光学設計コンテスト(CODC)/ Sさん. Step4不撓不屈 そしてセレンディピティ到来!

苦節云十年(気分的に)にわたり辛酸を舐めてきた結果、ついに待望の設計解にたどり着きました。MF 675。う〜ん、満足満足。ところが、周りの声に耳をそばだててみると、なんと1000を超えた猛者がいるとかいないとか。
解を発見したという安堵の中、燃え尽き症候群に陥り忘れかけていた闘争心に、俄かに火が灯ったのでした。しかし、また別の解を探すのはちょっと・・・。
さて、どうしたものでしょう。

セレンディピティ

ここから別解を探すのは、時間的にも、精神的にもムリそうです。今手の内にある虎の子のMF675を何とか活用できまいか。
またもや悶々とした日々が始まりました。MF675の光路図を見ながら、一部のレンズを反転させて最適化、レンズ同士を前後入れ替えて最適化という地道な作業を繰り返しました。あっぷあっぷの状態で何とかMF780まで到達しましたが、そこからが伸びません。

その頃、簡単な光学に関する原稿を執筆していました。気分転換も兼ねて波動光学の復習をしていたところ、なんとなくひらめきました。

「重ね合わせの原理・・・か・・・レンズ枚数もかなり少ないし・・・」

というわけで、レンズを重ねてみました。こんなイメージです。

レンズ1枚で光線を曲げる箇所を、2枚使って曲げようというアイデアです。同じレンズを2枚ずつ連続で配置します。こうすると、2枚の面で果たしていた役割を、4枚の面に割り振ることになり、理屈上1枚あたりの光線の偏角は小さくなり、各面にかかる負担を軽減できます。・・・できるはずです。

さて、この状態からこれまでと同じ手順で解の探索を行いました。
(光路図中の薄い最前面はダミー面です。)

そしてたどり着いたのが以下のレンズです。なかなかうまく行ったかな、と思います。
ラッキー!

今度こそ、もう満腹感でいっぱいです。これでおしまい、と思いましたが・・・。
更に上を目指し、もう少しだけがんばることにしました。

最終作戦決行

しかし、残り時間もあと僅か。一旦ここまでの道筋を振り返り、まじめに作戦を立てることにしました。

  • レンズ(評価関数=675)を3つ分重ね合わせる
    2度あることは3度あるといいますし・・・。いわゆる2匹目のドジョウねらいです。
  • 凹面、凸面をバランスよく入れ替える(凸凸凹凹なら凸凹凸凹など・・)
    レンズ1枚ではなく、2枚、3枚単位の機能性を考えました。
  • 光路図を見ながら、面を入れ替える
    光線の曲がり方がきつい場合、より緩やかに曲がるように面を入れ替えます。特定の面にだけ負担を強いることは、なるべく避けたほうがよいです。また、素性の良いパターンは、最適化時の評価関数が一気(桁違いに)に小さくなります。(100000=>1.5など。)
  • 余分と思われる面は削除する
    同一曲率半径の面が限界まで近づいた場合、その2面は存在しない方が性能は向上します。面数が減ることで、新たに面を追加するチャンスも広がります。
  • 最適化の評価関数がなかなか小さくならない場合、面を適当に追加して様子を見る
    面を追加すると、一気に小さくなることがあります。効果的な位置であればですが・・・

この方針で最適化を繰り返しました。

(スタートデータ)
欲張って、画角30[deg]、入射瞳直径100[mm]からスタートしてみます。
評価関数は10万を超えています・・・そもそも集光すらしていません。

この状態から、作戦に沿って最適化を繰り返すと以下のように変化していきます。
 

そろそろ最適化の評価関数が小さくなりにくくなってきたため、入射瞳を小さくしつつ、画角も小さくしながら更に続けました。
コンテストの評価指標であるRMS波面収差とディストーションを見ながら、ギリギリのラインを探ります。画角を追加したり、変更したり、最適化では画角のウェイトを変えて、画角全域で性能を満たすよう、微調整を行います。

(ERR. F. = 0.10740725)


一気に長くなってしまいました。(汗)
気にせず入射瞳直径や画角を微調整し、最後のあがきを行った結果、最終解にたどり着きました。

(ERR. F. = 0.12416400)


このレンズを提出しました。

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