いまさら聞けない!電気回路設計者向け EDA基礎知識 EMC

放射ノイズにつきましては、ノイズの種類で、基本的な解説していますので、こちらも合わせてご覧ください。今回はこの続編に相当します。
さて、放射ノイズあるいは、放射妨害波と呼ばれるものですが、実はほとんどの電機製品から出ています。
問題は、そのノイズの周波数と大きさで、各種規制があるため、その規格をクリアしないと製品を販売できないということです。
そのため、デバイスから装置全体に至るまで、その製品に応じた対策がとられています。
ここでは、放射ノイズ対策の中心となる、プリント基板での対策について解説します。
ノイズの種類の最後の部分で、放射ノイズ対策(不要電磁放射の抑制)について触れていますが、放射ノイズの3要素として、ノイズの発生源(エネルギー源)とアンテナ(ノイズを放射する部分)のほかに、ノイズの伝送系での抑制ということが挙げられます。ノイズフィルタなどがこれに相当します。

プリント基板における具体的放射ノイズ対策

次に、具体的な放射ノイズ対策方法について述べます。ここに書かれている対策が、必ずしも全てではありませんのが参考にしてください。

  • 発生源に関するもの
    放射ノイズのレベルは、信号や電源の電圧ではなく、電流に比例します。
    また、周波数または周波数の2乗に比例します。従いましてこれらを下げることが、基本的な対策となります。
    ⇒デバイスの高調波成分を下げる
    ⇒信号波形整形(シグナルインテグリティ対策 VIA数、トポロジ、終端など)
    ⇒ピーク電流値を下げる
    ⇒スペクトラム拡散デバイスを用いる
    ⇒パスコン(デカップリングコンデンサ)の配置
  • 伝送系に関するもの
    ノイズとなる高調波成分を伝搬させないことを目的としています。電源系に対策する場合、信号系に対策する場合があります。
    ⇒ノイズフィルタ(2端子、3端子)、コモンモードチョーク
    ⇒信号波形整形(シグナルインテグリティ)用ダンピング抵抗
  • アンテナ化
    プリント基板上の配線パターンや電源プレーンなどが、意図せずノイズを放射するアンテナとなることがあります。このアンテナの効率を下げることで対策としています
    ⇒プレーン共振の防止
    ⇒リターンパスの確保 (GV貫通パターン対策など含みます)
    ⇒高速信号配線の短縮/引き回し方法
    ⇒高速信号配線の内層化
    ⇒コネクタ部のプレーン処理

Immunity(EMS)対策のために

サイバネットでは、放射ノイズ対策に必要な知見を持っております。
ノイズを放射するアンテナは、ノイズを受信するアンテナとしても働く可能性があります。
また、ノイズ源(無線LANカードなど)の近傍に、プレーン共振が現れていないか(隣接基板)などのチェックも内部干渉による悪影響を防ぐ方法の1つです。

ノイズ規格の変更について

EMIノイズの規格として、FCC、CISPR、VCCI が主なものですが、この規格が変更になります。
従来、30MHz〜1GHzまでであった、周波数範囲が情報機器などの高速高周波化に伴い、1GHz超放射妨害波 として規格化されています。それに伴い日本のVCCIでは、2010年10月1日から適用 され(任意)、2011年10月1日からは必須となっております。
1GHz超放射妨害波では、対策がしにくい可能性があります。(1GHz〜6GHz)
小さい領域(アンテナ)からも放射する、スペクトル拡散デバイスが無効の可能性(尖頭値の規定)、フィルタ系の対策部品の多くは効かない、など懸念される点があるためです。


ノイズ対策について困っているという方は、是非サイバネットシステムまでお問合せ下さい。

実務で役立つことにこだわったEMCノイズ対策セミナー 製品一覧 お問い合わせ