AWS クラウド上での AVS/Express PCE による時系列データ並列可視化実験 富士ゼロックス株式会社 様

ソフトウエア環境

最後に、今回実験で利用したソフトウエア環境について示します。


利用ソフトウエア環境

まず、AWS上で AVS/Express、AVS/Express PCE を稼動させるには、デフォルトの設定に加え、以下のパッケージ関連のインストールが必要でした。

  • sudo yum install Xvfb
  • sudo yum install openmotif
  • sudo yum install libXp.x86_64
  • sudo yum install libXmu.x86_64

また、PCE の必須条件である、ノード間での ssh 通信については、本環境ではデフォルトで設定されていたため、特に何も行っていません。

リモートアクセスには、Tera Term と Xming を利用しました。Tera Term の SSH 転送機能を使って、Xの転送を行うことで、アプリのインストール後の起動確認など、Windows の Xming 上に画面転送して確認することができます。

また、詳細な可視化操作には、AVS/Express PCE の Windows クライアント機能を利用しています。  AVS/Express PCE の操作画面を分離したクライアント・サーバー機能で、手元の Windows マシン上で、操作画面を起動します。サーバー側の PCE と通信を行い、その可視化結果のみをポリゴン、もしくは画像で手元に送ることができます。

一般的に、Xの転送では、何らか操作すると、その度にイベントが発生し、再描画に時間がかかってしまいます。例えば、描画ウィンドウの大きさを変更するような場合、その画面の大きさの再描画と画面内のレンダリングの再描画が頻発し、しばらく操作できなくなってしまうようなこともあります。

Windowsクライアント機能では、AVS/Express のモジュールやパラメーターの操作、ウィンドウの操作は、Windows 上のアプリケーションとして動作しています。可視化の実行時に通信し、結果を取得するため、X による画面の転送よりも、操作のストレスを軽減できます。

PCE の Windows クライアント機能を使うには、X転送同様、Tera Term の SSH 転送機能を利用し、ポートの転送を行います(ssh のポートフォワード機能を利用)。Windows 上で操作画面を開いたポートに SSH 経由でサーバー側からアクセスし、通信を確立します。


SSH転送によるWindowsクライアント機能のためのポート転送

ポート転送した環境(クラスタ側)で、以下のように localhost と接続すると、手前の Windows 側と接続できます。

para_start  -in  para.ini  -c  localhost  -cp  55555

※ localhost に 55555 番で接続要求すると、SSH のポート転送によって、        Windows 側の 55555 番に接続される。


Windowsクライアント機能によるリモートアクセス

その他、AVS/Express を利用するには、ライセンスが必要です。
同様に SSH の転送機能を使うことで、AWS 上のサーバーから手元のネットワーク環境上のライセンスサーバーにアクセスすることもできます。

注)PCEは、操作画面にライセンスが必要なため、Windows クライアントの場合は、ライセンスの設定は手元のみで、サーバーは関係ありません。

まとめ

富士ゼロックス様にご協力いただき、時間方向の並列処理実験を行いました。

今回の実験では、35分かかる動画作成時間を 3分まで短縮できることが確認できました。また、仮想的ではありますが、大規模ポリゴンのレンダリング実験では、2時間かかる動画作成時間を 5分まで短縮できる可能性を確認しました。

PCE は大規模な空間データ用というイメージが強い製品ではありますが、時間方向の動画作成にも利用できますので、多ステップの処理でお困りの場合には、一度、ご検討いただければ幸いです。