疲労解析の重要性〜ANSYSの疲労解析ツールについて〜

目次

各種疲労解析機能

次にANSYS社の疲労解析ツールの機能についていくつかご紹介します。

高サイクル疲労と低サイクル疲労

高サイクル疲労は応力寿命疲労とも呼ばれ、弾性範囲内の応力を繰り返し受けての疲労を指します。使用する疲労強度データはS-N曲線データで、一般的にはほぼ10e4回以上の繰り返し数で破断します。これに対して、低サイクル疲労(または、ひずみ寿命疲労)は、降伏点を越える大きな応力を繰り返し受けての疲労を指します。使用する疲労強度データはε-N曲線データで、一般的にはほぼ10e4回以下の繰り返し数で破断します。

この2つの疲労ですが、き裂の生成過程の違いもあります。高サイクル疲労の場合、疲労寿命のほとんどはき裂の生成に費やされるため、表面状態が疲労寿命に大きく影響します。そのため、より正確な寿命を求めるためには、表面状態を考慮した解析が必要になります。

平均応力修正理論

疲労評価で使用する疲労強度データは、通常、両振り荷重による試験データであり、平均応力はゼロとなります。しかし、実際に負荷される応力は平均応力がゼロとは限りません。一般的には、正(引張)の平均応力が作用する場合、平均応力がゼロの場合に比べ疲労強度は低下し、負(圧縮)の平均応力が作用する場合、平均応力はゼロの場合に比べ疲労強度は同じか増加します。

そのため、平均応力が正負のどちらかで作用している場合には、それを補正しなければ、正しい疲労寿命を求めることができません。この補正に使用されるのが、平均応力修正理論であり、高サイクル疲労、低サイクル疲労のそれぞれに適した理論があります。

  • 高サイクル疲労の平均応力修正理論
    Goodman 、Soderberg 、Gerberなど
  • 低サイクル疲労の平均修正理論
    Morrow 、SWT(Smith Watson Topper)

振動疲労

路面荷重や輸送中の荷重などの振動は路面状態や速度に応じて、周波数、振幅ともに複雑に変化します。このような周波数が複雑に変化するランダム荷重での疲労解析を行う場合、時系列データをPSD(パワースペクトル密度)に変換し、疲労評価を行うことができます。なお、振動疲労は、ANSYS Fatigueモジュールではサポートされておらず、ANSYS nCode DesignLifeのみで可能となります。


図4 PDS変換

溶接疲労

溶接部は、応力集中、残留応力、溶接欠陥などの要因により、疲労破壊しやすい箇所となります。ANSYS nCode DesignLifeに関しては、溶接疲労としてスポット溶接、シーム溶接の2つのオプションがサポートされています。


図5 スポット溶接の損傷度

スポット溶接オプションでは薄いシート間のスポット溶接による影響を評価することができ、LSFメソッド(SAE950711)に基づいています。シーム溶接オプションでは、フィレット、オーバーラップ、レーザー溶接を含むシーム溶接の評価が可能で、止端、ルート、のど厚の損傷が予測可能です。


図6 シーム溶接部の寿命

最後に

ANSYS社の疲労解析ツールはいかがでしたでしょうか?本記事では細かな機能や具体的な操作手順については割愛させて頂きましたが、疲労解析にご興味のある方は是非お気軽にご相談ください。

参考文献
溶接構造物の疲労破壊と疲労強度因子(1) 溶接学会誌
CAEのあるものづくりVol.12 2010

1 2 3

関連ページ

疲労解析

関連セミナー

CONTACT US

ご購入・レンタル価格のお見積り、業務委託についてはこちら。

お問い合わせ

ページトップへ