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特集:環境に優しいエネルギー技術

特集に寄せて

CTO 石塚 真一


決めつけずに多角的に

今回の特集は「環境」です。このテーマを選択した理由は、近年の環境への関心(懸念)もありますが、当社の主力ビジネスであるCAE/シミュレーションと情報技術が、主に製造業の試作回数を削減させ、環境負荷低減に寄与することを謳っているからです。

シミュレーション技術は多くの場合、性能向上や試作・実験コストの削減、工数低減・納期短縮といった面に目が向きがちで、「それは、結果的に環境に優しいのです」というシナリオに落ち着きます。しかし、直接的な貢献はできないものかという思いもあり、今回、環境、特にエネルギーに関する先駆的技術に改めて目を向けてみました。

エネルギー問題と言っても、消費を抑える技術、継続的に作り出す技術、それを運ぶ技術等、様々な技術があります。この大きな課題を克服するためには、様々な視点に立って、かつその技術を集約することが重要であると考えます。

折しも本企画を進める中、東日本大震災が起き、福島第一原子力発電所の事故を皮切りに、エネルギー問題への関心が世界的に高まっております。そして、テレビ等でも多数報道されていますが、太陽電池に大きな関心が高まっているようです。太陽電池における現在の最大の課題はコストですが、それではコストが採算ラインまで下がれば、それで安心して良いのでしょうか?本当に問題は無いのか?一辺倒で進めて良いのか。太陽エネルギーは実質、無尽蔵ですから枯れる心配は無いとしても、ほとんどガラスのような脆い材質のものを、意外に崩れやすい屋根に取り付けて、地震のときに崩壊したら、それこそどうやって電力を得るのだろうか、などと素人ながら考えてしまいます。

私は太陽電池を否定するつもりはありません。何十年も前から存在していながら、なかなか普及しなかったこのポテンシャルあるエネルギー源が、これを機に普及することは好ましいことだと思っています。しかし、原子力発電が自然エネルギーは現実的でないと決めつけて、安全神話(過信)の下に推進されてしまったように、何かを決めつけることで新たな技術革新の芽を摘むのは好ましくない、と思います。理論的に可能か不可能か、或いは真に技術的観点から実現性を見極めるべきで、そのためには固定観念に捉われず、多角的に様々な可能性を考える必要があると思います。特に技術は進化するので、10年前の常識をいつまでも適用し続けるのではなく、技術の進化に応じた柔軟な対応を採るべきでしょう。

環境先進国を目指して

日本車は以前からその品質と共に、燃費が良いことで知られていました。それがハイブリッド自動車の登場で更に決定的な優位性となり、現在、世界をリードしています。

CAE/シミュレーションと言えば、まず自動車が頭に浮かぶように、その開発工程の様々な場面で利用されています。特に近年では、低燃費/低エミッションに関する技術開発が一層重要度を増し、CAE/シミュレーション技術の役割は大きくなっており、私たちのビジネスも少なからず貢献してきたと自負しております。

今回取り上げたエネルギーや電力に関する技術は、日本の将来にとって明るい兆しと感じます。様々な技術的課題はあろうかと思いますが、それを乗り越え、日本が世界をリードする環境先進国になれる日が来ることを祈らずにはいられません。それが実現できれば、結果的に、経済的にも豊かになることでしょう。我々もCAE/シミュレーション技術、そして情報技術をもってその一翼を担いたいと考えております。

環境はエネルギー問題に限ったことではありません。今回は電力関係が中心となりましたが、温暖化/CO2、海洋汚染、そして、それがシミュレーションでどこまで予測できるか、といったことも、またいつか、別の視点から見てみたいと思います。

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