光学設計コンテスト(CODC)/ Sさん. Step2原点回帰 千里の道も一歩から!

前回:その答えは、神のみぞ知る!、全てを偶然に任せて、初期光学系となりそうな系を探すことにしました。面の形状を前から順に擬似乱数発生マクロ関数を使用して決めていくという方法(凸、凹、平の組み合わせをサイコロを振って決めるようなイメージ)です。
ムムッ、乾坤一擲!
。。。
。。。
やはりダメでした。

というわけで、真摯に課題に取り組もうということで、原点回帰の章です。

振り出しに戻って

全てを偶然に任せてみるのは、非常に効率が悪い。やはり設計者の意思で進む必要がある(それが設計というものでしょう)。

ということでもう一度最初に立ち戻って、今回の設計課題について、自分なりに理解してみることにしました。

問題を読み替える

まず始めに、今回取り組む設計問題について、何を求めればよいのか読み替えを行いました。これによって、自分の土俵で考えるための下地を作っておきます。

設計課題の原文:IODC Lens Design Problemより

Design a lens whose non-flat surfaces all share the same radius value,
positive or negative, concave or convex.

Wavelength = 532 [nm]
RMS wavefront error < 0.070 [wave]
Distortion < 5.0 [%]
読み替え

単一曲率半径または平面のみで構成され、集光点へ到達する入射光(線)の光路差がなるべく小さくなる光学系を設計せよ。

RMS波面収差 < 0.070 [波長] を満たす場合、(許容できる)小さな光路差と認める。
ディストーション < 5.0 [%]
自分がしっくり来る言葉に置き換えると、自分の土俵や感覚(間合い?)で勝負できて、何をどうすればよいのか良く見えてくる...のかな。

CODE Vの最適化のクセ

次に、複数枚の平行平板を配置して、CODE Vの最適化のクセを確認してみました。

  1. 集光させたがる(これは使命か!?)
    ⇒ 集光させることが大好き(得意)。
  2. 光線を寝かせたがる(入射角よりも小さな角度で飛び出すことが多い)
    ⇒ 不思議。たまたま?
  3. 像面に近い面で光線を曲げたがる(平面からAUTを実行すると)
    ⇒ 最初の1,2回のAUT;goでは特に顕著。
  4. かなり根性がある。滅茶苦茶な状態からでも、集光させる力を持つ。
    ⇒ 即ち、集光させるにはどのような面が必要か知っている。
    (またはすぐに判断できる能力を持つ)

目標とツールのクセを踏まえて、方針を立ててみました。

方針:数学的帰納法

とりあえず、面数は決めず条件を満たすモデルをいくつか見つけ、共通する性質を見つけようかな・・・そこから次の方針を立てよう。

まず、光学仕様データを設定して、
-------------------
WL 532
EPD 50
YAN 0 5 10
-------------------

平行平板を10枚並べて、AUT;GOだけで最適化を実行します。

一先ず集光したら、スケーリングを行って焦点距離を100に変更します。
-----------------------------
SCA SPC EFL 100
-----------------------------

ここからは焦点距離の制約条件を課します。最終的にスケーリングを行うと考えると、焦点距離は短くなるほど良いことになります(スケーリングによってEPDが大きくなりますので)。
-----------------------------------------------------------
AUT ;EFL < 100 ;GO !焦点距離を100よりも短くなるように制御
-----------------------------------------------------------

曲率半径が非常に大きくなるものについては、平面に固定します(上の例ではS2)。
固定したら、最適化を実行して性能を整えます。

【CODE Vの最適化のクセ】でも書きましたが、像面に近い面の曲率がきつくなっています。このため、後ろのレンズから強制的に曲率を緩めていくことにしました。

各面の曲率半径を見比べて、ざっくりと絶対値の平均(っぽい)曲率半径を決めます。上のデータですと、おおよそ150くらいでしょうか。

平均が決まったら、曲率半径が小さい後ろの方の面について、強制的に平均値を入力し、固定します。固定したら、最適化を再度実行します(例によって、制約条件は課しません)。このように、曲率半径の小さいものを1面ずつ強制的に変更→最適化という工程を繰り返して、徐々に曲率を揃えていきます。

ここが限界みたいです。
これ以上曲率半径が寄らない場合には、以下の道をとることになります。
・寄らない面の前後に平行平板を追加して、曲率フリーで最適化を実行してみる。
・放棄。再度始めからやり直す(EPD、画角の組み合わせを変えてスタート)。

(ちなみに、このレンズは敢え無く断念しました・・・)

MFの追い込み

解が見つかったら、EPDおよび画角を微調整してどれくらいまでMFが伸びるかを検討しました。
  1. 画角を拡張するよりも、瞳を広げる方が容易。
    画角を拡張すると、すぐにディストーションの仕様に引っかかったり、RMS波面収差が極端に大きくなってしまう。
  2. 評価関数=Φ×θである。
    条件を満たす光学系から、あと少し評価関数を伸ばす場合、
    (Φ + dΦ) × θ
    Φ × (θ + dθ)
    (Φ + dΦ) × (θ - dθ)
    (Φ - dΦ) × (θ + dθ)
    の4通りを考える必要がある。これは面倒!
しかし多くの場合、Φ > θ (数値だけで比較すると)であるため
ディストーションに引っかからない範囲では (Φ - dΦ) × (θ + dθ) が最善。
ディストーションがギリギリなら瞳を広げる、つまり (Φ + dΦ) × θ が最善。
ここから、画角はほぼ固定で、瞳を拡大する方針を取ることにしました。その分、画角特性は初期光学系に大きく依存することになります。

結果

今回のアプローチもなかなか良解が見つからない。
見つかっても、100をなかなか超えない。だから、なかなか方針が立てられない。
でも、EPD と画角を調整しながらなんとなく次のことが分かった。

「画角を広げること」と「EPDを広げること」を比べると、「画角を広げること」の方が遥かに難しい。
EPDは全長を伸ばせばナントカなる。画角特性はそうはいかない。(ことがわかった)

じゃあ、
⇒ 画角は固定して、EPDを広げる方向で性能向上を図ろう。

とりあえず、「解」が存在することは分かっているため、後は地道に探すしかない
(千里の道も一歩からですが、天竺への道は果てしなく続きます)。

ということで、次回:暗中模索 ついに一筋の光明が!に続きます。

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