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Cybernet News コーナー記事:
「モデリカ なう」第1回

「モデリカ なう」では、2014年6月から正式に活動を開始したModelica協会SSPプロジェクトを中心として、FMI(Functional Mockup Interface)先進ユーザーの動きなどをレポートしていきます。

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Modelica協会って何?

非営利国際組織のModelica協会は、1996年、シミュレーションの専門家が集まり、発足しました。オブジェクト指向のマルチドメイン・モデリング言語Modelicaの標準化や、オープンなモデルライブラリの提供により、多様な分野にわたる複雑なシステムのモデリングを可能にするシミュレーション共通基盤の構築を進める活動をしています。

SSPプロジェクトって?

Modelica協会では、https://www.modelica.org/projects に公開されるとおり、2012年から、テーマを絞ったプロジェクトとして、三つのプロジェクトが活動しています。Modelica言語を定義する第一プロジェクト、Modelicaモデルライブラリを整備する第二プロジェクト、そして、FMIのモデル連携APIを規定する第三のFMIプロジェクトです。(ちなみに、第三FMIプロジェクトで検討している、FMI2.0の仕様が2014年7月に確定されました。)

これらのプロジェクトが、モデルやツールの開発者が主導していたのに対し、FMIユーザーが発起人となったユーザー主導の新たなプロジェクトとして、Modelica第四のプロジェクト ”System Structure and Parameterization of Components for Virtual System Design” (以下、SSPプロジェクト)が、2014年6月に発足しました。

SSPプロジェクトでは、仮想システム設計のために、FMI準拠モデルを要素レベルとして、システムレベルの構成管理とパラメータデータ管理を議論します。プロジェクトメンバーが一堂に会してのワークショップ開催、オンラインでのWeb会議、メーリングリストでの議論などを、その活動形態としています。

参加者はどんな人たち?

Modelica SSPプロジェクトの正式メンバーは、個人ではなく企業です。FMIユーザー企業と、FMIツールベンダ、そして、FMIコンサルタント企業とに分類されます。サイバネットシステムも、FMIコシミュレーション基盤の開発実績を認められて、FMIコンサルタント企業として、正式メンバーになっています。関連のFMIツール企業であるMaplesoft社と(ANSYS)Esterel社も、SSPメンバーです。また、定期的なWeb会議には、本田技術研究所からの参加もあります。

ワークショップへは、各メンバー企業からの代表者が参加します。まだ、普及が始まったばかりのFMIですが、ワークショップでのディスカッション内容は密度が濃く、お互いにFMIエキスパートと認め合うレベルの高い集まりとなっています。

何を議論しているの?

SSPプロジェクトは、その名にあるとおり、仮想システム設計のための、システムレベルのシミュレーション課題に取り組んでいます。2014年6月に、ドイツのミュンヘンで、第一回のSSPワークショップが開催されました。現状のFMIは普及黎明期にあり、FMIモデルをつなぐ評価テストが、多くの開発ベンダーで進められている段階です。一方、SSPプロジェクトメンバーの多くは、FMIを用いたコシミュレーションを、すでに実用評価している先行ユーザー企業です。ワークショップは、FMIの将来を考える集いと言えるくらい、検討範囲が広くなる可能性があるため、「FMIモデルネットワーク」や「FMIパラメータ」の定義と、プロジェクトの目標スコープを規定することから、議論を開始しました。

その後、ワークショップ参加者が、ZF, Bosch, BMWといった代表的なFMIユーザー企業を囲むグループ討議形式で、自動車業界でのFMIユースケースを出し合い、FMIでは規定されていないシステムレベルの課題を整理しました。

FMIだけでは何が足りないの?

配線問題で困っているヒトのイメージFMI規格は、システムを構成するひとつひとつの要素モデル接続のためのAPI規格です。システム全体のモデル構成を管理する方式や、コシミュレーションを実行するコシミュレーションマスターについては規定がなく、実装は任意です。
特に今回、FMI活用企業のユースケース分析から明らかになったFMI利用の課題として、複数FMIモデルの取り扱いと、複数パラメータセットの取り扱いが挙げられました。

  • グループAでは、仮想システム全体で10から20個のFMIモデルを接続し、数百から千程度の信号線を配線する大規模システムへの対応が指摘されました。
  • グループBでは、部品納入先ごとに、沢山のFMIモデルを用意するファイル管理の手間と、モデルのセキュリティや知的財産管理が課題となっていること。
  • グループCでは、ひとつのFMIモデルに、複数のパラメータセットを割り当てて、ベンチマークするような使い方にFMI仕様が対応できていないことが課題とされました。
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