System-level Engineering Symposium 2014 講演概要

講演カテゴリ

High Level Modeling for Control Systems Development

Toyota Motor Engineering & Manufacturing North America, Inc.(TEMA)
Powertrain Control Department 
Executive Engineer Ken Butts 氏

The automotive industry is tasked with developing ever more sophisticated control system designs that are required to meet increasingly stringent fuel economy, emissions, safety, and quality requirements. Model-based Development (MBD) is being applied in response to these challenges and the use of dynamical plant models to guide hardware, control, and software design, as well as validation and verification, is prevalent.
In the traditional approach, the first step to develop a plant model is to construct a set of equations that describe the dynamics of the system. However, in this approach, it is the author's responsibility to ensure that the model adheres to physical principles and it is very difficult for reviewers to check the quality of the model, especially when the model is large and complex.
In order to overcome these problems, we developed the High Level Modeling (HLM) framework wherein a formalized and physics-based plant-model-development process is defined. By following conservation principles, a model design of the system can be created which we call the High Level Model Description (HLMD). With the HLMD, design teams can readily review and critique the design of the model. In addition, HLMD-based models are easier to reuse and/or modify than traditional equation-only models due to the clear exposition of design intent.
In this presentation, we will a) introduce HLM and shows its role in a plant modeling for control workflow, b) present the HLMD and control of an automotive engine cold-start system, and c) describe an associated computer algebra-based model simplification and control design environment.

[ 同時通訳 ]

参考訳
制御システム開発のためのハイレベルモデリング
高騰する燃料費や排ガス規制の強化、高まる安全や品質への要求に応えられるよう、自動車業界はより洗礼された制御システム開発に取組んでいる。Model-based Development (MBD) はこれらのチャレンジに合致するために活用され、ハードウェア開発や制御、ソフトウェアデザイン、妥当性確認や検証を導くダイナミックなプラントモデルの利用も一般的になっている。
従来の手法においては、プラントモデル開発の最初の1歩はシステムの動力学を記述する数式を構築することである。しかし、この手法ではモデルが物理原理に基づいたものであることを保証するのは作者の責任となり、モデルをレビューする者にとってモデルの品質を確認することが難しい。モデルが大きかったり複雑な時はなおさらである。
こうした問題を克服するため、私たちは物理学ベースのプラントモデル開発定義を行うHigh Level Modeling (HLM)フレームワークを開発した。. 以下の原則維持により、システムのモデルデザインはHigh Level Model Description (HLMD)と呼ぶ表現により作成が可能である。HLMDを用いることにより、開発チームは素早くモデルのデザインをレビューし、批評することが出来る。さらにデザイン意図の明確な表現ができるため、HLMDベースのモデルは従来型の数式のみのモデルに比べて再利用や修正がしやすい特徴をもつ。
本プレゼンテーションでは、以下のような内容をご紹介する。 a) HLM を紹介するとともに、制御ワークフローにおけるプラントモデリングにおけるその役割を明らかにする。 b) HLMD と自動車エンジンのコールドスタートシステム制御を提示する。 c) 数式処理ベースのモデル簡単化と制御系設計環境について説明する。

性能、機能の統合解析技術による開発プロセスの革新

日産自動車株式会社
パワートレイン開発本部 
エキスパートリーダー(NVH) 平野 芳則 氏

日産パワートレーインの基幹フルビークル解析ツールであるFDV(Functional Digital Vehicle)を発展させたNext-FDVと呼ぶ解析技術を紹介する。具体的には、音振・運転性・乗り心地の統合設計技術の紹介や多目的最適化を含む解析事例、FDVとECUの統合技術、更にはFDVと実験の統合技術などを紹介する。合わせて、これらの技術がもたらすプロセス改革についても解説を加える。

Track A: Process Innovation

情報機器におけるメカトロニクス制御技術

株式会社リコー リコー技術研究所 先端技術研究センター 技師長、所長 山口 高司 氏

ハードディスク装置、プリンタなどの情報機器において、高速かつ精密な制御が求められ、位置決め精度はナノスケールになってきている。このような制御系を設計する際に必要な基本的な考え方について、実際に製品開発に携わってきた経験より、必ず押さえておかなければならないいくつかの設計ポイントについて紹介する。ある製品開発における制御技術の高度化は、他の産業分野にとっても有用であるべきであり、わかりやすく伝えるための考え方の枠組みに留意している。

Mazdaの目指す モデルベース開発

マツダ株式会社 パワートレイン開発本部 主査 藤川 智士 氏

近年、車に求められる機能は高度化、多様化する一方で、これに対応する車両の構造や制御システムは複雑化の一途をたどり、今後ますます加速していく方向にある。このような複雑なシステムを限られたリソースで迅速に開発し続けるには、開発そのものを机上で効率良く行う「モデルベース開発」(MBD:Model Based Development)が極めて重要になりつつある。マツダのSKYACTIV テクノロジーの進化を支えたMBDに関して、車の企画設計から部品/制御開発、そして生産品質開発への適用を、今後の展望を含めて紹介する。

数理モデリングを通じたシステマティックアプローチ〜今後の展開と展望

株式会社富士通研究所 ソーシャルイノベーション研究所 主管研究員
九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所 教授
国立情報学研究所 客員教授 穴井 宏和 氏

設計対象を数理モデルで表現できれば、予測される振る舞いに基づいて最適な設計をシステマティックに行うことが可能である。本講演では、数理モデリングを通じたシステマティックアプローチによる課題解決の方法論について、さまざまな分野での適用事例とともに紹介する。また、システマティックアプローチを支える数理技術の研究動向(人工知能を含む)や適用領域の展開についても述べる。

数式処理技術を応用した次世代の制御系設計の技術開発

株式会社デンソー 基盤ハードウェア開発部 担当次長 森 裕司 氏

車両制御システムが複雑になり、制御設計を支えるシミュレーション技術の高度化が求められている。既にマルチコアやGPGPUなどの最新ハードウェアを身近に活用でき、様々な高速・並列処理技術が提案されている。今後、複雑になる車両制御システムへの適用には、コンピューティングと数学の視点からアプローチすることが有効と考える。本講演は、数学分野の幅広い知見を持つMaplesoft社と次世代の技術として基礎検討を行った、アルゴリズム、フィジビリティスタディ(マルチドメイン/FMI)、数式処理の応用について紹介する。

Track B: Advanced Research

〜"Model-based Control Design" 再考〜 今、注目を集めるモデルを使わない制御とは?

北海道大学大学院 工学院 人間機械システムデザイン専攻 博士後期課程 石塚 真一 氏
(※ 共同研究:いすゞ自動車株式会社)

近年、MBD(Model-based Design/Development)という言葉が学術界でも使われるようになっている。しかし、産業界と学術界での使われ方は似て非なるところがあるようだ。本講演では、Model-based Control Designを再定義した後、現在、注目を集めるモデルを用いない制御系設計と対比する。その上で、なぜ、モデルを用いないのか、その理由をエンジン制御を例にして、著者らが研究を進めるmodel-free制御を具体的に紹介しながら考察する。

熱と SOH を考慮したバッテリのダイナミクスモデリング
(原題:Developing dynamic models of electrochemical batteries, including thermal and SOH effects, in multi-domain environment)

Maplesoft社 Application Engineer Sam Dao

The speaker will share his experience in modeling electrochemical devices in a multi-domain environment for applications in automotive, robotics, and mobile devices. Some of the key issues will be addressed during the presentation, including modeling approach, battery parameters estimation, battery state of health modeling, and C code generation for HIL.

[ 英語講演 ] [ 日本語訳資料 配付予定 ]

参考訳
複合領域における電気化学デバイスの数学的モデル開発
本講演では、自動車、ロボティクス、モバイル機器設計における複合領域環境での電気化学デバイスのモデリングについて紹介する。モデリングについてのアプローチやバッテリーパラメータの見積、健康機器モデリングにおけるバッテリーの状態記述、HIL におけるCコード生成などの重要な問題のいくつかについてはプレゼンテーション内でも取り上げる。

セーフティークリティカルなシステムに対する形式検証の適用に向けて

アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 技術本部 第2制御技術部 先行開発G 主任研究員 田口 雅敏 氏 (左)
サイバネットシステム株式会社 システムCAE事業部 テクニカル・エバンジェリスト 宮下 尚 (右)

近年、自動車分野における高度な電子制御の適用は、益々発展している為、安全性を確保する上で も、適切なソフトウェア設計とともに、検証技術の重要性が高まっている。形式検証技術は、従来までのテストでは網羅できない検証を可能にするが、現実的に適用するための厳密な仕様記述及び、効率的な検証技術の確立が大きな課題となっている。本講演では、どのような問題に対して形式検証技術を適用しようとしているか、更には今後に向けた取り組みについてご紹介したい。

FMI ビッグモデルとスマートUX

サイバネットシステム株式会社 MDS推進センター 技術開発室 シニア・スペシャリスト 長澤 幹夫

2014年7月に、Modelica協会FMI部会で、FMI2.0規格が制定され、マルチドメインのモデルを接続するコシミュレーション実現への前進があった。一方、複数の企業や部門間で、FMIモデルを流通させ、全体システムとして組み上げる際の課題も見え始めている。本発表では、Modelica仮想システムSSP部会で検討され始めた、FMIシステムモデリングの課題を整理するとともに、ひとつの解決策として取り組んでいる、スマートデバイスとオンライン環境を活用したFMIコシミュレーション用のユーザーインターフェイス開発について紹介する。

Track C: User Application

空調設備のモデリングにおけるMapleSimの活用事例紹介

アズビル株式会社 技術開発本部 基幹技術開発部 古賀 圭 氏

空調設備は複数の構成機器が水や空気などを媒体として回路構造的に連結されたものである。このような回路構造を持つ物理対象のシミュレーションモデルをコードベースで実装するのは手間がかかり、また実装後の可読性・拡張性にも難点が残る。本講演ではMapleSimの数式処理・非因果的モデリング機能を活用することにより、理解しやすく、拡張も容易な空調設備モデル(流体回路モデル)を作成した事例を紹介する。

ボールキック運動における逆-順動力学解析環境の構築 

筑波大学 体育系 教授 浅井 武 氏

身体運動やスポーツ技術を分析する場合、逆動力学的解析や動力学的解析を用いて運動を検討する場合が多くみられるが、それぞれ独立して実施する場合が多く、その両方を関連、組み合わせて解析した研究はほとんどない。そこで本研究では、シンプルな2次元2重振り子モデルを基に、数式処理言語で形成された、サッカーのボールキック運動分析のための、逆動力学と順動力学を組み合わせた解析環境の構築を試みた。

セラミック燃料電池(SOFC)の特性解析

東京ガス 基盤技術部 主席研究員 / 九州大学 NEXT-FCセンター 客員教授 松崎 良雄 氏

SOFCは高い発電効率が最大の特長である。その優れたポテンシャルを最大限引き出すためには、特性の理解が重要となる。高温の作動温度での燃料ガスの消費・平衡反応によって生じる平衡組成や酸素ポテンシャルは性能に大きく影響し、その際の炭素活量は耐久・信頼性に影響する。また、酸素ポテンシャルは欠陥化学的現象を介してSOFCを構成する材料機能にも作用し、現象を複雑化している。このような現象に対するMapleを使った解析について幾つかの例を発表する。

早稲田大学総合機械工学科の教育および研究におけるMapleの活用

早稲田大学 理工学術院 教授 高西 淳夫 氏

演者の所属する早稲田大学総合機械工学科の初等力学におけるMapleの活用事例について、そのカリキュラムの内容とともに紹介する。具体的には、質点系および剛体系の運動方程式(ニュートン法およびラグランジュ法)の導出、ならびに数値積分を用いた初期値問題における軌道計算へのMapleの活用例について述べる。また、演者の研究室におけるMapleの研究に関する活用事例についても紹介する。

パートナーセッション

ModelicaとFMIによるモデルベースシステムエンジニアリング

モデロン株式会社 CTO 高 鋭 氏

モデルベースシステムエンジニアリング(MBSE)ソリューションプロバイダとしてのModelon社のソリューション戦略、また、ModelicaとFMIに特化したモデルライブラリ製品やツールを説明する。そして、実験計画法、ロバスト設計、ツールチェーンの統合などのMBSE関連課題について、FMIテクノロジーへアクセスしやすいFMI Add-in for Excel、FMI Toolbox for MATLAB製品を取り上げ、Modelica系の物理モデルと汎用性の高いExcelやMATLABツールとの連携の事例を交えながら紹介する。

ETAS製HiLソリューションLABCARとMapleSimのインテグレーション

イータス株式会社 事業推進室 バーチャライゼーション担当室長 島崎 喜成 氏

近年、自動車ECU開発は、システムの複雑化が進む一方で、より短期間で効率的に進めることが求められている。ETASが提供するHiLソリューション “LABCAR”では、ユーザの要求に応じた様々なユースケースに対応するため、汎用的なラックタイプのシステムだけでなく、BMS(Battery Management System)や二輪車ABS/ESP開発等、アプリケーションに特化したものや、ソフトウェア開発担当者向けに小型化・低価格化を実現したシステムを用意している。 本セッションでは、LABCARの概要、プラントモデルとしてMapleSimモデルを統合する方法、およびシミュレーション評価結果について説明するとともに、LABCARとMapleSimの組合せの有効性を紹介する。

真の”Virtual Test Driving”を目指して〜モデル統合プラットフォーム&各プラットフォームでのリアルタイムシミュレーション〜

IPG Automotive 株式会社 代表取締役社長 小林 祐範 氏

IPG Automotive GmbHは ドイツ カールスエ に本社 が存在し、設立から今年で30周年をむかえる。カールスエ工科大学からのスピンオフした会社で、車両ダイナミクス系モデル提供から始まり、会社設立当初より、常に”リアルタイム化”も開発のキーワードとして商品開発を続けている。その中で車両を取り巻く環境、ドライバ、交通流等のモデルとしてとらえ、Test Driveを如何にバーチャルの世界で実現できるかを念頭にしてきた。Virtual Test Driving実現の為、3rdパーティ製品の取り込取り込み、各種 HiLでのリアルタイムシミュレーションなども実現している。昨今のMBDの取り組みでは、いわゆる統合プラットフォームとしての機能が注目されている。欧州の事例も交えて活用事例を多く紹介する。


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