CODE V最新バージョンCODE V 10.8がリリースされました。
2015年12月
光学系の特性を表すパラメータとして、焦点距離、Fナンバー、入射瞳径といった1次の諸量は重要な意味を持っています。しかし、CODE Vのこれまでのバージョンではこれらの値を計算するために回転対称系を仮定した近軸計算を行なっていました。そのため、光学系の各要素にティルトや偏心がある非回転対称系では1次の諸量が正しく計算されないという問題点がありました。
CODE V 10.8では、ABCD行列に基づき光学系の任意の位置の光線に対する1次計算を行なう機能が追加されました。ABCD行列は、光学系内の任意の2面間の光線の入出力を関係付ける行列です。この行列により光学系の1次の諸量を求めることができます。この機能は、HUDやHMDといった偏心した光学系の解析、設計を強力にサポートします。
ABCD行列を使った計算を行なうために、CODE V10.8では以下の関数やマクロが追加されています。
これらを利用すると、非回転対称系の1次の特性の値が必要な処理を簡単に行なうことができます。例えば、偏心光学系の焦点距離を最適化のコンストレインツにしたい場合、これまでは焦点距離の正確な値の計算ができなかったため、像の大きさなどにより間接的にコントロールするしかありませんでした。新しく追加された@firABCDマクロ関数を使用すれば、これをユーザー定義コンストレインツとして設定することで直接的に焦点距離を制御することが可能になります。
アパチャーに関する情報を取得するためのデータベースアイテムが追加されました。これにより、マクロからアパチャーの形状、サイズ、種類といった情報に簡単にアクセスできるようになりました。従来、マクロから アパチャー情報を参照するためにはバッファ等を利用した煩雑な処理が必要でしたが、この新しく追加されたデータベースアイテムを利用することで、こういった処理が簡単に行なえるようになりました。
QED Technologies社のForbes博士により提案されたQbfs多項式面は、製造性の高いレンズを設計するために有用な面タイプです。CODE Vではこれまでも面タイプ「Qbfs非球面」としてこの多項式面を使用することができましたが、CODE V10.8では、Forbes博士の発表した新しい定義に従い、コーニック定数が定義式に含まれるように拡張されました。 この拡張により非球面性の強い面形状の製造性が改善されます。スマートフォン用カメラなど、コンパクトかつ高解像度があることが求められ非球面を多用するレンズの設計において有用です。
CODE V 10.8ではNHGガラスカタログ(Hubei New Huaguang Information Materials Co., Ltd.)が使用できるようになりました。これにともない、以下の機能がアップデートされ、新たにNHGカタログをサポートするようになりました。
NHGのガラスカタログには、セレン化亜鉛(ZnSe)などの赤外用ガラス材料が含まれます。これら材料の屈折率の屈折率の決定にはHerzbergerの分散式を使用しています。
本リリースについての詳細および修正されているバグの情報等に関してはリリースノートをご覧下さい。
閲覧には事前にこちらからユーザー登録が必要です。