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直感でわかるCAEを目指して

CAEユニバーシティ事務局

1. 「わかる」ということ

「バスケットボールと軟式テニスボールはどちらが重いでしょうか」と聞かれたら、誰でもバスケットボールが重いと答えますね。どちらもゴム製ですが大きさがかなり違います。「パチンコ球とピンポン球を比べて、どちらが重いか」と聞かれたら、これもどちらが重いかを答えられます。大きさはパチンコ球の方が小さくとも鉄の固まりであり、ピンポン球は薄いプラスチックの空洞だということを知っているからです。では、「軟式テニスボールと硬式テニスボールはどちらが重いか」と聞かれたらどうですか。前の2つに比べて答えられる人が少なくなったのではないでしょうか。更に、「軟式テニスのラケットと硬式テニスのラケットとではどちらが重いでしょうか」と聞かれたらどうです。ますます答えられる人が少なくなったのではないでしょうか。

硬式テニスボールの方が重そう、という感じを持った方、良いセンスです。実際、硬式テニスボールは軟式テニスボールの約2倍の重さがあります。硬式テニスボールの方がずっと重いです。さあ、ここでもう一度考えてみましょう。軟式テニスのラケットと硬式テニスのラケットとではどちらが重いでしょうか。

硬式テニスボールは重い…、重いものを打ち返すにはより頑丈でないといけない…、頑丈にするには重くなりそうだ…。ということで、硬式テニスラケットの方が重いと連想できます。最近は軽くて強い素材もあるので一概にそうとは言えないかもしれませんが、一般的に硬式テニスのラケットの方が若干重いようです。この連想は間違っていませんでした。つまり、こういう連想のできる人は、ほとんど重さの差がない2つのもののどちらが重いかを、実際に測りもしないで当てることができるということです。

バスケットボールと軟式テニスボールや、パチンコ球とピンポン球の重さの比較であれば、大抵の人は自分が持っている知識や経験からどちらが重いかすぐわかるでしょう。これに対し、軟式と硬式のテニスボールや、テニスラケットの重さの比較はどうでしたか。おそらく、わからないという人が多かったでしょう。しかし、前述のように、現在持っている知識や経験をうまく利用すれば、知らない事象(現象)に対しても、「わかる」ことができるのです。

2. 「わかることができる」ということ

従来型の秀才は、答えをたくさん知っていて、問題に遭遇したときに、自分の知識の中から適合するものを取り出して見せることのできる人でした。たくさん本を読んでいろいろな知識を頭に詰め込んでいるので、何か聞かれたらそれをすぐに取り出すことができるのです。生き字引だとか、歩く辞典だとか言われる人です。昔はそういう人は重宝がられました。知らないこと、ちょっと忘れたことを、その人に聞けば何でも答えてくれるからです。しかし時代が変わって、ネットが発達し、わからなかったら「ググる」時代になりました。何でもネット検索できる時代です。「ただ知っている」だけの人は要らなくなりました。これから必要なのは「わかることのできる」人です。「わかることができる」とは自分でゼロから新しい知識を創りあげていくことができる、ということです。

「わかる」は、自分の中にその知識(事象・現象など)のイメージフォーマットができることです。ある知識に遭遇したときに、一致するフォーマットを持っていれば、それを知っている状態です。しかし、一致するフォーマットがないと、それを読み取れない=知らない・理解できない、となります。本を読んで知識を暗記するのは、このフォーマットを増やすことです。持っているフォーマットの多い人が物知りです。そして物知りよりもっと優れているのが、自分のフォーマットを利用し、応用できる人です。例えば、新しい知識に遭遇したときに、これはわからない・知らないと諦めてしまわないで、既存のフォーマットから関連部分を抜き出し、整理して、新しいフォーマットを作り、新しい知識を自分なりに理解できる人です。このような応用力に優れた人が、「わかることのできる」人です。

3. 直感でわかる ─ 勘がはたらく

以前、知り合いのCAE技術者に、材料力学のテストをやってもらったことがありますが、全問正解でした。「さすが、良く勉強してますね」と言ったら「いや、全てカンです。材力はわかりません」という返事でした。厳密解を手計算で求めるような問題ではなく、定性的な性質がわかれば正解がわかる○×式の問題とは言え、全問正解するのはかなり難しいと思います。しかし本人曰く「全てカンです!」で全問正解になるわけです。その人は理系出身ですが、専門は化学だったので機械系のことは良くわからないと言います。材力どころか、機械系の授業には全く縁がなく卒業し、たまたまその会社に入ってCAEの仕事に携わることになったそうです。その後も機械系の勉強を全くしなかったということは無いでしょうが、本人としては、「特にしていない」とのことです。しかし、バリバリの機械系CAEエンジニアとして社内外で認められていて、客先でもメーカーの設計者と対等に話ができる人だと聞いています。

この人が勘だけで仕事をしていることはないと思いますが、もし現場に勘で仕事をするという人がいたら、あなたはどう思いますか。勘で仕事をしてもらっては困るという人が結構多いのではないでしょうか。勘という言い方がいけないのかもしれませんね。前述の「勘」は当てずっぽうという意味ではなく、経験的に当たりを付けられるという意味です。そこで、「経験で当たりを付けられる人」という言い方にしたらどうでしょう。むしろ、経験の多い人大歓迎、ではないですか?

それでは、「経験の多い人」には何が期待されるのか。それは、理論的な説明ではなく実践的な判断でしょう。何か起きそうなときに直感が働く(かもしれない)、何か起きたときに直感的に対処法がわかる(かもしれない)という期待感が大きいのではないでしょうか。それは言い直せば、未知のことに対して直感的に対応ができる可能性が高いということになり、既存の知識の応用力が高いことを期待しているわけです。先ほどの言い方を借りれば、経験の多い人は自分の知識のフォーマットをたくさん持っている人であり、さらに未知のフォーマットに対して柔軟に対応できる能力に優れた人であろうと考えられます。そういう人を育てる教育が必要になります。

4. 勘を磨くための教育 ─ 五感教育

既存知識の応用力を広げるにはどうしたら良いでしょうか。そのためには知識をつなげるときに、一つの知識を様々な方向から見ることができることが必要です。例えば、「応力」という知識を大学でどう学んだでしょうか。講義は効率的に行わなければならないですから、材料力学でも、枝葉は取り除きその重要部分に焦点を当て、順序立てて、数学的な証明や、物理的な性質などが説明されたのではないでしょうか。合理的でとても素晴らしい授業だったはずです。

さて、そのすばらしい授業の内容をあなたはどれくらい思い出せるでしょう。多くの人が、学生のときは試験で合格点を取るために、試験に出そうな理論式の導出やパラメータの名前、専門用語を丸暗記で覚えたのではないでしょうか。そうだとすると、関連性が構築されていないために、役に立つ知識として思い出すことができません。すなわち、フォーマットとして自分の意識の中に整理して埋め込まれていないために「わかることができる」状態になっていないのです。「大学で材力はやってきたはず。でも実務で使えない。なぜだろう?」というのはこういう人です。知識をつめこんだだけでは役に立ちません。上手く関連付けて上手に引き出せることが必要なのです。

CAEユニバーシティでは、座学・演習・実験・製作・e-ラーニングの5つの講座形式を用意しています。そして、それらをうまく組み合わせてCAEが「わかる」ための工夫を凝らしています。更にそれぞれの講座が独立してあるのではなく、講師間でお互いに内容を調整し、関連付けしながら体系的なシラバスを構成しています。

仮に1つの講座の中に「わかる」状態にならない知識があったとしても、他の関連講座ではそれを補う形で、違う角度から見、違う言葉で学習することができます。これが応用できるフォーマットの構築につながります。そして、新しい知識と既存の知識との関連が生まれ、あなたの中に「わかっている」状態となって蓄積されます。それらは関連付いていますので、バラバラな死んだ知識ではありません。必要なときにいつでも呼び出し、課題のために正しく応用ができる生きた知識となります。まさに五感を使って学び、第六感を成長させる「知識を活かすための講座」となるわけです。

5. 個性を育てる ─ エンジニアリング教育

もう一つ大事なことは個性を育てることです。例えば「リンゴが木から落ちる」という現象からニュートンは万有引力を発見しました。しかし、リンゴがどれくらいの高さから落ちるのか、どんな色のリンゴなのか、さらに、落ちた後誰が拾うのか、すっぱいのか甘いのかなど、様々なことを考える人もいるでしょう。リンゴがどこに転がるのかに関心がある人はリンゴが落ちることには無関心ですから、万有引力は発見できないかもしれません。何個落ちるかに興味がある人も万有引力は発見できないかもしれませんが、一度にたくさん落ちたら良いなと考えて、品種改良でたくさん実がなるリンゴを作り、別の意味で人の役に立つかもしれません。もしリンゴが落ちるのを見て、全ての人が万有引力しか連想できなければ、それ以外のバリエーションがありません。たくさん実のなるリンゴの木も、甘いリンゴも世の中に出てこないかもしれません。みんなでリンゴが木から落ちるのを見て、「ああ、万有引力だね」と納得する。確かに万有引力はすごい発見ですが、みんながみんなそれしか連想できなくても困るわけです。知識は重要ですが、個性も同等以上に重要です。世の中の多くの講座は、ニュートンばかり育てることを目標としています。しかしCAEユニバーシティは個性を伸ばすことも知識を「わかる」ことと同等に重要なことだと考えています。そしてCAEユニバーシティの講師陣は各分野の個性豊かな専門家ばかりです。ぜひ多くの優れた個性に触れて独自の個性を磨いてください。

6. おわりに

勉強しなくても簡単にCAEがわかる、という方法はありません。しかし、時間が少なくてすむ効率的なやり方、負担の少ない合理的なシステムはあります。いくら知識を詰め込んでも、それを活かせる状態として理解していないといつまでも上手く使えません。これまで多くのCAE講座を受けてもちっとも上達しないと思う方、CAEの教育講座なんてどれも同じだよと思う方、ぜひ一度CAEユニバーシティに参加してみてください。五感を使って学習し、第六感を磨きましょう。カンピューター・エイデッド・エンジニアリングは、きっとあなたの役に立ちます。

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