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熱流体解析

燃焼シミュレーションにおける精度の向上

2019年3月

目次

輸送、エネルギー、材料加工用途において、競争力のある製品を開発するには、燃焼器系の化学反応の効果についての理解と予測が不可欠です。昔のエンジニアリングシミュレーションユーザーは、妥当な解析時間かまたは正確な結果のいずれかを選ばなければなりませんでした。しかし、現在の直感的なソフトウェアモデルや包括的なシミュレーションツールおよびベストプラクティス方法論は、速さと精度とのトレードオフを回避します。燃焼器の用途にかかわらず、正しい組み合わせのソフトウェアと方法論を使用すれば、コスト効率良く、解析時間を妥協せずに、性能と燃料効率の目標を達成できます。

燃焼シミュレーションは、設計者が性能目標を実現する際の強い味方になります。ただしそれは、モデル化の結果がエンジンの挙動に対する正確な洞察を与える場合のみです。シミュレーションツールセットの価値は、その精度で決まります。少なくともお客様のポートフォリオは、お客様がパラメータを設定し、実験を行い、問題が発生する状況と原因を把握し、所見を述べられるようにできるものでなければなりません。開発プロセスにおいては、物理学と力学を同時に解析し、仮想試作品を作成する必要が生じることがあります。最良のシミュレーションツールには、逆問題の解析、モデルベース制御の促進、およびシステムの最適化を実行できる機能が組み込まれています。設計プロセスにおけるシミュレーションの利用がより早く、そして多いほど、より多くの時間とコストを節約でき、より優れた最終製品が得られます。しかし、得られたシミュレーション結果が信頼できなければ、それは無駄な努力になってしまいます。

燃焼シミュレーションで正確な結果を得るには、物理特性と化学特性の両方を記録する必要があります。これらは、エンジンのデューティサイクル全体にわたって根本的に変化する可能性があるため、困難な課題です。実際には、正確な結果を得るために重要なことは、燃焼器に動力を供給する燃料をどのように描写するかです。しかし多くの設計者は、従来のシミュレーションソフトウェアでは細かい処理が不可能であったり、他社に負けない時間枠の中でデータを正確に処理できないなどの理由で、優れた燃料モデルの使用をあきらめなければなりません。世界レベルの高度な燃焼シミュレーションポートフォリオがあれば、この速さと正確さのジレンマから解放されます。

著者:Ellen Meeks(反応流担当ディレクター、 ANSYS, Inc)

ガスタービン、ボイラー、およびピストンエンジンの設計者は、燃料効率、出力、およびシステム性能を落とさずに、またはむしろ向上させながら、ますます広がりつつある燃料柔軟性への要求を伴う低排出ガス規制に対応しようと努力しています。正しい組み合わせの燃料モデル、シミュレーションツール、および方法論を使用すれば、成功を収める製品を生み出すことができます。
ガスタービン、ボイラー、およびピストンエンジンの設計者は、燃料効率、出力、およびシステム性能を落とさずに、またはむしろ向上させながら、ますます広がりつつある燃料柔軟性への要求を伴う低排出ガス規制に対応しようと努力しています。正しい組み合わせの燃料モデル、シミュレーションツール、および方法論を使用すれば、成功を収める製品を生み出すことができます。

適切な燃料モデルを使用することで、探索的設計が可能になります。特に、以下の要素を予測可能です。

  • 着火遅れおよび燃料効率
  • 燃料組成変化時の効果
  • 排出(すす粒子の数と大きさを含む)
  • 不要な自己着火(ノッキング、信頼性、ノイズ、および操作性の限界など)

燃料モデルが正確であるほど、設計において燃料がどのような働きをするかをより現実的に予測できます。

燃焼モデルのベストプラクティス

燃料モデルは、2つの構成要素によって定義されます。1つはその組成、もう1つはその化学反応速度論または「機構」です。クラス最高のライブラリーでは、化学的分類、発熱量、オクタン/セタン価、H/C比率、O含有量、沸点、およびすす生成しきい値インデックスなど、広範囲にわたる特性が提供されます。このようなオプションが提供されることにより、設計者が表現したい燃料の特性を正確に適合させることができます。これは、複雑な液体燃料をシミュレーションする場合に特に重要です。公開された未加工データの使用は、あまり予測的ではないかもしれません。

燃焼器のシミュレーション精度は、選択する燃料モデルによって決まります。一般にディーゼル燃焼のモデル化に使用される 34 種の n-ヘプタン燃料モデルを使用するシミュレーションにおいて、化学反応を大幅に縮小すると、EGR が多い場合の着火および放熱が予測できません(左)。化学反応をより正確にすると、EGR が多い場合の実際のエンジン測定値と比較した、重要な燃焼および排出の性能傾向を予測できます(右)。
燃焼器のシミュレーション精度は、選択する燃料モデルによって決まります。一般にディーゼル燃焼のモデル化に使用される34種のn-ヘプタン燃料モデルを使用するシミュレーションにおいて、化学反応を大幅に縮小すると、EGRが多い場合の着火および放熱が予測できません(左)。化学反応をより正確にすると、EGRが多い場合の実際のエンジン測定値と比較した、重要な燃焼および排出の性能傾向を予測できます(右)。

たとえば、® Ansys Model Fuel Library TM は、産業、学問、および国家の研究機関との10年間にわたる協力によって得られた、65種類以上の入念に検証された燃料機構が収録された情報源です。一般的なコアの化学反応、反応率に関する一貫した規則、および検証済みの配合燃料挙動を有することで、公開データよりも優れています。何年にもわたって改善が重ねられたライブラリー(C0~C4化学反応、大アルカンの着火遅れ、高圧火炎、PAH予測/すす生成動力学、配合燃料挙動)は、卓越した包括的な製品になりました。詳細なすす生成動力学は一から検証されており、多段階の排出構造プロセスの予測精度は保証されています。

Ansys Model Fuel Library は、正確なサロゲート燃料機構の組み立て用に、徹底的に検証された最も完全な燃料動力学モデルセットを提供します。継続的な検証プロセスには、各種燃料、配合燃料、化学量論、温度、および圧力に関する公開された実験結果が 500 件以上含まれています。グラフは、時間の経過とともに改善するトルエン/空気 MFL モデルを示しています。実線が最新の更新データです。
Ansys Model FuelLibraryは、正確なサロゲート燃料機構の組み立て用に、徹底的に検証された最も完全な燃料動力学モデルセットを提供します。継続的な検証プロセスには、各種燃料、配合燃料、化学量論、温度、および圧力に関する公開された実験結果が500件以上含まれています。グラフは、時間の経過とともに改善するトルエン/空気MFLモデルを示しています。実線が最新の更新データです。

化学反応速度論は、選択された燃料が設計中のエンジンおよび化学プラント内の空気とどのように反応するかを定義します。これらの化学反応こそが、まさしく力、熱、および排出を生成する原因です。したがって、燃焼器の性能およびプロセス品質を正しく記録するには、これらの反応を描写するメカニズムが不可欠です。これがいかに重要であるかがわかれば、精度について妥協しないはずです。

Ansys Chemkin-Pro は、Reaction Workbench とともに使用されます。CFD 解析用の複雑な化学反応 セットを準備することにより、機構を縮小化します。
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