光学設計コンテスト(CODC)/ Oさん. Step3パワー配置と厚肉化

パワーの比を利用して3枚レンズを4枚、5枚と分割していく。
それを21枚になるまで繰り返し、いい感じのレンズパワー配置を求める。


前回:自動分割でパワー配置決め、この考えをもとに3つのマクロを作って、処理の自動化行いました。
init.seq:3枚トリプレットのパワー配置をレンズモジュールでモデリング
myaut.seq:パワー比を変えずに最適化
brks.seq:モデル内の1枚のレンズモジュールを2枚に分割

これで何もせずにいい感じのモデルができる!
・・・といくはずでしたが、そう甘くはありませんでした。。
(そうでしょ、そうでしょ)

確かに何もしなくても、1〜2時間で21枚レンズのパワー配置が求まりました。
ただ、いい感じの配置かと問われると。。。答えるのが難しいです。
「おかしい!こんなはずはない。」と思い、何度か設定を変えながらマクロを回してみました。
そこで求められたモデルはいい感じだったり、そうでなかったり。。

どうも設定を変えると、最終的に求められるパワー配置が大きく変わるようです。

たとえば、焦点距離とパワーに関するコンストレインツだけ設定して最適化したものはこんな感じです。
EPDは10、最大画角は15としています。

EPDを50として、各面の最大入射角度コンストレインツ(15度)を追加したもの。

コンストレインツで焦点距離を1として最適化したもの。
後からスケーリングして、焦点距離を100とします。

ばらんばらんです。
これといった傾向さえつかめません。。

像面に近い面ほど光線の最大入射角度の制約をきつくしたもの。

EPDを15、最大画角を10にして、各面の球面収差係数が0に近づくようなコンストレインツを設定したもの。

ひどすぎます。。。
こんな光路の光学系、見たことありません。
性能も、見た目と同じく、悪いです。

パワーの比を維持するコンストレインツ以外に設定を試したコンストレインツは

  • 焦点距離
  • 球面収差係数
  • ディストーション収差係数
  • 各面の光線最大入射角度
などです。

しかも、これらを厳密コンストレインツにするのか、重み付きコンストレインツにするのか、で結果が変わります。
重み付きにするなら重みをいくつにしたらいいのでしょうか。

結果を変わる要素が多すぎます。
しかも、どれを使えばいい感じになるのか傾向さえつかめず。。

設定するEPDと最大画角によっても結果が変わりました。
これに関しては、はっきりとした傾向がありました。
EPDが大きいと、各レンズが詰まってしまいます。
まんべんなく配置されません。
これでは厚肉化するスペースをとれません。
ダメです。
一方、最大画角が大きいと、最適化自体がうまく回りません。
最終的な結果はダメダメでした。
つまり、
「最初から高い値を設定しても、いい結果にはならない」
(欲張るなってことだよね。胸張って言うなよ。。)

そんな中、比較的いい感じだったのがこれ。

焦点距離をコンストレインツに入れずに最適化したものです。
(シンプル〜)
これなら厚肉化しても性能が出そうです。

さらに、このとき、風のうわさで「1群は負のパワーを持つ。全長が長くなるのは当たり前。むしろ長い方がいい。」ということを耳にします。
(う、うわさ!?)
ということで、「長いのはいいことなんだ!」と思い込みました。
(待て、待て。。)

ここから、設定を変えながらマクロを回し、長いモデルが出来上がるのを待ちました。

幸い、長いモデルがいくつか見つかりましたので、これらを設計するモデルのパワー配置としました。

さて、次はレンズの厚肉化です。
(やっと厚肉化!?のんびりですねー)

各レンズのパワーと曲率半径の関係は以下のような式で表せました。

レンズモジュールのパワーを厚肉レンズの曲率半径へ変換するのは意外と簡単そうです。

ただし、レンズモジュールを単に厚肉化するだけでは光学性能が一時的に悪くなります。
この収差を除去するため、厚肉化と最適化を平行して行う必要がありそうです。

では、厚肉化手順はどうやればいいのでしょうか?
全レンズを一気に厚肉化?
先頭のレンズモジュールから1枚ずつ厚肉化していって最適化するのを繰り返す?

いろいろ試行錯誤したら、見つかっちゃいました。ベストな厚肉化手順を。
  1. 何枚もあるレンズのうち、パワーの合計が0になる組み合わせを同時に厚肉化する
  2. そのモデルを最適化する
この手順だと、厚肉化したときには一時的に性能が悪いモデルでも最適化するとすぐにリカバーします。

厚肉化によって発生したレンズの収差が、同時に厚肉化した他のレンズの収差でキャンセルされているようです。
(やっと、まともなこと言った)

この手順を繰り返して、21枚のレンズモジュール全てを厚肉化していきます。

(えーっと、平凸や平凹レンズの平面は、、)
厚肉化するとき、平凸や平凹レンズの平面を前面にするのか後面にするのかは「えいやっ」で決めました。
(はぁ。。)

次に、レンズモジュールと厚肉レンズが混在するモデルを最適化するプロセスがあります。
ここで、レンズモジュールのパワーと厚肉レンズの曲率の関係を制御するコンストレインツを設定しなければいけません。

たとえば両凸レンズ。

の関係式が成り立ちます。
左式と右式をごにょごにょすると、
焦点距離と曲率半径の関係式が出来上がります。

つまり、両凸はの関係となるようにコンストレインツを設定します。
平凸は 、平凹は 、両凹はとそれぞれの関係式があります。
そのため、隣り合うレンズの変数同士をこの関係式のコンストレインツでつなぐことができそうです。

これを使えばレンズモジュールと厚肉レンズの混在モデルを最適化できます。

さぁ、さっそく厚肉化して最適化していきましょう!

(・・・しばらく待つ・・・)

そんなこんなで最初にできたモデルはこれ。
(じゃーん)


(センスないー、芋虫みたい)

あまりいいモデルではないです。
なぜか短くなりました。
もちろんMFも大きくありません。

このモデルでの設計はあきらめました。

気を取り直して、違うパワー配置のモデルを厚肉化していくことにしました。
(マクロで作ったモデルはまだたくさんありますからね)

ここから同じ作業を繰り返す日々が続きます。
(がんばれ!)

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