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Maple/MapleSim を活用したシステム設計教育
(後編)

信州大学 工学部 機械システム工学科 千田先生、池田先生と、システム設計教育を題材とした大学院生対象の授業へ活用を、実施しています。その内容について2回に分けて掲載します。今回は後編として、実際にシステム設計教育の演習を実施した結果をふまえて、千田先生、池田先生のコメントや、学生の皆さんから集めたアンケート結果を掲載します。


千田 有一先生

池田 裕一先生
千田 有一先生のプロフィール
池田 裕一先生のプロフィール

前編では「システム設計教育」の授業内容を課題例をあげながら掲載しています。
後編とあわせてご覧ください。
Maple/MapleSim を活用したシステム設計教育(前編)の内容

学生アンケートの内容と結果

システム設計教育の演習としてシステム制御特論(修士課程、全6回)を実施した後に学生の皆さんに対してアンケートを実施しました。そのアンケート内容と結果を以下に示します。

アンケート内容

アンケート結果

学生アンケートのまとめと先生方の考察

アンケート結果より、学生の皆さんの本演習に対する感想として二つの特徴がみられました。

ソフトウェアの使い方を原因とする演習課題への感想

本授業に対して、以下の感想が得られました。

  • 演習が「難しい」と感じた学生の方  : 約8割 (質問1)
  • 授業回数を「短い」と感じた学生の方 : 約4割 (質問2)
  • 課題の量を「多い」と感じた学生の方 : 約5割 (質問3)

これは、ソフトウェアの使い方によって課題に取組むことに時間が掛かったと思われます。しかし、MapleSim 自体は本質的に難しいわけではなく、理論的背景が確かな学生さんはソフトウェアの基本的な部分は使いこなせていました。

従って、ソフトウェアをただ与えても良い成果が出るものではなく、基本となる理論の学習が一番重要であると考察します。その理論習得によって、課題の進め方を予測することが出来るようになると考えます。

システム設計教育やソフトウェアに対する感想

学生の皆さんは、システム設計教育やソフトウェアに対する感想は以下と感じています。

  • 演習を「実施してよかった」と感じた学生の方 : 約8割 (質問4)
  • 計算機ツールを使用した方が「理解が深まる」と感じた学生の方 : 約9割 (質問6)

本演習のテーマであるシステム設計を考える際には、これまで習得した知識を複合的に用いる必要があり、そのことに対する「面白さ」を感じているようでした。また、理論を習得した上であれば、ソフトウェアを使用することで、理論に対する理解度、応用度が増すと考えます。

授業を担当された千田先生、池田先生からのコメント

千田先生、池田先生から本演習を終えた感想や、システム設計教育やソフトウェアの学生教育利用、また、本演習に関してご発表されたDynamics and Design Conference 2011での反応についてコメントを頂きました。

今回の授業を通しての率直な感想をお聞かせください。また、良かった点や反省点がありましたら合わせて教えてください。

良かった点、有難かった点
アンケート結果によれば、学生の皆さんの満足度は高かった様ですので、一定の成果は有ったと考えています。全く初めての取り組みにもかかわらず、短い期間での準備、実施で大変な面も有りましたが、実施した甲斐があったと感じています。
特に、MapleやMapleSimのツールの使い方など、我々教員だけでは対応できなかった部分について、深津さん、岩ヶ谷さん、加藤さんはじめサイバネットシステムの皆様にご協力頂くことによってスムーズに進めることができました。多大なご協力に感謝しております。

反省点
授業は、課題のレベルが少し高度だったようです。順を追って課題作成したつもりでしたが、学生さんにとって不慣れな内容であったため、スムーズに取り組むことの出来ない学生さんも散見されました。そのため、課題への取り組みに要する基礎知識の復習期間を設けるなど、事前準備を手厚くする必要を感じました。
また、MapleやMapleSimに不慣れであるため、ツールを使うことに時間が奪われ、本来時間をかけて考察すべき課題にあまり時間がかけられない状況もあったようで、残念でした。その意味で、教育的効果としては必ずしも十分では無かったと感じており、改善すべき課題だと考えています。授業は課題のレベルが少し高度だったようです。また、MapleやMapleSimを学生の皆さんが使いこなせないため、十分な効果が得られなかったと感じています。原因としては、授業時間数が不足なのだと思われます。そのため、学生さんが十分に計算機シミュレーションで性能評価が出来ず、あまり定着しないまま消化不良で終了してしまった点が残念でした。

実際に授業を行ってみた際の、学生の反応/雰囲気はいかがでしたか

大学院で、はじめてこの類の授業や演習を行った為か、多くの学生の皆さんは興味を持って熱心に取り組んでいたように見受けられます。これは、「満足度」に関するアンケート結果にも表れています。一方、一部の学生さんは途中で諦めてしまいましたので、それなりにハードな課題だったのだと思います。

システム設計教育の難しさはどういうところにあると思いましたか

まず、課題の設定が難しいと思います。目的が明確かつ現実的であり、様々な分野にまたがる程度の複雑さを持ち、学生さんのスキルに合わせた難易度であり、さらに、授業時間内に終えることが出来る課題。このような課題は容易に設定できません。今回の課題についても、まだまだ不十分な点があります。例えば、システム設計で最も重要な「概念設計」が欠落しています。しかし、概念設計はシステム設計において最も難しい部分なので、大学の授業で実施するにはよほど考えられた課題でないと駄目だと思います。その意味で、教える側に高度なスキルがないと実行できないと感じます。

また、折角の課題でも、学生本人が自分で考える時間を十分にとることが出来なければ、効果が薄くなると思います。その意味で、今回は、課題をこなすのに精一杯で、問われている課題を深く理解できないまま進めた学生さんも居たのではないかと予想されます。これは、課題の出し方で改善される部分もありますので、今後の工夫が必要と思いました。

学生教育へのツール利用のメリットとデメリットはどういったところにあるとお考えでしょうか。

メリットは、理論がわかっている人にとっては、計算機ツールによって様々な解析が出来、グラフやアニメーションを活用して理解を深めることが出来る点です。

デメリットは、理屈が分かっていなくても、パラメータ設定さえすれば何らかの解答(?)が得られるので、それが正しいと鵜呑みにしがちな点です。ツールが出した結果が正しいか間違っているかを判断出来れば良いのですが、そこまで考える学生さんばかりではありません。ツールを鵜呑みにして思考が停止してしまうと全く意味がありませんので、どのような形でツールを利用させるかなど、課題の出し方が非常に重要だと思います。

次回、同様の授業を行うとすればどのような授業展開をお考えでしょうか。おおよそのコマ数や、どれくらいの期間かければ良いとお考えか教えて頂けないでしょうか?また、その際のツールの習得にかける時間はどれくらい必要だと感じましたか

少なくとも今回の1.5倍の時間が必要だと思います。全8回程度です。そのうち少なくとも2回(3時間程度)は、ツールの使い方に慣れるために使う必要があるように思います。しかし、それでもかなり駆け足になる可能性があります。

Dynamics and Design Conference 2011の発表時の他の先生の反応はいかがでしたか

Dynamics and Design Conference 2011 にて発表を行ったセッションは、有限要素法等に関連したツールを使用した教育に関連する発表が多いセッションでした。
そのため、システム設計におけるツールの活用とはその考え方が異なる部分があり、我々の課題の目的についてご理解いただけなかった部分があるように感じました。
ただし、「講義中に対象システムの実験機を学生さんに見せているのか」、「MapleSimは講義のどの部分で主に使用しているのか」など幾つかのご質問・ご指摘を頂きましたので、多少なりとも興味を持って頂いた部分も有ったのではないかと思います。このような取り組みはまだ十分に認識されていませんので、今後も継続的に取り組むことによって、多くの方々に興味を持っていただけることを期待しています。

当社のサポートはいかがでしたか

とても素晴らしかったです。はじめの部分にも記載しましたが、短期間での準備にもかかわらず、スムーズに授業を行うことが出来たことはサイバネットシステムさんのお陰であり、深く感謝しています。今後も、引き続きサポート頂けることを期待しております。

当社担当者コメント

千田先生、池田先生にMaple / MapleSim を活用したシステム設計教育の演習を行って頂き、大変有難いと感じました。MapleSim を活用した教育としては、システム設計は一つのキーワードになると実感すると共に、企業の実設計現場で行われていることをいかにして、分かりやすく学生の皆さんに体験させ、これまで授業で学んだことをそこへ応用させるかということの難しさも感じました。

Maple に関しては、課題の中でソフトウェアの使用を先生方が指定したわけでもないのに、学生の皆さんはそれを使って技術計算を行っており、理論を分かった上でのソフトウェア利用のメリットもそこにあるのではないかと感じました。

千田先生、池田先生、お忙しい中コメント等ありがとうございました。

前編について

前編では「システム設計教育」の授業内容を課題例をあげながら掲載しています。
後編とあわせてご覧ください。
Maple/MapleSim を活用したシステム設計教育(前編)の内容



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