解析事例 攪拌槽の流体解析

攪拌槽の流体解析

CAEのあるものづくり Vol.28|公開日:2018年7月

目次

はじめに

攪拌槽の開発や運用では、攪拌槽内の複雑な流動状態を知ることが重要ですが、実験などを繰り返しても攪拌中に内部の状態を知ることは、時間もかかり、非常に困難です。しかし近年、効率良く、そして均一に材料の攪拌を行うことが求められ、特に効率改善のために翼の位置や形状、回転数の変更を行う場合や、新規材料に変更した場合などは、いままでの経験だけでは攪拌状態の変化を知ることが難しくなっています。
そこで攪拌槽内の流動現象の解明手段として、CFD(Computational Fluid Dynamics)つまり流体解析の活用が挙げられます。流体解析を用いることで、攪拌中の槽内の状態を知ることができ、翼形状の変更や材料の変更も簡単に行うことが可能です。

攪拌槽の流体解析

流体解析は攪拌槽の流動状態を知るために有効ですが、流体解析と一口に言っても、様々な手法があります。そのため、まずは以下の2 点を明確にし、どのような手法で解析を行うかの選択が必要となります。

  • 知りたい結果はなにか
  • 結果を得るまでにかけられる時間はどれくらいあるのか

解析手法について

ここからは攪拌槽の解析手法をご紹介します。攪拌槽の解析では、大きく分けて「回転を模擬する方法」と、「材料の混合を模擬する方法」の2つについて検討する必要があります。

1. 回転を模擬する方法

翼の回転を模擬する手法は大きく3つあります。それぞれ翼の形状や回転状態などに応じて使い分ける必要があります。

1-1. MRF、スライディングメッシュ

メッシュを変形させずに、領域の回転を模擬する手法です。ミキサーが1 軸で回転領域が重複しない場合などに使用できます。翼の設置位置やバッフルの有無・サイズなど によって使用できる手法が変わります。MRFでは定常解析も可能なので、最終的な混合状態を知りたい場合などに有用です。3つの方法の中では最も計算時間が短くなる可能性が高いです。

1-2. 移動変形メッシュ、リメッシング

メッシュを移動、変形させて、回転を模擬する手法です。2軸ミキサーなど、回転領域が重複する場合などに使用します。様々な状態の回転を模擬することができますが、設定が煩雑で、難度は高くなります。また解析中にメッシュの再生成を行うリメッシングでは、メッシュ数の増減が起こり、解像度が変わってしまう場合があるので注意が必要です。これらメッシュの変形を伴う場合には、本計算の前にメッシュの変形だけを解析して、計算中に破綻しないかを確認するとより確実です。計算時間はメッシュ数にもよりますが、長くなる傾向があります。

1-3. Overset Mesh

図1 Overset Meshのメッシュ
図1 Overset Meshのメッシュ

重合格子とも言う手法です。図1 のように領域毎にメッシュを作成し、それらを重ね合わせた後に、重なった部分のメッシュを取り除いて新たなメッシュを作成します。移動変形メッシュ、リメッシングと同様に回転領域が重複する場合などに使用しますが、設定項目が少なく、設定が簡便であることが特徴です。またメッシュが作成されればメッシュ数の増減はありませんので、リメッシングで問題となる解像度を維持できない問題も起こりません。ただし、槽と翼の距離が近い場合などはメッシュ数が多くなってしまう場合もあり、注意が必要です。計算時間はメッシュ数にもよりますが、比較的長くなる傾向があります。

2. 材料の混合を模擬する方法

材料の混合を模擬する方法も複数あります。材料の状態や、得たい結果に応じて使い分けが必要です。

2-1. 単相流

1 種類の材料で攪拌を模擬する手法です。解析コストが最も小さいため、大まかな攪拌状態を知りたい場合や、翼形状や位置の検討のために槽内の攪拌状態の違いを知りた い場合などに使用します。
結果としては流速や圧力の分布、流れの向き(流速ベクトル)、せん断応力などが確認できます。これらの結果を用いて、例えば流速の小さい場所は混ざりにくい、などと考えることができます。計算時間は比較的短くなります。

2-2. 混相流_VOF

高粘度の液体の攪拌や高速回転での攪拌などで、液面の挙動を知ることが必要な場合に使用する手法です。表面張力なども考慮できます。
結果として、気液界面形状を…

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