解析事例 ANSYS Fluent Mosaic テクノロジにより、多面体要素で異種メッシュを自動結合して、迅速かつ正確に流れを解析

ANSYS Fluent Mosaic テクノロジにより、多面体要素で異種メッシュを自動結合して、迅速かつ正確に流れを解析

公開日:2018年8月

複雑なジオメトリや流れのレジームにおけるタイプの異なるメッシュ要素間の遷移は、長い間、シミュレーションの主要な課題であり続けています。ANSYS Mosaicテクノロジは、一般的な多面体要素でさまざまなタイプのメッシュを自動接合することで、この課題に対応します。Mosaicテクノロジの最初のアプリケーションであるPoly-Hexcoreでは、バルク領域を八分木による六面体でメッシュ分割する一方で、境界層では高品質の積層多面体プリズムメッシュを維持し、さらにこれら2つのメッシュを多面体要素で連続結合します。この結果、シミュレーションの速度と解析精度が上がると同時にRAMの使用量が削減されます。

目次
  1. はじめに
  2. CFD メッシングの課題
  3. 六面体要素
  4. 四面体/くさび形要素
  5. Hexcoreメッシング
  6. 多面体要素
  7. Mosaicテクノロジ
  8. Mosaicの例1:F1 のウィング
  9. Mosaicの例2:ブラッフボディーの保炎器
  10. 近い将来におけるさらなる向上
  11. 結論

はじめに

精度と解析時間は、数値流体力学(CFD)のシミュレーションにおいて最も重要な懸念事項であり、これらはともにメッシュの特性に大きく依存します。さまざまなジオメトリおよび流れのレジームを解析する上で、最適な性能を実現するためにさまざまなタイプのメッシング要素が必要となります。しかし、異なるタイプの要素間での遷移は、長い間の課題となっていることも事実です。通常、遷移ゾーンは、不連続な境界面またはピラミッド/四面体に依存していますが、メッシュの品質の低下や過剰なセル数というリスクを伴っています。そのため、多くの場合、遷移を最低限に抑えるために一般的な要素タイプを使用して妥協してきた経緯があります。

ANSYSは、Mosaicテクノロジの導入により、一般的な多面体要素でさまざまなタイプのメッシュを自動結合することで、この課題に対応しています。このテクノロジの初期実装では、境界層で積層要素を維持し、バルク領域を計算効率と精度の高い六面体要素でメッシュ分割します。さらに、高品質の多面体要素でこれらの2つのメッシュを連続結合するため、遷移ゾーン内の要素数が過剰に増えることはありません。Mosaicのメッシュ接合テクノロジは、メッシング要素の画期的で新しい組み合わせを実現する可能性を秘めており、今後も増えゆく部品の複雑度および精度要件の課題に対応することができます。

CFD メッシングの課題

数値流体力学(CFD)のソルバーは、直交性の高いメッシュでより有効ですが、年々ジオメトリの複雑さが増す中で、不規則なジオメトリでは直交性を維持するのが難しくなる場合があります。要素タイプにはそれぞれプラスの面とマイナスの面があり、そのため、CFDメッシングテクノロジでは、過去40年間にわたって特定の応用空間に最適になるようさまざまなタイプの要素の使用を考案してきました。エンジニアは、ジオメトリおよびボリュームの各領域に最適なメッシュ要素どうしを適合させることを試みますが、これらの領域間に遷移を構成するのが困難な作業となる場合があります。そこで、許容可能な範囲まで時間と労力を削るため、時には最適な数よりも少ない数の要素タイプを使用してきました。

六面体要素

CFDの黎明期にはジオメトリは比較的単純で、六面体または四辺形要素が主要な要素として選択されていました。六面体メッシュは、計算時間の観点から非常に効率的であり、また高い精度を示します。六面体メッシュの問題は、とりわけ境界層流の特性を把握する場合にそれが複雑なジオメトリにあまり適していないことです。

四面体/くさび形要素

ジオメトリが複雑になるにつれて、CFD用メッシング手法の主流は自動化された非構造メッシュにシフトしました。ここでは、境界層は積層プリズム要素によってキャプチャされ、バルクジオメトリは四面体要素でメッシュ分割されます。10年ほど前までは、四面体メッシュは業界で最も一般的なCFDのアプローチでした。四面体メッシュは自動生成が容易ですが、その精度には疑問の余地があります。この精度の限界は、ソルバー性能の向上により部分的に克服されてきたものの、境界層や微小なすき間で精度と優れた収束を達成するには多数のセルが必要であり、これが計算時間を増大させています。

Hexcoreメッシング

四面体要素が最もよく使用されたメッシングソリューションであった時期でさえ、解析スタッフは六面体要素の精度と効率を得られる簡易な手法を求めていました。このニーズを満たすために、2005年頃、Hexcoreのメッシング手法が発案されました。Hexcoreでは、流れ領域のバルクを八分木を用いた六面体メッシュで分割する一方で、境界では積層プリズム要素を維持し、遷移空間を四面体要素でメッシュ分割します。複雑なジオメトリを処理する六面体要素の力は、フルサイズの単一六面体要素を8つの要素に遷移させることにより、向上しました。これは、「八分木(オクトツリー)1:8サイズ縮小」として知られており、要素サイズにバリエーションを持たせることを可能にしました。小さい方の六面体要素の内部ノードは、大きい方の要素のノードとは一致しないため、ハンギングノードと呼ばれます。

このようなメッシュは、レーシングカーの外部空気力学など、多くの適用分野でまたたく間に受け入れられました。Hexcoreメッシングの課題は、四面体要素の数が多くなることと、境界付近の積層要素とバルク領域の八分木を用いた六面体要素とのあいだの微小な遷移領域において要素の品質が理想より劣ることにあります。これは、解析時間が長くなり、RAMと記憶容量の消費量がともに増加するという結果を招きます。

多面体要素

2010年頃、多くのCFD適用分野で多面体要素の活用に向けた流れが加速しました。多面体要素への移行は、その初期において、四面体要素のセル数が何分の1かで済み、結果としてメモリーと計算時間が全体的に減少するという事実によって牽引されました。また、多面体要素は多くの隣接要素を持っており、四面体要素の場合よりも勾配を近似させることができます(もっとも、勾配アルゴリズムの使用により、この利点は相殺されがちではあります)。隣接要素が多いということは面が多いということであり、セルあたりの計算時間が長くなります。多面体要素は、四面体要素と同じく自動メッシングも可能です。

当初、多面体要素による生成結果は良好に見えるものの、CFDにとって理想的な要素ではありませんでした。そこで、ANSYSは、平らな内部面を持つきわめて高品質の要素を生成するネイティブ多面体メッシャーを開発しました。セルは直交しており、隣接セルの中心ベクトルは共通面の法線に揃えられます。これらのメッシュは境界上に積層多面体プリズムを構成することにより、非滑り壁の上の境界層を効率的にキャプチャします。

Mosaicテクノロジ

Mosaicメッシングテクノロジでは、バルク領域内の六面体要素と境界層にある等方性要素を多面体要素で連続結合する
Mosaicメッシングテクノロジでは、バルク領域内の六面体要素と
境界層にある等方性要素を多面体要素で連続結合する

ANSYS Fluentの開発者は、CFDメッシングの動向を調査し、六面体要素がその精度と効率のために広く望まれている一方で、多面体要素は複雑なジオメトリに適しているうえに四面体要素よりも高い効率を示すという利点に注視しました。開発者達は、両タイプの要素を結合すると同時に自動メッシュ生成を維持することにより、ユーザーが求めているものを提供できないか思案しました。

その結果開発されたのが、ANSYSによる特許出願中のMosaicテクノロジです。このテクノロジは、任意のタイプのメッシュを別の任意のタイプのメッシュと連続結合することで、各メッシュ断面で最良のタイプの要素が使用された最適なメッシュを構築できるようにします。Mosaicテクノロジでは、ネイティブ多面体メッシュを以下の要素タイプで接合できます。

  • サーフェス:三角形、四角形、多角形
  • ボリューム:六面体、四角体、ピラミッド、プリズム

ANSYS 19.2以降、Fluentでは完全に自動化された、より高い品質の解析結果が得られるようになります。これは…

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