでいるのですか?
幸野 そうですね、もともとのサンプルマクロを使ったり、これをアレンジしたりして使っています。私自身が組んでいるわけではないのですが、部の中にこうしたことに強いスタッフもいて、自社内で組んでいます。
ヒヤリングしたところ、マクロも比較的分かりやすいと言っていました。
石井 Basicベースだからね。もっと強化して欲しいって言ってる人もいなかった?(笑)
幸野 うん、C言語化して欲しいという話もあるね。でも、それやっちゃうと逆に使える人も限られちゃうし、難しいところかもしれない。
そうそう、マクロで思い出したのですが、CODE V はExcel との親和性が高いので助かっていますよ。Excel のマクロからCODE V を呼び出してシミュレーションしたり出来ますし。夜にマクロを使ってシミュレーションの準備をして、朝会社に来ると出来ているといった感じで効率化も出来ています。
ありがとうございます。先ほどのマクロ言語に関するご意見は開発元にも伝えて行きたいと思っています。 ちなみに開発元の対応という点ではいかがでしょうか。
石井 バージョンアップも多いですし、ユーザーの要望をよく聞いてくれているという気がします。
マルチコア対応とか、処理の早いパソコンの対応もしてもらえたし、開発のスピードにもよい影響が出ています。
幸野 そうですね。ユーザーの声を聞いてくれるという印象は強いです。
開発のスピードというお話がでましたが、今どれくらいのスピード感で設計されているのですか?
幸野 レンズでいうと年間で12〜13本は設計していますね。
え?月1本のペースですか?
幸野 そうなりますね。恐らく他社と比べても相当開発は早いと思います。先日アメリカで展示会があったのですが、一眼レフ関係の交換レンズ新製品の展示数はシグマが1番多かったようです。市場の新製品発表のタイミングなどを見ても、ウチは1番新製品が多いんじゃないかな。
開発の方は大変そうですが、すごいですね。この開発のスピード化CODE VやLightTools がお役に立っている…と書いていいですか?(笑)
石井 ま、それだけじゃないけど、この場はそう言っておきます(笑)
先ほど幸野がご紹介したアメリカでの展示会ですが、この場で弊社の社長の山木がインタビューを受けたようで、これが記事になりました。ここで彼が言っている「ゴースト解析のユーティリティを開発した」という部分ですが、これは我々がいろいろと意見も言って、共同開発のような形でサイバネットの方とともに一部ORAのソースコードを使わせてもらってつくったものです。
話はもどりますが、こういう点でも、ユーザーの意見を聞いてくれている、一緒によくしていこうとしているというORA社とサイバネットシステムの姿勢を感じます。
ありがとうございます。弊社についてのコメントが出たところで、弊社に対する要望やコメントなどをもう少し詳しくお伺いしても宜しいですか?
石井 本人が目の前にいるから言うわけじゃないけど(笑)、営業さんも頑張ってくれてますよ。もっともっとウチに来てくれてもいいくらい。
ご存知のようにウチの要求も厳しいからね。ウチの要求と上司の間で板ばさみになりつつ頑張ってる感じがいいです(笑)
幸野 サポートがWEB化されましたよね。あれはなかなか好評です。メールのときより回答も早くなったんじゃないかな。ウチではひとつの代表アドレスを使ってログインしているんですが、社内の他の誰かがした質問もサイト上で見られるし、情報共有化につながっていると思います。
石井 そうですね。欲を言うと、たまにサポートの回答で「そこはもう分かってるよ!」という答えが返ってきたりすることがあって。質問している人の経験とかが分かると、回答内容も変わってくると思うんだけど、これは個人情報もからむから難しいかな。
弊社も、質問される方の背景まで考えたサポートの回答が出来るよう、また1年選手も10年選手も変わらない回答が出来るように精進しないとなりませんね。
幸野 ええ。でもウチもそうですが、人を育てるのって大変ですよね。光学設計は「手探りで宝を掘り当てるようなもの」と言われているんです。いろいろトライして、状況判断してよりベターな解を探していくようなものですね。1人前になるには何年もかかります。宝探しを素手でするのはかなり大変です。CODE V やLightTools のようなシミュレータを手がかりに、これからも宝探しをしていきたいと思っています。
「宝探し」ですか。奥の深い言葉ですね。
弊社でお手伝いできることがあれば一緒に頑張って行きたいと思っています。
本日はどうもありがとうございました。

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