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事例・技術情報

複雑なことを、シンプルに伝える
学習院大学 理学部数学科 中島 匠一 教授

学習院大学では、大学全体で利用可能な「Maple キャンパスワイドライセンス」を採用し、学生教育に活用されています。今回お話を伺いました中島先生は、長年Maple を学生教育に活用されており、数学という一見複雑な学問をいかにわかりやすく、シンプルに伝えていくか、ということに注力されています。

中島先生のプロフィール

Maple 導入の経緯を教えていただけますか?

もともとMapleは自分の研究用として使っていました。たぶん、Maple V(5) あたりからでしょうか。他にもいろいろな数学ツールはありますが、Mapleの開発元は当時から、 「計算機の新しい技術をツールに生かす」というポリシーを持って製品開発を行っており、この理念に共感しました。あとは、ぶっちゃけた話をすると、Maple の方が価格が安かったことも大きいです(笑)。 また、ライセンス形態が複雑ではなくナチュラルなのも魅力ですね。最近はアクティベーションなど面倒なことも増えましたが・・・。

キャンパスワイドライセンス導入の際もご支援いただきました。

当初、数学科の共通ツールとして申請したのですが、本学の計算機センターが、学校全体で導入できるよう動いてくれまして、キャンパス内のコンピュータすべてで自由にMapleを使うことができるキャンパスワイドライセンスを導入することになりました。

Maple をどのように活用されていますか?

卒業研究を行う4年生や大学院生が、因数分解の効率や楕円曲線の有理点の研究にMapleを利用しています。また、大学院生のTAによる実習指導などを行っています。Maple は数式表現やグラフィックス表示の機能が優れていますので、授業用の教材を作るのに役立っていますね。Maple は数学のことをよくわかっている人が開発しているので、シンプルなものはシンプルに、複雑なものもきれいに表示されるところがいいと思います。また、プログラム作成を通して論理性を身に付けていくことができるのも魅力です。

本当は、1年や2年からMaple などのツールをつかった授業が出来ればいいと考えていますが、学生がツールを使いこなすまでのハードルが高いのでそこが悩みですね。そういう意味でも、教材作りは非常に重要であり、学生にとってわかりやすく、かつ判断する力を身につけることができるようなものを念頭に置いています。また、ここ数年は理学部の選択科目としてMaple を使った授業を行っています。

数学講話1―数式処理ツールによる数理探求―

2年ほど私が担当していたのですが、今はサイバネット社の技術者の方に講師をお願いしています。数学科の2年生がメインですが、1年生から4年生まで幅広く取っているようですね。受講した学生にはなかなか好評ですが、限られた期間の集中講義なので、受けられずに残念がる学生も多いんですよ。

教育でMaple (ツール)を使う上で気をつけていらっしゃる点はありますか?

学校教育にソフトウェアを組み合わせて使うことの是非は、学生教育における大きなテーマの1つだと思います。例えば、小学生に電卓を使わせていいのか?という問題と同じですね。 確かに、あまり数学のことがわかっていない学生がこういったツールを使うことは危険が伴います。出てきた答えが「正しい」と勘違いしてしまいますので。

世の中には便利なアプリケーションがあふれていますが、これらは基本的な知識を身につけるための補助的なものであり、教員が、授業を円滑に進めるためのものではないということを正しく理解して学生教育に向かい合う必要があります。要は、ツールを使うかどうかを議論するのではなく、ツールを使って出た答えを判断する力、自主的に考える力をつけさせることが、教育者としてもっとも大事なことだと思います。学習院大学の数学科では、「数学を基礎からしっかり学ぶ」という理念を持ち、基本的な知識をしっかりと身につけることのできるカリキュラムで教育を行っています。

最後に、学生に向けたメッセージをお願いします。

「数学は完成されたもの、新しい発見などないのでは・・・」そう思っていませんか?実際は、数学には未解決の問題が山ほどあります。難しいもの、教わるものと思いがちですが、それは間違いです。大学時代は、「基本」「基礎知識」を学ぶとても大事な期間です。Mapleなどのツールをうまく使いこなして学問的探求を行うことで、自主性を発揮する領域は無限に広がります。こういったツールを通して、数学を楽しんでくれる人が増えていってほしいと思っています。

取材を終えて

インタビューの中で繰り返し語られていた 「シンプルに伝えることが大事」という言葉は、中島先生の講演や著書の中でも随所に垣間見られます。弊社はCAEツールを通して、学習院大学の学生教育のサポートをさせていただきたいと思っております。学習院大学 中島先生にはお忙しいところインタビューにご協力いただきまして、誠にありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。

(2009 年 7 月 8 日)



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