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構造解析

有機EL解析事例 Multiscale.Simを用いたメタルマスクの構造解析

2018年8月


目次

  1. 初めに
  2. 解析の概要
  3. マスク部の均質化解析
  4. メタルマスクの構造解析
  5. まとめ

初めに

最新型スマートフォンのディスプレイは、液晶ディスプレイに代わり有機ELディスプレイが主力として搭載されつつある。その有機ELディスプレイの製造に必要不可欠なのがメタルマスクである。

スマートフォン用の有機ELディスプレイのほとんどが有機EL層の成形に真空蒸着と呼ばれる方式を採用している。この工程ではRGBそれぞれの色の有機発光体を真空中で加熱・気化させ、基板の特定の位置に定着させることで有機EL層を成形している。このとき基板に対してメタルマスクを配置することで、そのマスクパターンに沿って有機発光体が塗り分けられる。より高精細かつ高解像度にするためには蒸着過程においてメタルマスクを精密に配置する必要がある。しかし、メタルマスクは重力や熱によって変形することから、メタルマスクが歪まないようにテンションを与えて配置するということが行なわれる。ただし、メタルマスクは非常に薄く変形しやすいため、メタルマスクを精密に配置するためには適切なテンションを与える必要がある。

本解析事例ではメタルマスクの両端に引張り荷重を付与した際にどのような変形挙動を示すのかを把握する解析を実施する。

解析の概要

AnsysWorkbenchの構造解析機能によりメタルマスクの両端に引張り荷重かけた際の変形量を把握する。ただし図1に示すように、マスク部の構造は非常に微細であることから解析コストが膨大になることが予想される。そのためマルチスケール解析ツールであるMultiscale.Simを用いて、微細構造部分を均質化解析により等価物性値の算出を行なう。この等価物性値を用いることで微細構造をモデル化すること無しに構造解析を実施することが可能であり、現実的な解析コストを実現できる。

図1 メタルマスク全体とマスク部のサイズ比較図1 メタルマスク全体とマスク部のサイズ比較

本解析事例ではマスク部の形状の違いによる差異についても把握するために図2に示す3種類のマスク形状を対象とする。なお、図2に示すような繰り返し構造の1単位分をユニットセルと呼ぶ。本解析ではまず、3種類のマスク形状に対して均質化解析を実施し、等価物性値を取得する。次に取得した等価物性値を用いて、メタルマスクの両端を引張る構造解析を実施する。メタルマスクは薄肉構造のためシェル要素を用いて解析を実施する。なお、本解析で使用する材料はWorkbenchがデフォルトで持っているステンレス鋼を使用する。

図2 マスク部のミクロモデル形状図2 マスク部のミクロモデル形状

マスク部の均質化解析

3種類のユニットセル形状に対して均質化解析を実施する。均質化解析では等価物性値の取得に必要な材料試験をユニットセルに対して実施する。これを数値材料試験と呼ぶ。ただし、マスク部は面内方向には同じ形状が周期連続的に並んでいるが、面外方向には薄い形状となっている。このことからMultiscale.Simのシェルの均質化解析を実施する。シェルの均質化解析では…

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