INTAGE Volume Editorの医工連携事例 鹿児島大学




「これまで成長期の呼吸状態が顎顔面形態に及ぼす影響について議論されているものの、いまだ明確な関連は示されていません。この理由として上気道の通気状態に対する的確な評価方法が確立されていないことが考えられます。そこで、今回、気道通気状態検査システムを開発したので報告します。」

鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科 小児歯科学分野 岩 氏

使用製品 INTAGE Volume Editor

鹿児島大学では、気道通気状態検査システムの開発にINTAGE Volume Editorを活用しています。岩風lの事例をご紹介します。

目次

はじめに

これまで成長期の呼吸状態が顎顔面形態に及ぼす影響について議論されているものの、いまだ明確な関連は示されていません。
この理由として上気道の通気状態に対する的確な評価方法が確立されていないことが考えられます。
そこで、今回、気道通気状態検査システムを開発したので報告します。

気道通気状態検査システムの概要

CTから得られたDICOMデータから、3次元画像構築ソフト( INTAGE Volume Editor )を用いて上気道の抽出を行い、その後、熱流体解析ソフト(PHOENICSR、CHAM-JAPAN社製、東京)を用いて気道通気状態の評価を行います (図1)。


図1 気道通気状態検査システムの流れ

本システムの特徴

本システムの特徴を同じDICOMデータを処理して構築したセファログラム、CT断面画像、3D画像の3つの形態的評価の結果と比較しながら説明します。
セファログラム、CT断面画像からは中咽頭部の狭窄と上顎洞の不透過像を認め、3D画像では中咽頭部の狭窄、右側上顎洞、右側鼻腔部分の一部消失を認めます(図2)。


図2 上気道の形態的評価(左より、セファログラム、CT断面画像、3次元画像)

すなわち、形態的評価から、上気道の通気障害部位として、中咽頭と左側鼻腔が考えられます。しかし、実際に通気障害があるのか形態的評価だけでは明確にはできません。
本システムでは、形態的評価から通気障害が疑われた中咽頭部では通気障害を認めず、その一方で、通気障害が疑われなかった左側鼻腔に通気障害を認めました(図3)。


図3 気道通気状態検査システムの結果
矢状断面(左側鼻腔部分)での圧力分布(左)と速度分布(右)

形態的評価では肥大した口蓋扁桃がある中咽頭部に通気障害を疑ったが、気道通気状態検査システムの結果、同部に通気障害を認めなかった。
その一方で、形態的所見では検出できなかった左側鼻腔に通気障害を示す所見を認めた。

このように、本システムは通気障害部位の特定、またその程度の評価を、従来の形態的評価方法に比べ、感度、特異度ともに高い気道通気状態検査システムといえます。

今後の展望

今回の気道通気状態検査システムはこれまで困難とされてきた通気障害部位の特定を可能にし、歯科領域だけでなく、医科領域にも幅広く臨床応用できると思われます。

【文献】
岩葡q憲、早侮。明、嘉ノ海龍三、齊藤一誠、山風v一 : 上気道流体シミュレーションからみた通気状態が顎顔面形態に及ぼす歯科的影響.小児耳 30(1) : 5-9, 2009.

 

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