Mapleトップページ
事例・技術情報

Maple/MapleSim を活用したシステム設計教育
(前編)

信州大学 工学部 機械システム工学科 千田先生、池田先生とシステム設計教育を題材とした授業への活用を大学院生を対象とし、実施しています。 その内容について2回に分けて掲載します。今回は前編として、その概要と具体的なシステム設計教育用の課題例を紹介します。


千田 有一先生

池田 裕一先生
千田 有一先生のプロフィール
池田 裕一先生のプロフィール

概要

実際の製品開発を行う上でシステム設計は無くてはならないものですが、このシステム設計について体得する「場所」としては、「企業の実設計現場」というのが実情です。ただ、CAE が発展してきた昨今では、実際の企業現場においても、更に一歩進んだシステム設計を行うことで、今まで実現出来なかったシステム性能を実現したり、付加価値の創造を狙う動きがあります。
そのような中、企業に入る前の教育現場においてシステム設計を経験・習得するニーズが増しており、千田先生、池田先生によって、システム設計教育のツール開発を目指し、Maple/MapleSim を活用した授業を行って頂いています。
また、この活動の中で、千田先生、池田先生より論文発表がおこなわれ、大変興味深い内容となっています。

【第12回「運動と振動の制御」シンポジウム(2011)】
“1D-CAEに基づくMapleSimを用いた実践的システム設計教育ツールの開発”
池田裕一、千田有一、岩ヶ谷崇、加藤克也、深津明生
【Dynamics and Design Conference 2011】
“1D-CAEに基づくシステム設計教育とMapleSim を用いた実践的演習”
池田裕一、千田有一、岩ヶ谷崇、加藤克也、深津明生

システム設計教育の演習課題

演習課題作成に使用する実験装置としては 以下をふまえて図1の実験装置(軸ねじり振動系)を採用しています。

  • システム設計の考え方を適用出来ること
  • 実験装置などの現実のシステムを対象とし、実応答を確認出来ること
  • 計算機を用いて理論的な予測性能の評価が行えること

また、実際に課題を作成する際には、次の内容を組み入れることが考えられています。

  1. 概念設計から要素設計への考え方(具体化)の練習
  2. 粗計算による要素設計結果の検証方法の考え方の練習
  3. 運動方程式等の簡単な机上モデル作成の練習
  4. MapleSim 等を使用したモデリングと簡略化モデルの考え方と練習
  5. MapleSim 等から得た計算結果から簡略化モデルが妥当であることの検証手法の考え方と練習
  6. モデルのパラメータを推定する方法の練習
  7. 非線形摩擦に起因する応答の考察(実験応答との比較)
  8. MapleSim を用いた制御系設計と応答評価の練習

※他に、発展的な内容を含みます。

本来、システム設計において概念設計が最も重要ですが、学生向けの課題としては最も難しい問題となります。そのため、補足説明を行った上で、システム仕様や単純化されたモデル等を与えて、要素設計/モデリング/制御系設計の課題に取り組ませることとしています。
以上をふまえて作成された課題例を2つご紹介します。

課題例1:要素設計

指定の固有振動数となるばね部材の設計

システム仕様より単純化したモデルを図2とする。
図2の板ばね1及び2の材料、寸法(厚さt[m]、幅b[m])を、固有振動数が5[Hz]、9[Hz]となるように設計する。

システム設計を行う時点では、剛体をつなぐばね部材自体の選定も非常に重要ですが、ここでは「板ばね」とすることを想定し、課題を作成しています。学生が課題に取り組む際は、図2のシステムモデル図に基づき運動方程式を立て、「固有振動数と板ばねを等価な捻じりばねとした時の等価ばね定数Kjの関係式」及び「等価ばね定数と形状、材料のせん断弾性係数の関係式」を導き出し、板ばねの材料、寸法を決めます。 Maple を使用した際の解答例をご紹介します。

Mapleを使用した解答例

課題例2:モデリング

制御対象のモデリング

制御系設計に適したモデルを考察するために、以下の2つのモデルをMapleSim を使用して作成する。

(1)等価モデル
図3に示すように、板ばねを等価な捻じりばね定数と捻じり粘性摩擦係数とし、また各剛体のベアリング粘性摩擦を考慮した制御対象の本質を抽出したモデル
(2)厳密モデル
板ばねを弾性梁と考えた、等価モデルと比較し、より実システムに近いモデル

本課題に取り組む際には、図3の等価モデル図等を学生にヒントとして与えます。そのヒントより、MapleSim のコンポーネントライブラリから使用するコンポーネントを選択するわけですが、この時に「何を表現したいのか」ということを意識しなければ間違った選択をしてしまいます。このことが、モデルの「本質」を考える良い練習となると考えられます。
また、二つのモデルを比較することで、以下の点について理解を促します。

  1. 目的に応じた「モデル」選択の重要性
  2. モデルの簡略化とその妥当性の検証
  3. ソフトウェアを用いる際の計算時間の重要性



後編について

後編は、実際にシステム設計教育の演習を実施した結果をふまえて、千田先生、池田先生のコメントや、学生から集めたアンケート結果等を掲載しています。
Maple/MapleSim を活用したシステム設計教育(後編)の内容



お問い合わせ サイバネットシステム株式会社 システムCAE事業部
TEL: 03-5297-3299 (受付時間 9:00〜12:00 / 13:00〜17:30 ※土日祝及び弊社休業日を除く)
メールでのお問い合わせ  お問い合わせフォーム  お問い合わせ一覧

モデルベース開発