前回、自作プログラムとCODE Vを使った設計手順について紹介しました。その中で設計できたモデルはこれら。

ズームレンズのワイド端タイプとステッパータイプでは、そこそこ良い結果を出せました。
ただ、どうも2次結像系タイプは性能を上げることはできません。
その理由をとことん考えると、
そこそこ良い結果を出せた他の2タイプに関しても、その後、何度設計を繰り返してもMFは同じようなところで頭打ちでした。
以下のグラフは設計日数とMFの推移です。

設計65日目ぐらいにできたモデルのMFが一番高いです。
実はこれ、自作プログラムを使って設計した第1号モデルなんです!
なにげに自作プログラムすごくないですか??
ただ、そこからMFは上がることがなく、今日まで来てしまいました。。
くしくも最初に1000を超えたモデルが最高のMFです。
ここで、締め切りまで後1週間と時間がないにも関わらず、
『根本的なところを見直さないと、これ以上MFを上げられない??』
という考えにいたります。
(締め切りのことはできるだけ考えないようにして)
何かMFを上げるための策がないか、とことん考えました。
たとえば収差図。
これはあるモデルの横収差図とRMS波面収差の画角変化特性です。
横収差図を見ると、どの画角も瞳の端で一気に悪くなっています。
これではEPDを少し大きくすると、RMS波面収差が一気に大きくなりそうです。
以下はレンズ枚数を減らし、曲率をフリーにして設計した同等の性能を持つモデルの収差図です。
比較用に設計してみました。

このモデルだと、まだMFを上げる余地が何だかありそうです。
このモデルと自分の設計したモデル、どこに違いがあるのでしょうか??
ん!?あれ?横収差曲線の見た目が違う??
軸上画角の横収差曲線を拡大してみます。

左側が曲率フリーのモデル。右側が自分の設計したモデルです。
横収差曲線の見た目の違いはどうやら変極点の数の違いのようです。
変極点を数えてみます。
曲率フリーモデルでは変極点は4つ。つまり9次収差まで発生しています。
一方、自分の設計したモデルは3つ。7次収差までしか発生していません。
9次収差がないために、瞳の端で急激に横収差が大きくなっています。
このままだとEPDを大きくしても、横収差が大きくなるばかり。。
赤い点線のように、モデルにうまく9次収差を乗せることができたら、EPDを大きくしても横収差は大きくならない!MFを上げることができる!
実は今までMFの値ばかり気にしていました。
その他の光学性能はどうなっているか、モデルで何が起こっているか、全然確認していませんでした。
やはり収差図はきちんと見ておくべきだった。いまさらながら反省です。
この9次収差について、もう少し考えてみましょう。
現在設計しているモデルのEPDは100近いです。Fナンバーでいえば約1.0。
これは当然、7次や9次などの高次収差が発生してもよさそうな明るさです。
ただ自分の設計したモデルには9次収差の変極点がありません。7次までです。
なぜだろう?
ここで今回の設計方針を見直すと、

ここだ!
各面の収差係数を小さくするということは、各面での光線の曲りが小さくなるということです。
しかし、反対に光線が大きく曲がらないと、高次の収差は発生しません。
つまり、この設計方針のままでは高次の収差は現れにくい!
MFが思うように上がらない原因は、これにありそうです。
ここから設計方針の大転換です。
わざと高次収差が発生する光学系を目指します。
高次収差が発生すると、必然的に低次収差も発生します。
各面で発生する低次から高次の収差を全系として補正するような光学系。
そういったものを目指します。
たぶん、この光学系の横収差は3次、5次、7次、9次収差のポイントで変極点を持つので、"ウネウネウネウネ"するはずです。
さらに!
軸上の横収差をウネウネさせることができれば、RMS波面収差の画角変化特性もウネウネするはず!
"全ての収差は球面収差が形を変えたもの"ですから。

これで画角をさらに広くすることができる!
いいことずくめです。
『あえて収差を発生させて、全体として収差を抑える』
昔読んだ参考書に書いてあったような気がしますが、今回の設計で使うとは夢にも思わなかったです。
よって、最後の1週間は軸上画角の横収差曲線ウネウネ化を目指すことになります。
時間がないので、設計するタイプはステッパータイプに絞りました。
では、早速!
ウネウネがひとーつ、ウネウネがふたーつ、ウネウネがみーっつ、、、あっダメだ。
次!