いまさらきけない光学計算第5回:最適化の有効利用

この記事の内容

3: ENT光線 〜 最適化の中だけで使用できる本数無制限の光線 〜

ENT光線とは、最適化(AUT)内のみで使用可能な光線です。

  • 参照光線(R1~R5)、ユーザー定義参照光線(R6~R9)で足りない場合、
  • 更に細かな指定を行いたい場合、
  • 光線1本1本を使う何か特殊な操作を考えている場合、
などに、とても重宝します。コマンド入力のみの対応です。

3-0: ENT光線で制御できる内容

ENT光線は、瞳や面上の座標で光線を指定し、指定した光線が像面や途中の面でどのようになるか〜通過座標や入射角、光路差をどのようにしたいか〜などを直接指定することが出来ます。
ユーザー定義参照光線とは異なり、指定可能な光線本数に制限はありません。初めは少し慣れが必要ですが、慣れてしまえば非常に便利な機能です。

ENT光線に用意されているターゲットには次のものがあります。

座標、入射角、射出角、光線の方向余弦、通過位置における面の法線、光線長さ、光路長、主光線からのズレ、など。

3-1: ENT光線1本を使い、像面上の通過座標を制御してみます

像面上通過座標をターゲットとした簡単な例を紹介します。はじめは1本のENT光線からはじめてみましょう。
シングレットレンズを使います。
len new
res cv_lens:singlet
del sol sa
thi si 0
thc si 100
ccy s1..2 100
thc s2 0

!S1上の(X,Y)==(5,5)を通過する光線を追跡
tow RSI SO..3 W1 F1 5 5 1   
!像面通過座標(X,Y)=(-0.02853, -0.02853)

!ENT光線を使って簡単な最適化を走らせてみます。
!ENT光線は、AUTの中で定義し使用します
AUT
err usr         !ユーザー定義評価関数のみを利用
!err bth        !<=両方(CODE Vの評価関数と
                !ユーザー定義評価関数の両方)
                !を使いたい場合。

ENT s1 5 5      !S1面上の座標で指定(瞳座標でも可)
ABR F1 E1 Y 1 0 !像面通過座標 X=0 を目標に設定
ABR F1 E1 X 1 0 !像面通過座標 Y=0 を目標に設定

go

!S1上の(X,Y)==(5,5)を通過する光線を追跡
tow RSI SO..3 W1 F1 5 5 1   !(X,Y)=(0.00000,0.00000) 

ここでは像面上の「座標」を使用して説明しましたが、他にも以下の様々なターゲットが用意されています。
いろいろ試してENT光線に慣れましょう。

3-2: 複数のENT光線を使って、収差を制御してみます

続いて、複数本のENT光線を利用してみます。レンズモデルはCODE Vのサンプルレンズを使います。
ENT光線群を利用して、簡単な収差補正をしてみます。

CODE Vサンプルモデルを使って初期レンズを作成します。

len new
res cv_lens:telephot
del sol sa
thi si 0
thc si 100
thc s1..i-1 0
yan 0 3 6 8 10
tow vie;nbr;go

tow rim;ssi 0.5;go     !現時点の横収差図
ENT光線を使用して、収差を補正してみます。
aut
err usr
y fl si r1 = 18
efl = 100
oal s1..i < 85

!ENT光線を定義します。
!絞り面上のX-Z断面上の光線(サジタル光線を想定)
ent s6 7 0     !E1
ent s6 4 0     !E2
ent s6 1 0     !E3
ent s6 -1 0    !E4
ent s6 -4 0    !E5
ent s6 -7 0    !E6

!絞り面上Y-Z断面上の光線(メリディオナル光線を想定)
ent s6 0 7     !E7
ent s6 0 4     !E8
ent s6 0 1     !E9
ent s6 0 -1    !E10
ent s6 0 -4    !E11
ent s6 0 -7    !E12
abr f1..5 e1..6 si dx   !E1~6でX方向のズレを最小に
abr f1..5 e7..12 si dy  !E7~12でY方向のズレを最小に

go

tow rim;ssi 0.5;go     !最適化実行後の横収差図

ここでは像面上の「座標」を使用して説明しましたが、他にも以下の様々なターゲットが用意されています。
いろいろ試してENT光線に慣れましょう。

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