新入社員の独り言 STEP3:収差について

前回の宿題の回答はこちら!

皆様、ご無沙汰しております。新入社員のSです。本年も宜しくお願いいたします。
引き続き、光学と光学設計について学んでいきます。亀と同程度にしか進めませんが、暖かく見守って下さい。

今回は、光学系の目標について少し自分なりに考えてみました。
カメラ、ビデオなどは、昔と比べて非常に高性能になっていると思います。そして、現在も高性能化は進んでいます。しかし、その究極の到達点はどこなのか・・・どういう性能を、どういうレベル(あいまいな表現ですみません)で達成すれば人は満足なのでしょうか?
(新人のくせに生意気ですね・・・すみません。)

このページの内容
  1. 結局のところ、光をコントロールしてどのようなことがしたいのでしょうか?
  2. 収差〜レンズの性能を低下させるもの〜
  3. 収差の種類
  4. 収差の原因

1.結局のところ、光をコントロールしてどのようなことがしたいのでしょうか?(センサーに利用する光学系は除きます!)

それは、一言で言うと、「肉眼で見た風景そのままを平らな面に再現」すること、だと思います。その理由は、結局は「ヒト」が「観る」からです。
人間の場合、「目で見える」ということは、光が高性能?な眼球内を通過し、網膜上に上下左右反転した実像を形成し、さらにその実像が視神経を介して、脳が画像処理を行った結果を、私たちが「感じている」、ということです。
(より詳しい方、この辺りの仕組みに関してご教授下さい!)

ですから、光学系の究極の目的は、「人間の視覚と同等の性能を出す」ということだと考えてよいと思います。 しかし、ここでいくつか疑問が生じます。そもそも距離の異なる場所から飛んできた光を、ある平面上に完全に再現する、というのは可能なのでしょうか?
人間の網膜でさえ「球状」なのに・・・
「いち」平面上に再現(結像)させること自体が何か多くの矛盾を含んでいるように思えてなりません。
そして、個人的には、この「球状」という点が、より完全に近い光学系を設計する場合の「キモ」になると思うのですが、今のところ、このような構造を持つ光学系はあまり無いようです。いや、あるとは思いますが、自分の周りでは見あたりません。

個人的な疑問はこのくらいにして、今月勉強したことをまとめたいと思います。

2.収差〜レンズの性能を低下させるもの〜

現実モデルに戻ります。まずは「収差」なるモノについて少し調べてみました。
一般的には、光学系を設計する時、何とか光をコントロールしてある平面上に整った像を映し出そうとします。言い換えれば、そして、この平面に映し出される像を、より美しくするために光学系に改良が加えられます。
ここで問題となるのが「収差」です。
収差とは、
「理想とする像とのズレ」=「像面上で、理論上の光線通過位置と実際通過位置とのズレ」に相当します。


理想的な画像

収差のある画像

たとえば、上の例では左側が理想的な状態です。全てにおいて理想的な状態を保てた場合、この左側の像が得られます。ところが、レンズ(光学系)を通して結像させると、右側のような状態になってしまいます。全体的にピンボケしていたり、端の方では内側に歪んだり、また緑色の枠のようなものも確認できます。これら理想状態からのズレが収差と呼ばれるものです。
同じ材質を使っても、通過する光の波長によって、曲がり方(角度)は異なります。つまり、光の波長によってその屈折率は異なります。プリズムを通すと、太陽光が色々な色に分かれて見えるのはこの性質のためです。右上の画像の「緑の枠」のような収差もこれで説明がつきますね。

下の図は、「スポットダイヤグラム」と呼ばれる収差の状態を視覚的に確認するためのものです。本当は、像面上のどの位置でも、目に見えないくらいの小さな点として光線が像面を貫いてほしいのです。しかし、実際にはこのように像面上のばらばらの位置を通過してしまいます。このスポットダイヤグラムは、光線通過位置のばらつきを視覚的に確認しやすいですね。

3.収差の種類

画質を低下させる原因である「収差」を大別すると、「単色収差」と「色収差」の2つに分類することが出来ます。

単色収差

単色収差とは、1波長の光でも発生する収差のことです。主に、レンズの曲率 などに由来し、レンズの中心と周辺を通る光が、像面上でうまくバランスしない(同じ倍率にならず、少し伸縮する)や、焦点位置(Z座標)が異なる、という現象です。

色収差

色収差とは、光が2つ以上の波長から構成されていることが原因で起きる収差のことです。以前にも触れましたが、同じ材質でも、波長が異なると屈折率は異なります。そのため、同じ位置、同じ角度で入射した光線も、レンズを出るときには異なる位置、異なる角度で射出します。その結果、波長によって像面を貫く位置が異なります。

4.収差の原因

では、収差は何によって発生するのでしょうか?この点について、少し考えてみました。
すぐに思いつくことは以下の通りです。

  • 面の形状や曲率
    光線は主にレンズ表面で屈折されるため、光線の進行方向に大きく影響します
  • 材質の屈折率のばらつき
    レンズの内部を通過中、屈折率に分布があると理想状態からの位相ズレが発生します
  • 含まれる光の波長、波長の広がり
    光の波長が複数(或いは分布が存在する)の場合、波長により屈折のされ方が異なります
  • 製造/組み立て時の誤差
    仮に設計上は理想通りであったとしても、実際に寸分違わず製造できるとは限りません
  • 上記原因の組み合わせ
    単一の原因ではなく、上記原因が複数絡む場合も考えられます。

5.今回のまとめ

レンズの性能を低下させるもの・・・収差。 収差には、「単色収差」と「色収差」とがあり、前者は1波長でも発生し、後者はいろいろな波長が混ざった光を使用することで発生します。
収差の原因となるものには、面形状、材質の屈折率とそのバラツキ、含まれる光の波長、レンズの組み立て誤差などがあります。

先輩社員からの一言

「球状」の像面、よい所に目をつけましたね。後々、収差論を考える際に、もう一度考えてみると良いと思います。 光学系の目的として「人間の視覚と同等の性能を出す」と書かれていますが、カメラという観点から見ると、機能という面でも人間の眼を目標としてきました。AE(自動露出)や、AF(オートフォーカス)や、防振、これらは、人間の眼では当たり前ですよね。

ところでS君、今は何月ですか? 新年の挨拶は新年早々行いましょう。それと勉強のほうは今年の干支にちなんで、一生懸命がんばって下さい。あ、でも周囲の状況にもよく気を配ってくださいね、一応人間なんですから。

いかがでしたか?
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