ANSYS 14.0リリース情報ANSYS Meshing 14.0 新機能

はじめに

解析作業に要する工数の中でも多くの比率を占め、かつ解析精度にも多大な影響を及ぼすのがメッシング作業です。ANSYS Meshing 14.0 ではメッシング作業を効率化し、メッシュの品質をより良くするためのいくつかの機能が追加されました。今回は、その中でも特に注目すべき機能をご紹介致します。

選択メッシング

ボディ毎に個別にメッシングを実行する選択メッシング(以前のダイレクトメッシング)に、メッシング順序を記録する機能が新たに追加されました。これによって、メッシュパラメータを変更した場合などに行うメッシュの再生成を、記録された順序で自動的に実行する事が可能です。
本機能は、メッシュ生成順序が重要な意味を持つマルチボディパーツにおいて特に効果を発揮します。

メッシング順序の記録方法

ツリー上の“メッシュ”をクリックし、ツールバーの“ワークシート”をクリックすると、下の図のようにメッシュ順序を記録するためのワークシートウィンドウが表示されます。
このウィンドウ内の“記録の開始”ボタンをクリックすると記録モードとなり、ボディ毎に実行したメッシングの順序が記録されます。記録を終了する場合は“記録の停止”ボタンをクリックします。また、記録モード中にメッシングが実行されたボディには、Meshing_1 、Meshing_2 、・・・というグループ名が自動定義され、この名前でメッシングの順序が管理されます。


図1 メッシング順序の記録方法

メッシュ接続

メッシュ接続機能を利用する事で、トポロジを共有していないサーフェスボディ同士を結合し、節点共有の連続シェルメッシュを作成する事が可能となります。メッシュ接続は、辺と辺または辺と面について、トレランス値に基づいて実行されますが、メッシュレベルで行われるため元のジオメトリ形状には何ら影響を及ぼしません。13.0では、この機能は1つのマルチボディパーツに属するサーフェス同士に対してのみ適用可能でしたが、14.0ですべてのサーフェスボディで利用可能になりました。

メッシュ接続の設定方法

  1. ツリー上の“接続”を右クリックし、挿入>手動メッシュ接続 をクリックします。
  2. 詳細ビューの“スコープ”において主ジオメトリ、および従属ジオメトリを選択します。
    • 主ジオメトリ:形状が保持される側のジオメトリ。辺または面を選択可能。
    • 従属ジオメトリ:拡張される側のジオメトリ。辺の選択可能。
  3. 詳細ビューの“定義”においてトレランス値の設定を行います。
  4. メッシュ生成を実行します。ボディ間のギャップが上記で設定したトレランス値よりも小さい場合に、メッシュレベルで接続が実行されます。

図2 メッシュ接続の設定方法

仮想トポロジ

14.0より仮想トポロジの新機能として仮想ハード頂点、仮想分割面が追加されました。

  • 仮想ハード頂点:面上の任意の位置に頂点を定義する事が可能です。定義された頂点は荷重点、結果評価点 等の用途で利用する事ができます。
  • 仮想分割面:選択した2つの頂点を結ぶ仮想辺を作成し、この仮想辺によって面を分割する事ができます。
    作成された仮想辺は、結果評価用の経路(パス)として利用する事も可能です。

仮想ハード頂点、仮想分割面の作成方法

  1. ツリー上の“モデル”をクリックし、ツールバーの“仮想トポロジ”をクリックします。
  2. ツリー上に追加された“仮想トポロジ”をクリックした状態で選択フィルダーの面選択をアクティブにし、ジオメトリの面上の任意の位置をピックします。
  3. ジオメトリウィンドウ内で右クリックし、挿入>+におけるハード頂点をクリックします。これによってピックした位置に仮想ハード頂点が作成されます。
  4. 仮想分割面を作成する場合は、選択フィルターの頂点をアクティブにした状態で、2つの頂点をピックし、右クリックから挿入>頂点での仮想分割面をクリックします。

図3 仮想ハード頂点、仮想分割面の作成方法

これらに既存機能である仮想セル、仮想分割辺などを組み合わせて利用する事で、複雑な形状のジオメトリに対して、より精度の良いメッシュを作成できるようになります。
仮想トポロジを用いて実際にメッシュ品質を改良したモデル例を下の図に示します。

  • A: 元のジオメトリ形状
  • B: 仮想ハード頂点、仮想分割辺、仮想分割面を利用してトポロジを分割
  • C: 仮想セルを用いてトポロジを再構築
  • D: メッシングの実行

図4 仮想トポロジを用いたメッシング例

アセンブリメッシング

アセンブリメッシングは主に流体解析向けのメッシュを作成するための機能であり、すべてのパーツを1つのプロセスでメッシングする手法です。更に内部的なアルゴリズムとして、カットセルと四面体メッシングのどちらかを選択する事が可能です。
アセンブリメッシングの以下のような特徴を持ちます。

  • 精度の悪いジオメトリに対してロバストなメッシングが可能。
  • オーバーラップしているボディをサポート。
  • ボディが存在しない領域に対して流体領域を抽出し、流体メッシュを作成可能。

図5 アセンブリメッシングによる流体領域の抽出

アセンブリメッシングの設定方法

  1. CAD側で、流入・流出部をキャップするためのサーフェスボディを作成します。
  2. ツリーのメッシュをクリックし、詳細ビューのデフォルト>解析分野の選択でCFDを選択し、使用ソルバーにFluentを選択します。また、アセンブリメッシング>手法を四面体またはカットセルに設定します。(四面体はFluentまたはCFXで利用可能であり、カットセルはFluentでのみ利用可能です。)
  3. ツリーの座標系をクリックし、流体領域を指定するための座標系を1つ定義します。
  4. ツリーのジオメトリを右クリックし、挿入>仮想ボディをクリックします。
  5. 仮想ボディの詳細ビューにて、定義>材料点に 3. で作成した座標系を指定します。
  6. メッシュの詳細ビューにて、アセンブリメッシング>ソリッドメッシュを保持のYes/Noを選択します。

図6 アセンブリメッシングによる流体領域の抽出

図7 アセンブリメッシングの結果

最後に

従来はメッシュのトラブルを解決するために、CAD側に戻ってジオメトリ形状自体を修正するケースが少なくありませんでしたが、近年のバージョンアップに伴い、仮想トポロジやメッシュ接続、アセンブリメッシングでの流体領域抽出など、Workbench Mechanical上の操作だけで形状の不備を補間する機能が充実してきました。これらを使いこなす事で、メッシングに要する工数を大幅に削減する事が可能になります。今後もANSYS Meshingの機能向上にご期待下さい。

今回ご紹介した機能のより詳細な使用方法につきましては、CAEサポートセンターをご参照下さい。

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