新入社員の独り言 STEP2:光の振る舞い

前回の宿題の回答はこちら!

今回勉強したことはこちらです。人間の眼は光に対して反応するのに、実際光そのものを見ることはできないですよね。見えないものを勉強するのは僕にとって、とても難しいです。一寸先は闇、そんな感じです。

このページの内容
  1. 幾何光学、波動光学
  2. レンズを通る光の描き方
  3. 光の振る舞い〜凸レンズの場合〜
  4. 光の振る舞い〜凹レンズの場合〜
  5. 実像と虚像
  6. 光の振る舞い〜ミラー面〜
  7. 光の振る舞い〜プリズム〜

1.幾何光学、波動光学

幾何光学ってなに?

幾何光学とは、光を「粒子」として捉え、その軌跡を「線」で表わす学問です。 「光の軌跡」を描き、幾何的に光を捉えます。直感的に理解しやすい反面、 ある大きさ以下の現象を解析することは出来ません。

波動光学ってなに?

波動光学とは、光を「波」として捉え、ある位置における「位相」を求めること によって光の挙動、状態を把握する学問です。計算は面倒で、時間と場所のパラメータを考慮する必要があります。その反面、幾何光学で取り扱えない非常に小さな領域で起きる現象を解析することが出来ます。

幾何光学と波動光学とは、「光の回折限界」を境に使い分けます。回折限界以下の世界は波動光学、回折限界以上の世界は幾何光学で取り扱うようです。

ところで、か、回折限界ってなんでしょう...?とりあえず、幾何光学で記述できる光の性質の最小値ということでいいんでしょうか。また調べてみます。知っている方、ご教授下さい。

2.レンズを通る光の描き方

私は中学か高校生の時、レンズについて少し習いました。そしてそのとき以来、「レンズを通る光の描き方」について疑問を持っていました。理由は、
「なぜ光はレンズの外にはみ出さないのだろう?」
ということです。どの教科書を見ても、たとえどのような絵(ロウソクや木など・・)が使われていても、必ずレンズの外側いっぱいを光が通過していくではありませんか!
この点を、私はず〜っと疑問に思っていました。私だけですか・・・?

わかってしまえばごくごく当たり前なことなのですが、私は、この会社に入って光を勉強するまで、全くわかりませんでした。では以下に説明します。

結論から書くと、「レンズに入らない光は描いても仕方ないから」です。
これも文字で長々と書くよりは、絵で見たほうが簡単なので、下図をご覧ください。

まずは、光がある点に当たると、現実にはあらゆる方向へ反射されます(これを散乱といいます)。
太陽の光や、蛍光灯からの光が木やろうそくに到達し、その表面全体で散乱が起こっていると考えると分かりやすいです。

入射光、散乱光

点光源は、
あらゆる方向に光を放つ

レンズを通過するのは
全光線の一部

レンズを通過する
光線
のみに注目する

最も外側の光線
中心を通る光線のみを描く

像側も同様にすると
見慣れた図が現れる
以上のステップで考えると、光がレンズの外にはみ出さない理由が分かります。はみ出す光を描かないだけなんですね。あ〜あ。

3.光の振る舞い〜凸レンズの場合〜

焦点距離をはさんで、物体が前後にある場合の光の挙動を考えます。

物体が焦点よりも手前にある場合

物体のある点から出た光が再び集光することはありません。下図のように発散します。

物体が焦点上にある場合

物体のある点から出た光は、レンズを通過すると、平行(赤線)になります、無限遠に結像します(実際には結像しません)

物体が焦点よりも遠くにある場合

物体から放射された光は、レンズを通過すると、ある面上で再び集光します。この集光位置で結像が得られます。教科書に載っているろうそくは、だいたいこの場合です。

4.光の振る舞い〜凹レンズの場合〜

レンズに平行光が入射したとき、このレンズを通過後、光軸上の1点に光は集光します。これを「焦点」と言うわけですが、凹レンズの場合、これに入射する平行光は、集光どころか、発散されます(下図参照)。凹レンズの焦点は、どのように考えるのでしょうか?

凹レンズでは、レンズから射出される光を逆に延長し、この光線と光軸との交点を「焦点」とします。(下図参照)

光が集光するわけではないのですが、この点を便宜上「焦点」としているんですね。

5.実像と虚像

上で紹介したレンズを通してモノを見ると、大きく見えたり小さく見えたりします。実際に結像する=実像、に対して、「虚像」と呼ばれています。この「虚像」が見える現象は、どのように考えればよいのでしょうか?大雑把にい うと、

平らなガラス板・・・等倍
凸レンズ・・・モノが拡大
凹レンズ・・・モノが縮小

されて見えます。
平らなガラス板の場合は、物体と像の大きさが等しいので、特に説明する必要は無いと思います。従って、凸レンズと凹レンズの場合を考えてみます。

凸レンズの場合

虫眼鏡を思い出してください。虫眼鏡を通して鉛筆、消しゴムなどを見ると、拡大されて見えます。凸レンズの場合、基本的に光をほぼ1点に集める性質があります。そのため、眼に入ってくる光はレンズを通過後収束します。眼から光を追うと、広がっているように見えます。従って、凸レンズでモノを見ると大きく写って見えます。
絵で表現すると、下のようになります。


凸レンズで矢印を見る場合・・・


矢印から発せられる光は赤い太線のようになるので・・・


「眼」から光線を追うと、矢印は実際よりも大きく見えます。

凹レンズの場合

すみません、ちょっと身近な例えが浮かびません。凹レンズの場合、凸レンズとは逆に光を発散させる性質があります。従って、モノ>凹レンズ>眼 と光を追うと、レンズ通過後、光は広がりながら眼に入っていくことになります。眼から光を追うと、レンズまでは縮まりながら光がすすみます。したがって、凹レンズを通してみると、モノは小さく見えます。絵で表現するとこのようになります。


凹レンズで矢印をのぞいてみると...


矢印から発せられる光はこのようになり...


「眼」から光線を追うと、矢印は実際よりも小さくみえます。
どうでしょうか?凸レンズ、凹レンズの性質がなんとなく理解できたでしょうか?
実際に自分で絵を描いてみると、より理解度が増すと思います。
皆様の方が綺麗に描けると思いますので...

6.光の振る舞い〜ミラー面〜

これまでは、レンズに関して書いてきましたが、ここでは「ミラー」について書きます。ミラーは、レンズと違ってその内部を光が通過することはありません。光がミラーにぶつかると、同じ空間内へ光の進路を「折り曲げ」ます。これがミラーの性質です。何のことはない、私たちが普段目にしている「鏡」のことです。
このミラーも、「光の進行方向を変える」という視点から眺めてみると、「光に対して作用する」機能を持つ「光学系」と言えます。外観から見えない場合が多いですが、望遠鏡などに使用されます。あと、見通しの悪い交差点やT字路にもありますね。


ミラー面は、光を反射します。

望遠鏡の内部にも
ミラー面が使用されています。

7.光の振る舞い〜プリズム〜

プリズムは、見た目はレンズに似ていて、レンズとミラーの両方の性質があります。
プリズムもまた、光の進行方向を変更する機能を持つもので、主にその内部で「全反射」を用いて、光の進路を変えます。「全反射」については、おいおい勉強します(光が全部反射するから全反射です)。
簡単に書くと、光を内部に「透過」させて、その内部では「全反射」を用いて光の進路を変更します。最後にまたプリズム外へ「透過」させます。光は、同じ材質に対しても波長によって屈折率が異なるので、光を波長ごとに分解するための「分光器」などに使用されます。もちろん、このほかにも用途はありますが、今は思いつきません。

 

今回のまとめ

幾何光学
光を粒子として扱い、その軌跡を線で表します。波としての性質は表現されません。

波動光学
光を波として扱い、光の振る舞いはその位置における位相で考えます。幾何光学と比べて、計算が複雑。幾何光学よりも微小な領域の振る舞いを記述できます。
両者は、「回折限界」を境に使い分ける。

光の振る舞い〜凸レンズ〜
焦点位置を挟み、どの位置から光が出発するか、によってレンズ通過後の光の挙動は異なります。

光の振る舞い〜凹レンズ〜
基本的には光を発散させます。一見すると焦点はありませんが、実は定義できます。

光の振る舞い〜ミラー〜
全ての光を反射します。

光の振る舞い〜プリズム〜
レンズとミラーの両方の性質があります。波長ごとに光の進路を分けることができます。

先輩社員からの一言

回折限界について

S君、「1、幾何光学、波動光学」の最後の所に書いてある「回折限界」についてですが、無収差レンズを用いれば、幾何光学的には、光は1点に収束します。無収差レンズに対して、幾何光学的なMTF*の周波数**特性を見てみると、高い周波数まで0.999という値が計算されます。幾何光学で光を記述すると無限小に集光します、回折限界の壁など存在しません。一方、波動光学的MTFの場合は、周波数が高くなるにつれて、MTFは下がってきます。なぜでしょうか?調べてみてください。

* MTF: Modulation Transfer Function の略。
もともとの物体(レンズで見る対象)の持つ「鮮明さ」、「模様の細かさ」が、レンズを通して見たときにどの程度残っているかを示す指標。もともとの鮮明さを”1”として、パーセントで表します。粗い模様ならレンズを通して見ても模様を確認することができますが、非常に細かい模様の場合は、はっきり見えなくなります。簡単に言うとこのような感じです。
** 周波数
模様の細かさを表す指標です。周波数が高い=模様が細かい、に対応しています。

実像と虚像について

S君、「実像と虚像」のところで描いてくれた図は、正しくは以下のように考えます。



凹レンズの場合にも、同様に考えることができます。

いかがでしたか?
先輩社員への回答は、次回(STEP 3)に掲載いたします。

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