いまさらきけない光学計算第1回:光線と波面

この記事の内容

0: はじめに

光の取り扱いは、幾何光学的なものと波動光学的なものの2つに大別されます。そのうち、幾何光学的な計算は直感的で理解しやすいですが、もう一方の波動光学的な計算になると、急に難しくなります。参考書でも、なにやら難しい式が多く登場しますしね。

ここでは、幾何光学的と波動光学的の壁をなくし、両者をつなぐ「関係」について説明します。ポイントは「光線と波面」の関係です。このページで「光線と波面」のイメージをつかむことが出来れば、参考書の説明や式の意味、光学計算プログラムの中でどのようなことが行われているか、少し見えてくると思います。

1: 光線と波面の関係

1-1:幾何光学と波動光学

簡単に幾何光学と波動光学の違いを見てみましょう。
幾何光学では、光を光線として扱いスネルの法則に従う「屈折」計算がメインです。即ち、スネルの法則に基づき、光線の行き先(主に方向)を計算します。計算開始から計算終了まで、1本の光線を追ってその行き先を計算します。

幾何光学的計算のイメージ

最初から最後まで1本の光線を計算する

これに対し、波動光学的な計算では光を「波」として扱い、「位相」と「振幅」を考慮してその観測点における「状態」を計算します。そのため、もはやスネルの法則では対処できません。
下図をご覧下さい。観測点における「状態」は、この点へやってくる全ての「波面」を重ね合わせることで計算されます。ここで「波面」とは、同一波源で発生し、この波源から等しい光路長を持つ「波」のことです。光路長が等しいため、波面上の位相も等しくなります。波面=等位相面(とういそうめん)です。
様々な波源から発生した波面がこの観測地点に到達したとき、到達波面の振幅を重ね合わせることでこの位置の状態が決まります。振幅は位相からわかり、位相は波源からの光路長を計算することで求めることが出来ます。

波動光学的計算のイメージ
ある観測点における波の状態は、手前から発生する波(面)の重ね合わせで計算されます。
波の重ね合わせには、位相と振幅が必要です。
手前の波源から観測点までの光路長により、各波の位相と振幅がわかります。
その結果、強め合う、弱め合う、などが分かります。
○は「波源」で、ここから波面が広がります。上図では赤と青の2つを強調していますが、
全ての○を考慮する必要があります。点線は波減からの光路長です。

このように、波動光学的な計算では、1点の状態を計算するにもいくつもの波面の重ねあわせを計算する必要があり、幾何光学的なシミュレーションよりも長い計算時間を必要とするのはこのような理由があります。しかし、その分より厳密な計算を行うことが出来ます。

ここまでで、幾何光学的計算と波動光学的計算の違い、なんとなくイメージできましたか? イメージができたら、次へ進みましょう。

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