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【第16回】メルマガ02月号 テクニカルコーナーノイズのお勉強 その2 〜信号系ノイズ デジタル編〜

信号系のノイズ − デジタル信号のノイズ

今回は、伝導ノイズのなかの信号系のノイズについて解説します。
まず、前回の図で挙げていました 信号系−デジタルのパートについて解説します。
デジタル信号の伝送でも、高周波アナログ信号を伝達した場合と同様の現象により、デジタル信号に歪み(ノイズ)をもたらし、そのことによって、誤動作を引き起こしたり、間違ったデータとなってしまう可能性があります。
また、最近は少なくなりましたが、回路上の問題でデジタル的にノイズとなる場合も紹介します。

反射ノイズ (シグナルインテグリティ)

このコーナーの「第2回シグナルインテグリティ」で解説している、インピーダンスの不整合(ミスマッチ)により起こる現象です。
信号の波形には、主に次のようなノイズとして、影響を与えます。
それぞれについて、図に示して簡単に説明します。

オーバーシュート/アンダーシュート

図のように、電源電圧範囲(あるいは安定する電圧レベル)を超える、波形のピークを指します。
これが非常に大きくなりますと、信号を受ける側のICを破壊したり、ラッチアップ現象を彦起こしたり、デバイスの信頼性低下をまねくことがあります。

リングバック

オーバーシュート/アンダーシュートの揺り戻しで、電圧レベルが下がった(上がった)ところをリングバックと呼んでいます。
ここの揺り戻しが大きい場合、スレッショルドレベルをこえて、動作が不安定になったり、不要なパルスを発生したりする(ロジック反転する)可能性があります。

リンギング

多重反射などの原因により、波形が振動している状態を指します。
リンギングが大きい場合も動作が不安定になったり、EMIの増加の原因となることがあります。
また、リンギングノイズは、デジタル回路に限ったものではなく、OPアンプやスイッチング電源回路(リップルではなくて)などでも発生します。

非単調エッジ(ステップ)

分岐配線での反射があるケースなどで、波形の立ち上がり、立ち下がりの途中に、段や小さなピークができている場合があります。
 これを非単調エッジ(単調増加または単調減少ではないエッジ)と呼んでいます。
このようなノイズが、クロック信号に発生すると、誤動作、タイミングのずれ(遅延)、ジッタ(後述)の増加など、致命的な問題となることがあります。

注)さらにややこしいことに、アンダーシュートは立ち下がりのマイナス側へのオーバーシュートを指して いますが、リングバックのことをアンダーシュートと呼ぶことがあります。

これらの対策やシミュレーションの詳細につきましては、こちらのページもご覧下さい。
【第2回】メルマガ12月号
シグナルインテグリティ入門

クロストーク

クロストークノイズは、もともと有線電話の隣接回線からの音声信号の混信を指していました。(漏話)
デジタル信号では、隣接(あるいは近傍の)配線間の相互インダクタンス(トランス結合)、相互キャパシタンス(コンデンサ結合)により、一方の配線(Aggressor)から他方の配線(Victim)に、信号(電圧・電流)が誘導され、ノイズとなる現象です。
クロストークの影響が大きい場合、誤動作の原因となるほか、波形歪み、タイミングのずれ、ジッタを大きくする原因にもなります。

等価回路

クロストークの対策、シミュレーションにつきましては、こちらのページもご覧下さい。

高速シリアル伝送でのノイズ

近年、PCI Express や SATA、USB2/USB3、LVDS などのインターフェースに代表されるような、差動信号の高速シリアル伝送がよく使われるようになってきました。
これらの高速信号伝送では、上述のようなシグナルインテグリティも重要ですが、アイパターン(アイダイアグラム)での評価が重要となってきています。
アイパターンはその名の通り、クロックで同期したデータパターン(ランダムデータ)波形を重ね合わせて表示したもので、目の形のような波形となります。この目の開き具合(アイの開口部)で、信号品質を評価します。
ここで、主に問題となるのは、次の2つです。

シンボル間干渉

プリント基板などの伝送線路のシンボル間干渉は、減衰の大きい配線や長い配線(帯域制限のある伝送路)により、ローパスフィルタを通ったような信号になってしまい、データのパターン(1または0が続くか否か)によって、干渉を受ける(引きずられてレベルが変わる)現象です。 (図を参照)
また、ドライバ側(送信側)のICの帯域不足や、シグナルインテグリティ上のノイズの影響によっても起こります。

このような信号では、アイパターンにしたとき、アイの開口は狭くなってしまいます。つまりデータエラーを起こす可能性が高くなります。
この対策として、プリエンファシス(デエンファシス)回路をデバイスに組み込むことで高域の補正を行っています。
単なる高域強調ではなく、コントロールされた、オーバーシュート形状にすることで、シンボル間干渉によるレベル変動を防いでいます。(デエンファシスはステイレベルを下げることでオーバーシュート形状を作成しています)

ジッタ

ジッタは波形の時間的ぶれのことで、クロックやデータの位相の揺らぎによって起こります。
ジッタは大きく分けて、ランダムジッタとデタミニスティックジッタに分けることができ、ランダムジッタは、名前の通りランダムな要因で時間の積算とともに増え、正規分布するジッタです。
一方デタミニスティックジッタは、データに依存し、デバイスのクロックやデータの揺らぎ、シンボル間干渉やシグナルインテグリティの影響を受けます。
立ち上がり、立ち下がりの傾きの変化も位相の揺らぎとなりますので、電源電圧の変動、つまりパワーインテグリティの影響も受けることになります。
ジッタが大きい場合も、アイの開口は小さくなってしまいますので、データエラーを発生しやすくなります。

アイパターンシミュレーションにつきましては、こちらのページもご覧下さい。

デジタル的ノイズ

ハザード/グリッチ

デジタル信号において、ゲート遅延、配線遅延、非同期回路などによる信号遅延などが原因で、意図せず生じる細いパルスを ハザード あるいは グリッチ と呼んでいます。
アナログ系のノイズとは異なった、ロジック上のノイズと言えます。
最近は『ハザード』を別の意味で使うことが多いので、グリッチの方が誤解がないかもしれません。
AND(NAND)ゲート1つでも発生する簡単な例を示します。

非同期設計が主流だった時代は問題となることがありましたが、近年では、同期設計が殆どですので、問題になることは少なくなりました。
また、これとは別に、D/Aコンバータでロジック信号の切り替わりの際、そのスイッチングノイズが、出力に細いパルスとなって現れる現象もグリッチと呼んでいます。
こちらは、デバイスの進化(半導体メーカーさんの努力)で、最近では、グリッチの小さいD/Aコンバータが入手できます。

今回はデジタル信号に関わるノイズの話をしてきました。次回はアナログ信号に重畳してくるノイズについて解説する予定です。 ノイズ対策について困っている、それまで待てない!という方は、是非サイバネットシステムまでお問合せ下さい。

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