ANSYS 13.0リリース情報

2011年1月、ANSYS 13.0(日本語版)がリリースされました。
このバージョンでは、以下の3つの観点における機能強化が実現しました。ここでは、13.0の主な機能強化点をご紹介します。

  • 「より高い解析精度」
  • 「解析作業のさらなる効率化」
  • 「パフォーマンスの向上」
リリース詳細

ANSYS Workbench

Microsoft Excelとの連携により、計算式がそのままソルバーに

Workbench上のパラメータをExcelにインプットして演算し、その結果をWorkbenchで受け取ることが可能になりました。Excelで作成した計算式を、まるでソルバーの1つのように活用することができます。
これにより、独自の数式による計算結果をWorkbenchに利用したり、解析結果とコスト計算を組み合わせるなど、CAE分野にとどまらない利用が実現します。


WorkbenchとMS Excelの連携

アップデート機能の改善

パラメトリック解析を行なう際、関連する設計ポイントのみ更新されるようになりました。これにより、プロジェクトのアップデートにかかる時間が大幅に短縮されます。

より複雑なDOEの応答が表現可能に

新しい実験計画法(DOE)のスキームが搭載されました。例えばスパースグリッドは自動調整機能により、より複雑なDOEの応答を表すことができます。流体解析などの非線形性の強い解析に効果的です。


より複雑なDOEの応答を表現

メッシング

エッジ分割による高品質なメッシュの作成

仮想トポロジー機能を用いて、ジオメトリに分割エッジを挿入可能になりました。ここにマップトフェイスメッシングを適用することで、質の高いメッシュを作成可能です。


分割エッジの挿入(左)とマップトフェイスメッシュ(右)

CutCellメッシング

六面体メッシュ作成に威力を発揮するアルゴリズムが搭載されました。流体解析に特に適しています。


自動作成された六面体メッシュ(F1カーモデル)

構造解析

ビームとシェル

  • 不均一なシェル厚さの指定
    ボディ上で選択された面の厚さを指定可能になりました。
  • エッジの可視化
    サーフェスボディ上のエッジの接続状態を、視覚的に確認できるようになりました。
  • メッシュ接続
    シェルメッシュ作成時に、自動的に隙間を埋めることが可能になりました。
  • ビーム間の結合
    ビーム要素の結合状態を定義できるようになりました。
  • せん断−モーメント線図
    せん断力、曲げモーメント、変位の分布などの解析結果を線図で表示可能になりました。

シェルメッシュの厚さを不均一に定義

せん断−モーメント線図

リスタート機能(非線形構造解析)

任意の地点から、解析をリスタート(再開)可能になりました。解析が発散した場合や、途中経過を確認するために中断した場合も、わざわざ最初に戻って計算しなおす必要がありません。非線形の静解析と時刻歴解析で利用可能です。


リスタート解析の設定画面

周期対称解析

ANSYS Workbench Mechanical(旧 Simulation)において周期対称解析が利用可能になりました。解析モデル全体ではなく、 1つのセクターを解析するだけで全体モデルの評価が可能なため、計算に要する時間・メモリを大幅に削減可能です。


1つのセクターの解析結果を360度に展開

線形摂動解析

モーダル解析において、事前の構造非線形解析または時刻歴応答解析で求めた、各収束点での剛性状態が利用可能になりました。ANSYS Workbench Mechanical環境で手軽に解析できます。


接触状態を変えた初期応力モーダル解析

Variational Technologyの拡張

Variational Technologyは、周期対称性のある問題において、周波数スウィープ、およびモード計算を用いることで、高速計算を実現する方法です。リリース13ではこの機能が強化されました。


通常の計算結果(左)とVariational Technologyを用いた場合(右)の比較

剛体運動解析

より多様な形状の接続面を扱えるようになりました。自動接触定義機能と同様に、剛体の接続領域は自動的に認識させることができます。


カムフォロアの剛体運動解析(上)と、自動車サスペンションの弾性体運動解析(下)

オイラー・ラグランジェ法による流体-構造連成解析

ANSYS Explicit Dynamics(またはAutodyn)を使うことで、オイラー・ラグランジェ法による流体-構造連成解析が、ANSYS Workbench Mechanical(旧 Simulation)上で簡単に行なえるようになりました。


容器内部の流体のスロッシング

その他の機能

  • 静水圧流体要素の追加
    静水圧流体要素(HSFLD)が追加されました。これにより構造体内部に充填された流体を、流体解析ソルバーを用いずにモデル化することができます。

  • 空気で充填されたタイヤの変形
  • 実験データの利用(超弾性材料)
    実験で求めた超弾性材料物性を、カーブフィッティングすることなく解析の材料データとして利用可能になりました。
  • 3Dリゾーニング
    プラスチックやゴム、発砲材料などのように、大きな形状変化を起こす可能性がある材料では、メッシュの質を維持するためにリメッシュが必要になります。しかし、リメッシュの度に、改めて材料や接触、境界条件を定義するのは手間のかかる作業です。
    リリース13で新たに搭載された3Dリゾーニング機能では、リメッシュ前に定義した接触や解析条件を、新しいメッシュにそのまま引き継がせることが可能です。
    ※ANSYS Extended Meshing(旧 ANSYS ICEM CFD)が必須です。

流体解析

乱流モデル

有界中心差分(BCD)離散化スキームが新たに導入され、LES/DES/SASを用いたシミュレーションに見られる非物理的な解の振動を防ぐことが可能になりました。
[ ANSYS CFX ]

非定常 RANS 法の一つであるScale Adaptive Simulation(SAS)乱流モデルが新たに搭載され、計算負荷の高いLESを使用しなくても剥離流れを高精度で速やかにモデル化できるようになりました。
[ ANSYS Fluent ]


BCD離散化スキームにより、解の振動(左)を予防

メッシュのスワッピング/リメッシング

キーフレームのメッシュをスワッピングすることで、解析中にメッシュを個別に変更可能になりました。スワッピングの度に、新しいメッシュに現在の解が補完されます。
[ ANSYS Fluent ]


エンジンシリンダ内の解析におけるメッシュのスワッピング
※初期のメッシュと結果(左)、新しいメッシュと補完された結果(右)

混相流

Eulerian核沸騰モデルが新たに追加されました。これにより非平衡サブクール沸騰や加熱蒸気を考慮した、壁面におけるサブクール沸騰のシミュレーションが可能です。
[ ANSYS Fluent ]

compressiveスキームが搭載されました。これより、標準VOF法に近い計算結果を短時間に出すことができます。
[ ANSYS Fluent ]

密集分散相モデル(DDPM)モデルに充填限界オプションが追加されました。これにより、ラグランジェ混相流において粒子が無制限に蓄積されるのを防ぐことができます。
[ ANSYS Fluent ]


核燃料集合体内部における蒸気の体積分率

砂の体積モデル(DDPMに充填限界オプションを追加)
※粒子(上)と固体のVOF(下)

固体運動と温度

多孔質CHTオブジェクトのモデル化が可能になりました。これにより、多孔質オブジェクトに対して、熱伝達係数、固体と流体の間の界面面積密度を定義することができます。
[ ANSYS CFX ]

領域内のメッシュの動きとは別に、移動座標系(MRF)の移動を定義可能になりました。移動するファンや、ホイールを回転させながら角を曲がる自動車などの解析に威力を発揮します。
[ ANSYS Fluent ]


MRFを用いて表示したF1カーの周囲の空気流

触媒コンバータ内における流体部(左)と固体部(右)の温度

設計最適化

メッシュモーフィング技術を応用することにより、ANSYS Fluent単独で形状最適化が可能になりました。
[ ANSYS Fluent ]


形状の自動最適化(流出速度を最適化)
 ※元のデザイン(下)と最適化されたデザイン(上)

大規模計算

GPU(グラフィックプロセッシングユニット)に対応しました。これにより、解析時間の大幅な削減が可能になります。

マルチフィジックス

荷重転送

外部ツールで作成した解析データ(テキスト形式)を読み込み、荷重としてマッピング可能になりました。また、形状の異なるメッシュ同士の荷重転送が可能になりました。これにより、FSIをはじめとした連成解析でも、メッシュの違いに煩わされることなく解析が行なえます。


タービンブレードモデルの温度荷重転送

電磁場−伝熱連成解析

Maxwellで求めたジュール発熱・磁気力をANSYSによる伝熱解析の熱源(発熱)として利用し、伝熱分布を求めることが可能です。R13より、そうしたMaxwellとANSYS Workbench Mechanicalの連成解析をWorkbench上で簡単に定義できるようになりました。


Maxwellで求めた電力損失(上)を用いて、ANSYS Workbench Mechanicalで求めた伝熱分布(下)

ダイレクト連成

伝熱-構造(非線形)連成解析を、一度の解析で実施可能になりました。これにより、例えば粘弾性や塑性変形まで考慮した伝熱-構造解析や、スポット溶接プロセスのシミュレーション(電流-伝熱-構造)が容易に行なえるようになります。


スポット溶接シミュレーション(電流−伝熱−構造のダイレクト連成)

 

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