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オムロン株式会社 様、オムロンスイッチアンドデバイス株式会社 様

現場主義のCAE推進活動に、ANSYS Workbenchが貢献
「目指すのは開発のフロントローディング化。CAEはそのための有効なツールの1つにすぎません」

オムロン株式会社 様、オムロンスイッチアンドデバイス株式会社 様

CAEのあるものづくり Vol.20|公開日:2014年4月

目次

  1. 生産・開発・購買・品質・環境・ITそれぞれの観点から、ものづくりのプロセスを改善する横串組織。CAEを開発フロントローディング化のための有効なツールととらえ、全社的に推進中。
  2. 優れた操作性が評価され、Ansysを全社的に推進。
  3. 現場に根ざしたCAE推進活動を全社展開。オムロンの基幹商品の開発を担う、オムロンスイッチアンドデバイスが最初の成功事例に
  4. CAE推進の成功の秘訣は、現場との密なコミュニケーション
  5. CAEは開発プロセス全体の中に位置づけられるもので、切り取っては考えられない。CAE単独の効果を議論するより、CAEを含めた新しい開発プロセスが、どれだけビジネスに貢献できたかを考えるほうが適切。

今回のインタビューでは、オムロン様にお話を伺いました。
1933年、創業者・立石一真氏が独自に開発したレントゲン写真撮影用タイマを「立石電機製作所」で生産を開始したことから始まったオムロン様。創業以来「企業は社会の公器」という理念のもと、現代のものづくりに欠かせない「センシング&コントロール」をコアに技術革新を重ね、日本だけでなく世界中の製造業の生産性向上に大きく貢献されてきました。オムロン様が、世界初の自動改札機や現金自動支払機を生産されたことはよく知られています。
また、地球環境との共生による持続可能な成長が求められる今日では、センシング&コントロール技術をさらに進化・深化させて、人と地球のよりよい関係づくりへの取り組みにも着手なさっています。

ここでは、オムロン株式会社 グローバルものづくり革新本部と、オムロンスイッチアンドデバイス株式会社 商品開発部の皆様にご協力いただきました。

今回お話いただいた方々
オムロン株式会社
グローバルものづくり開発本部
 生産プロセス革新センタ 生産技術部
  技術専門職 技術士(機械部門) 岡田  浩 様
 開発プロセス革新センタ 開発支援技術グループ
  主査 福万  淳 様
  主事 池田 正哲 様
オムロンスイッチアンドデバイス株式会社
 商品開発部 共通技術グループ
  主査 岸  成信 様

(以下、お客様の名前の敬称は省略させていただきます。)

生産・開発・購買・品質・環境・ITそれぞれの観点から、ものづくりのプロセスを改善する横串組織。CAEを開発フロントローディング化のための有効なツールととらえ、全社的に推進中。

まず、皆様のお仕事についてお聞かせください。

福万 - オムロングループは、グループ全体の売上高としては6,505億円、従業員数としては約35,500人の企業です(2013年3月末現在)。取り扱い製品では、全体の4割を占めているのが工場自動化用の制御機器と呼ばれるもので、家電・通信用電子部品、車載用電子部品、社会システム、そして健康・医療機器事業と続きます。一般的にはヘルスケア製品がよく知られており、家庭用の電子血圧計においては世界シェアの5割が当社製品なのですが、売上規模としては全体の1割程度です。

岸 - オムロンスイッチアンドデバイスは、その中の電子部品事業に該当します。産業機器用、業務民生用、そして車載用が主な事業用途です。

福万 - 当社では事業単位ごとのカンパニー制と、全社横串組織の両方があり、相互に連携しながら活動しています。私と岡田、池田は「グローバルものづくり革新本部(以下、GMI)」と呼ばれる組織に所属しているのですが、この部署は全社的な横串組織で、生産、開発、購買、品質、環境、ITそれぞれの観点から、ものづくりのプロセスを革新していくことをミッションにしています。

その中で、池田と私は開発プロセス革新センタ、岡田は生産プロセス革新センタに在籍しており、CAEの支援業務は主にこの2つの部署が担当しています。

池田 - 私は開発現場に入り込み、日々、実務設計者と一緒に考えながら、開発プロセス全体の改善に取り組んでいます。今、私自身はCAEを利用していませんが、開発プロセスの改善には有効なツールだと思います。

福万 - 私は、各事業部の多様な設計課題に対するCAEでのアプローチ方法を開発して、それぞれの設計現場で活用できる形にして展開したり、開発中の設計課題そのものをCAEを活用して解決していくことで開発フロントローディングを推進しています。

岡田 - 私が所属する生産プロセス革新センタでは、樹脂や金属加工など、オムロン製品のものづくりを高品質で低コストで生産するための工法を開発しています。検証手段の1つとしてCAEも利用しており、解析分野は構造、熱流体、樹脂成形、電磁界、光学など多岐にわたっています。

岸 - オムロンスイッチアンドデバイスは、オムロンの電子事業の主力製品の1つであるスイッチ機器の開発・生産を行っています。私は商品開発部に所属しており、スイッチ機器の開発に関して技術的なアドバイスを行っています。

優れた操作性が評価され、Ansysを全社的に推進。

Ansysの導入経緯についてお聞かせください。

福万 - Ansysはかねてから導入されていましたが、全社的にAnsysを推進していくことが決まったのは10年ほど前です。当時はまだMechanical APDLの時代でしたが、それでも他のCAEツールと比較すると使いやすく、機能的にも十分だったのでAnsysを採用しました。

どのような解析でAnsysをお使いだったのですか?

福万 - 非線形解析を多く利用していました。別のツールを利用している部署もありましたが、初心者が使うには敷居が高すぎる印象でした。オムロンには当時からCAE活用を推進したいという思いがありましたので、操作性に優れたAnsysを選びました。

現場に根ざしたCAE推進活動を全社展開。オムロンの基幹商品の開発を担う、オムロンスイッチアンドデバイスが最初の成功事例に

岡田様には、先日弊社が開催しました「Ansysものづくりフォーラム in 大阪」でもご登壇いただきありがとうございました。ご講演のテーマとなった、御社のCAE推進の取り組みについてお聞かせください。

岡田 - 当社では1980年代の後半から、全社的にCAEの活用・推進を行ってきました。2006年からは専門組織を立ち上げ、CAE活用を通じて品質改善や開発のフロントローディング化を目指してきたのですが、当時は開発現場からの依頼に基づく解析(受託型解析)が中心で、用途も限定的になりやすく、十分な効果を発揮しているとは言えませんでした。

そこで活動の見直しを行い、2011年度からはオムロンの長期ビジョン(Value Generation 2020)のもと、全社戦略テーマとしてCAEの活用・推進に取り組んでいます。

福万 - 図1は当社のCAE戦略を図式化したものです。当社には数多くの事業部があり、それぞれが事業課題を抱えています。GMIは個々の事業部の現場に入り込み、CAEで解決できそうな課題を抽出し、現場担当者と一緒に考えながら「いつ」「どのように」やるかを決め、実行します。これにより開発プロセスをフロントローディングに近づけていきます。

一方、課題の中には事業部共通のものや、将来的に必要になるため、先行して技術開発が必要な課題もあります。それらは全社横断の技術ワーキンググループを設立し、技術ロードマップを作って取り組んでいます。設立から約3年が経ち、徐々にその体制が整いつつあります。

図1 CAE活用・推進の基本的考え方
図1 CAE活用・推進の基本的考え方

CAE戦略の最初の成功例がオムロンスイッチアンドデバイス様ということですね。

岡田 - スイッチはオムロンの基幹製品です。競合他社に対して優位性を維持できるかどうかは極めて重要な問題ですので、オムロンスイッチアンドデバイスのプロジェクトが一番先行して進められました。

岸 - 当社は2010年に岡山で設立されたのですが…

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