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特集:今あらためて“モデル”

特集に寄せて

今回のサイバネットニュースでは、「今あたらめて“モデル”」と題して特集を組んでみました。これは前回の本誌において、私たちサイバネットシステムが提供させていただいている、CAE/シミュレーションソリューションを成功させる重要なポイントを「モデルである」と提言させていただいたからです。モデル化を成功させるためには、対象となる問題への工学的/物理的洞察力、基礎となる物理法則や数学理論の知識、(良い意味での)経験とデータの積み重ね、解決したい問題とその目的の掌握、ツールの適切な使い方等々、様々な要素を高い次元でバランスを取り、統合させる必要があります。

私どもサイバネットシステムでは、長い間CAE/シミュレーションのパッケージソフトの販売とその技術サポートに力を注いでまいりました。これはある意味で、モデル化における要素のいくつかをお手伝いさせていただいたと言えるかもしれません。しかし、より高度な科学技術が望まれる中、また、CAE/シミュレーションではモデルが重要と提言したのであれば、自分たち自身がもう一度モデルについて見つめ直し、もっと出来ることはないかを考えて、よりよいサービスを提供すべく努力する必要があると考えました。その為に第一人者の声や意見を聞こうということで、この特集を組ませていただきました。

誰もが使う、けど皆イメージが異なる言葉:モデル

モデルという言葉は、もはや一般人でも普段使う、日本語と化した言葉と言えるでしょう。プラモデル、ファッションモデル/読者モデル、ビジネスモデル等々、様々な分野で使われています。これは共通したイメージで使われているでしょうか?答えは多分「ノー」でしょう。

モデルという英語を辞書で引くと、日本語では、模型、手本、見本、規範、鏡などが出てきます。プラモデルはまさしく模型という意味ですね。ファンションモデルは見本(あるいは憧れ)でしょうか。読者モデルは自分と置き換える鏡といったイメージが近いかもしれません。ビジネスモデルは?この場合は、戦略的典型的パターンのような意味合いで使っていることが多いのではないでしょうか?随分違った意味合いが感じられなくもありません。そりゃ、一般と比べるからだよ、技術の世界ではそんな違いは無い、と思われる方も多いかと思います。果たしてそうでしょうか?

FEMでは、今日は1億を超えるような方程式を解くモデルも存在します。3D CADから作成されたメッシュ(内部的には連立方程式)は、まさに実物そっくりの模型(CG的)のようです。一方、制御で使うモデルの方程式の次数はおそらく20以下でしょうし、そこには実物のイメージは無く、抽象化した微分方程式(あるいは状態方程式)で表現します。このように技術の世界でもツールや手法が変われば、イメージするものは相当に変わります。たとえば「自動車のサスペンションを解析したい」という場合、通常、その主となる解析はマルチボディダイナミクスに理論を置く機構解析で、通常、剛体として扱う場合が多いでしょう。しかし、最近ではリンクやアクスルも弾性体と考え、そしてタイヤまでもメッシュ化した機構/FEM解析も行われております。制御の世界では、2,3個程度の集中質点によるバネ−質量−減衰系の振動モデルでしょうし、タイヤはマジックフォーミュラに代表される実験・数式モデルが使われる場合が多いと思われます。

複合領域問題/マルチプロダクト・ソリューションを掲げる当社にとって、このように同じ問題に対しても、ツールや手法によりいくつものモデルやその考え方があることを改めて認識すべきと考えております。

今回、本特集を組むにあたり、各方面の第一線で活躍される方々からのご意見を頂くことができました。紙面の関係上、全てのエンジニアリング領域はカバーできませんが、皆様と一緒にモデルについて考え、CAE/シミュレーション技術をより有効にしていくことに勤めたいと思っております。

サイバネットシステム 執行役員 CTO 石塚 真一

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