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数式処理システム『Maple』の歴史と目的

カナダ・ウォータールー大学で産声をあげた“Maple”プロジェクト

1980年11月、カナダ ウォータールー大学記号計算グループにおいて“Maple”プロジェクトが開始され、数式処理としてのMaple(メイプル)が誕生しました。
そのコンセプトは、「研究者や学生の誰もが手軽に利用でき、可搬性のある数式処理システムを作り上げること」にありました。プロジェクト開始当時の創始メンバーであるKeith Geddes教授は、今もウォータールー大学において数式処理の研究に携わり、最先端の数式処理と数値計算の融合などに貢献しています。

カナダ ウォータールー大学

数式処理研究及び広範なエンジニアリングの研究・開発での活用

Mapleプロジェクトは、開始以来多くの数式処理研究者・エンジニアに利用され続け、西オンタリオ大学のStephen Watt教授をはじめ、数値・数式計算(SNAP)の世界的な第一人者であるRobert Corless教授やErich Kaltofen教授なども多大な影響を与える開発者として活躍し、その研究成果はMapleへと取り込まれています。

研究協力はカナダ国内のみならず、フランス国立情報学研究所のJ.C.Faugereは世界最速のグレブナ基底算法であるFGbライブラリをMapleに提供しています。
その結果、Mapleシステムは数式処理研究及び数式処理を必要とされる広範なエンジニアリングの研究・開発において、欧米では標準的な数式処理ソフトウェアとして認知され、日本国内でも後発ながら他の数式処理システムからの乗換えや比較検討の目的などで徐々にそのユーザー数を伸ばし続けています。

数式処理と数値計算: 統合計算環境としてのMaplesoft製品群

大学で生まれた数式処理ソフトウェアとして、Mapleは数多くの数式処理研究者、天体物理、理論物理、材料科学、構造力学などの研究者やエンジニアに愛用されてきています。その理由は、Mapleでは学術的な研究成果に対してオープンかつ率先してMaplesoft製品への実装を行い、先端的な研究者との協力関係の構築に常に力を入れているからです。

その結果、先端的な研究開発の世界において、Mapleが提供する数式処理機能は、いまや技術計算に欠かすことのできないアプリケーションツールとして認知されてきています。さらに、あらゆる技術計算において、数式処理は数値計算と統合的に利用される必要性も増してきています。なぜなら、

数式処理+数値計算=真の技術計算環境

だからです。数式処理と数値計算の統合は数多くのメリットを享受してくれます。

(1) 『数式処理+数値計算』のメリット: 常に潜む計算誤差への効果的な対策

数式処理では、数値計算では常に生じる誤差の心配がありません。数式処理は、パラメータの係数は未知変数や有理数・整数・代数的数など、厳密に正しい表現のままで計算を行えます。一方、数式処理は、文字通り数式を数式として認識します。従って、誤差が発生するような問題に対して、人間が対処するかの如く、式の整理や簡単化、余分な計算の排除などの処理を、数値計算を実行する前に適用することで、数値計算では必ず発生する誤差をより効果的に考慮するための対策を講じることが可能です。

例えば、微分方程式と代数方程式が混在した「微分代数方程式(Differential Algebraic Equation)」を数値計算の手法だけで解こうとした場合、通常の数値計算法とは異なる誤差への配慮が必要です。微分代数方程式は、ダイナミクスの振舞いと物理的な条件を同時に満たす方程式であり、電気回路やマルチボディシステム、化学反応などのあらゆる工学的現象の表現に用いられていますが、そのシミュレーションを効果的に行うには、数式処理と数値計算の統合的な計算法が必須となっています。

常微分方程式(ODE)部分、代数方程式(拘束式)部分

直交座標系で記述された振り子モデルを表す微分代数方程式(DAE)の例。
微分代数方程式の数値解法(シミュレーション)では、ルンゲ・クッタ法などの数値算法による1ステップの計算に加え、各時間ステップで拘束式の条件を満たしているか否かの計算も必要となり、計算コスト増に加えて誤差発生の一要因と成りえます。

左:解法の反復により誤差が発生し、振り子の長さが1であるという拘束条件から徐々にはずれている例
右:拘束を考慮した解法により反復を繰り返しても誤差が発生しない例

(2) 『数式処理+数値計算』のメリット: 効率的な計算コストの実現

数式処理によって数式を正しく認識した計算は、複雑化する現象のシミュレーションをより効率的に実施することが可能です。

数式処理を得意とするMapleでは、式の計算コストを量るための機能も用意されています。いわゆる計算量解析を実現することで、式の持つ意味を変更することなく、単なる数値計算法の適用だけでは対処できない膨大な式の計算を、よりスマートに、より効率的に実現することが可能なのです。

Mapleの内部では、このような最適コストで計算するための処理を適宜行って計算の高速化を図っています。数値計算法だけでは実現できない、数式処理と数値計算の統合計算環境だからこそ可能なメリットが、Mapleには数多く取り入れられているのです。

統一的な物理モデリングと MapleSim の挑戦

電器製品に自動車、原子力プラントなど、あらゆる工業製品は付加価値の増大と共にその仕組みも年々複雑化の一途を辿っています。人間と自然にとって、より安全、より快適、そしてより省エネルギーな仕組みを提供するために、工業製品の研究・開発・設計ではこれまでとは異なるアプローチによる開発手法の模索が続けられています。

近年、注目を集める『モデルベース開発』と呼ばれる手法も、そのような新しい仕組みのひとつです。モデルベースとは、すなわち「モデル=数式モデル」を設計の初期段階で考案し、モデルを正とする開発・設計フローです。開発プロセスにおける試作からの手戻りを削減するのが狙いのひとつですが、モデルベース開発では制御対象モデルを正確かつ効率的に記述することも必要とされています。例えば、制御対象としてハイブリッド自動車を考えれば、エンジンの内燃機関とモータやバッテリなどの駆動源と共に、サスペンションなどの車両システム、エアコン、ナビゲーションシステムなどの電装類など、気体、流体、機構、伝熱、信号処理、電気回路、そしてそれらを調整するための制御システムなどあらゆる物理対象への考慮が必要となります。最終的に、ハイブリッド車両は、総合的に省エネルギーに抑える必要がありますが、個々の物理対象を別々に考えるだけでは漏れがある可能性も考えられます。

先端的な技術計算環境を提供するMaplesoftでは、このような次世代のものづくりへの要望に、同社が得意とする数式処理と数値計算の統合的な技術ノウハウを提供します。2008年にリリースされた複合領域物理モデルシミュレータ『MapleSim』は、個々の物理ドメインのコンポーネントを組み合わせるだけで制御対象であるプラントを構築し、シミュレーションを可能にします。
ユーザーが用意した制御対象のプラントモデルは、内部で明示的かつ最も計算量の最適な数式モデルとして表現されており、ユーザーはいつでも数式モデルを用いた解析やシミュレーションを実現できます。明示的な数式モデルが用意されているため、Cソースへの出力も容易に可能で、自社製品への組込みにも適用することが可能です。

参考資料

モデルベース開発の未来を手繰り寄せるために

このように、得意とする数式処理技術というコアテクノロジーを武器にして発展を続けるMaplesoft社は、2009年7月31日、日本の販売代理店であるサイバネットシステムとさらに強固な関係を組むことを発表しました。(参考:当社プレスリリース

MATLAB/Simulink(※)やANSYS、CODE V、LightToolsなどのCAEソリューションを20年以上に渡って提供し続けてきたサイバネットシステムは、モデルベース開発の普及と推進をさらに加速させます。モデルベース開発を推進するための現実的な課題は何なのか、お客様と共に考え、共に行動するサイバネットシステムは、従来からのCAEツールソリューションと受託解析・受託開発サービスソリューションに加えて、Maplesoftと共に付加価値の高いものづくりの実現に向けて一歩ずつ前進していきます。

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