ANSYS 14.0リリース情報

2012年2月、ANSYS 14.0(日本語版)がリリースされました。
このバージョンでは、以下の3つの観点における機能強化が実現しました。ここでは、14.0の主な機能強化点をご紹介します。

  • 「解析作業の効率化・自動化」
  • 「実現象に近い複雑なシミュレーションを可能に」
  • 「大規模解析の高速化」
リリース詳細

ANSYS Workbench全般

プロジェクトのレポート出力

プロジェクトの情報をHTML形式のレポートとして出力可能になりました。

パラメータスタディの機能拡張

設計ポイントの更新順序を任意に指定したり、ジオメトリが同じ設計ポイントをくりかえし更新できるようになりました。

ANSYS Meshing

アセンブリメッシング

  • 閉空間で囲まれた流体領域を自動判別し、流体領域のメッシュを生成可能になりました。アセンブリパーツの形状修正に時間を取られることなく、流体領域のみ抽出したメッシュを作成することができます。
  • カットセルまたは四面体メッシュを作成可能です(カットセルメッシュはFluentのみ)。

シェルのメッシュ接続

シートモデルに対して、DesignModeler等を利用せずに節点共有モデルを構築できるようになりました。ギャップが空いているようなモデルでも、トレランス設定によりメッシュ接続が可能です。


シェルのメッシュ接続

ANSYS Workbench Mechanical

材料モデル

  • 粘弾性材料の入力が可能になりました。

積層材の解析(積層シェル要素)

  • 積層シェル要素がANSYS Workbenchで利用いただけます。
  • 各層の厚さや材料、座標系の方向などを任意に指定できるようになりました。
  • 各層の結果を確認可能になりました。

積層シェル解析

ソルバー

  • リスタート時に、荷重値の変更が可能になりました。
  • 初期応力を考慮したモード重ね合わせ法による周波数応答解析が可能になりました。
  • モード重ね合わせ法による過渡解析が可能になりました。
  • モーダル解析で、減衰やコリオリの効果を定義できるようになりました。

ローターダイナミクス解析

選択機能

  • ジオメトリの情報(面、ライン)だけでなく、節点に対しても境界条件を設定できるようになりました。
  • 座標値の他、ノード、ボックス、投げ縄での選択が可能になりました。

メッシュ選択機能

接触

  • ラインボディ(BEAM)の接触
    ラインボディの辺/頂点と、ソリッド/サーフェスのエッジ/面との接触を定義できるようになりました。

  • ラインボディ(BEAM)の接触
  • 接触オプションの自動設定
    解析モデルに合わせて、自動的に適切な接触パラメータを選択可能になりました。接触解析のロバスト性、計算時間の改善に効果的です。

    接触オプションの自動設定

外部荷重データのマッピング

ANSYS 13.0より、外部ツールで作成した解析データを読み込み、荷重としてマッピングする機能が装備されています。14.0では、この機能がさらに強化されています。

陽解法落下・衝突解析

NBS四面体要素の追加による高精度化
せん断ロッキング、体積ロッキングを防止可能な新要素「NBS四面体要素」が追加されました。四面体要素でも六面体要素に近い精度を得ることができます。
複雑なCADモデルの落下・衝突解析において、解析モデルの構築にかかる工数を大幅に削減することができます。

ANSYS CFD

ANSYS Fluent と ANSYS Mechanical の双方向連成解析(ANSYS Fluent)

ANSYS Fluent とANSYS Mechanicalの双方向連成がANSYS Workbench上で可能になりました。プロジェクト概念図画面上から、簡単に連成解析の設定が行えます。


僧帽弁を通る血液の流れをシミュレーションした事例。
流体は非ニュートン流体、材料は異方性超弾性組織です。

プロジェクト画面上で、Fluent―Mechanicalの連成解析の設定が簡単に行えます。

電磁界―構造、電磁界―流体連成解析(ANSYS Fluent)

Maxwellと流体の片方向連携が可能になりました。これにより、モータや発電機の電気的損失から温度をCFDにフィードバックすることでより正確な温度特性をシミュレーションできるようになります。また、Fluentで求めた温度分布をMaxwellに反映させることで、温度依存性電気伝導率を考慮した解析が可能です(ベータ機能)。


ANSYS Maxwellで計算されたバスバーの発熱(左図)。
結果は周囲の空気温度を計算するためにFluentにエクスポートされます。(右図)

形状最適化機能(ANSYS Fluent)

特定の目的関数(例えば流体抵抗)に対する、形状の寄与度を求めることができます。個々のパラメータを変更した場合の、目的関数の変化を数値的に把握することができます。これにより、設計目標を満たすのに最も効果的な設計変更の方法の指針が得られます。


Fluentのadjoint ソルバーが、フォーミュラカーのダウンフォースを
最適化するのに最も効果的な変更方法を提示します。

内燃エンジン向け解析システム(ANSYS Fluent)

Fluentによる内燃エンジンの解析に特化した解析システムが装備されました。モデリングからメッシュ作成、メッシュ移動、流れ場の解析、そしてポスト処理などの一連のプロセスにおいて、内燃エンジンの解析固有の操作を大幅に自動化できます。


内燃エンジン向け解析システムを使うことで、ICエンジンの流体モデルや
メッシュの作成作業を大幅に効率化できます。

オイラー薄膜モデル機能

オイラー薄膜モデルが新たに追加されました。
この機能により、薄膜の生成過程や挙動(液滴の付着による液膜形成、しぶき、液膜の再粒子化等)を予測できます。
適用例:液滴噴霧によるコーティング、飛行機の翼や車のウィンドシールド上の液膜の流動


雨滴の付着により生成された、サイドミラーの薄膜の厚さを可視化しています。
また液膜が再粒子化していく様子も確認できます。
(結果を見やすくするために、雨は非表示にしています。)

DEMによる粒子追跡解析(ANSYS Fluent)

DEM(Discrete Element Method:離散要素法)による粒子流解析機能が新たに搭載されました。個々の粒子の挙動や、粒子間の相互作用(摩擦や衝突など)を考慮した解析が行えます。
適用例:ホッパー、ライザー、固定層、流動層、気力輸送

(左図)流動床における石炭粒子。粒子は直径で色分けされています。軽い粒子は浮遊しており、重い粒子は底に溜まっている状態が確認できます。

過渡翼列部分解析モデルの追加(ANSYS CFX)

従来の解析手法では翼列部分モデルのロータ/ステータの比率が異なると解析精度が落ちる欠点がありましたが、新しい過渡翼列部分モデルの導入によりロータ/ステータ比率が1からずれる場合においても、精度を落とすことなく解析可能になりました。


ピッチの異なるコンプレッサ(タービン)の解析例。
そのまま解析すれば膨大な時間がかかりますが、過渡翼列部分解析モデルを使うことで、
精度を落とすことなく、大幅に計算時間を短縮できます。

電磁界解析

ANSYS HFSS for ECAD

  • 新しいANSYS Designer link機能により、Cadence社レイアウトツール(Allegro、Virtuoso、SiP Layout)の環境からANSYS HFSSモデルを自動作成することができるようになりました。
  • ODB++フォーマットを直接ANSYS Designerに読み込むことができるようになりました。読み込んだレイアウトは、ANSYS Designerで簡単にレイアウトを変更することも可能です。

ANSYS SIwave Accuracy & Usability Enhancements

  • ビアの計算が大幅に改善されました。ビアの結合も考慮されるようになりました。
  • SIwaveから直接ANSYS NEXXIMやHSPICEによる過渡解析が可能になりました。これにより、SIwaveから直接ネットを指定して時間波形を表示することができます。

Physical Optics Solver

  • これまでの有限要素法とIE(integral equation)ソルバーに加えて、PO(Physical Optics)ソルバーが追加されました。これにより、航空機や船舶などの巨大な電気構造物を早く正確に解析できるようになります。

ANSYS Mechanical APDL

接触安定化減衰

  • 微小に離れている接触面に対して減衰を定義し、剛体移動を防止できるようになりました。

VCCTによる亀裂進展シミュレーション

  • VCCT(仮想亀裂閉口法)によるエネルギー解放率に基づいた亀裂進展が計算可能になりました。

摂動フル周波数応答解析のサポート

  • ANSYS 13.0の摂動モーダル解析に続き、摂動解析においてもフル周波数応答解析がサポートされました。

粘弾性材料を考慮した周波数解析

  • 周波数応答解析において、粘弾性材料モデルがサポートされました。

固着温度

  • 溶着温度(TBND)の導入により、指定温度での固着が可能になりました。接触面の温度>溶着温度で接触状態を固着に変化させることで、溶接工程による接合を表現できます。

材料モデルの追加や機能強化

  • 形状記憶合金や繊維強化組織の解析で用いられるホルツアプフェルモデルの強化や水分拡散モデルの追加など、そのほか様々な機能強化・追加が実現しています。

左:ステントの解析における形状記憶繊維
右:溶接工程における接合(溶着温度機能の利用)

160時間経過後のPBGAにおける水分拡散

ANSYS HPC

GPU機能の強化

  • GPU(Graphics Processing Unit)を搭載した複数のPCによる並列計算が可能になりました。これにより大規模なモデルの解析※においても、GPUのメリットを活用いただけます。※メカニカル分野のみ

はんだのクリープひずみ解析(4M自由度)
画像提供:MicroConsult Engineering, GmbH

その他のプロダクト

ANSYS Icepak

  • GUI構成がリニューアルされ、より使いやすくなりました。

ANSYS DesignModeler

  • 形状簡略化機能が強化され、3次元CAD形状をよりスムーズにANSYS Icepakのオブジェクトへと簡略化できるようになりました。

ANSYS Composite PrepPost

  • ANSYS Workbenchのプロジェクトページに組み込まれ、プロジェクトページ上から起動したり、ドラッグ&ドロップで他のツールと連携できるようになりました。

画像提供:TU Chemnitz and GHOST Bikes GmbH

ANSYS Composite PrepPostはプロジェクトページで利用できるため、陽解法ソルバーや陰解法ソルバーとのデータのやり取りもスムーズです。上の自転車の事例では陰解法ソルバー、下のバットの事例では陽解法ソルバーと連携しています。

注目の新機能

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